92 使節団結成!(ミコト視点)
どうぞよろしくお願いします。
マイルズ共和国からのシーザー王国への使節団。
現ドージュ(マイルズ共和国の議会長)の令息であるノルテス様が使節団長である。
それに議会から議員をふたり、魔法塔からザイマさんとライカンとエドガーと私。
ギルドからクラーク様とギルドでよく見かけた副ギルド長が一緒。
クラーク様は厳密に言うと魔法塔からギルドへ出向している方なんだけど、今回はギルドの魔法関係担当みたいな感じで行くそうだ。
ライカンは妻シアを、私とエドガーはディーとユミエラを護衛と侍女として連れて行く。
ノルテス様はライカンと同じくらいの年齢だと思うがまだ未婚。で、姉の息子、つまり甥御さんを勉強のために連れて行くのだそう。その甥はコステロくんと言い、15歳だった。
つまり、私が一番年下……。でも、結婚もしてるし、もうコステロくんのお姉さん的な気持ちで顔合わせしたんだけど……。
「よろしくなっ! ちび!」
いきなり、そう呼ばれて、きょとんとしてしまう。
ノルテス様が慌てている。
「コステロ!
ミコト様は転移者で、将来魔法塔を背負って立つようなすごい魔法使いになる方なんだぞ!
それに、お前が大好きなユニコーン印のアイスクリームの発案者でもあるのだぞ!」
そうそう、マイルズ共和国では商売に成功している、そういうアイデアを出したってことがけっこうステータスだったりする。
どうだ!
「へー。そうなんだ。
人は見かけによらないな……。
はっ! シーザー王国にもアイスクリームの売り込みを掛けるのか!?」
「そうね! それもいいかもしれませんね!」
シアが笑い、クラーク様も笑った。
「そうですね。ユニコーン商会長殿。
ギルドも協力しますよ」
「それは心強いですわ!」
「えっ!
ユニコーン商会長が、こんなにきれいな女性だったなんて!?」
コステロくんがシアを見てポッとしている。
シアは人妻だからダメ!
「シアはライカンの奥さんだから!」
私がそう言うと「うるさいこと言うなよ。何だ妬いてんのか、ちび」とコステロくんに私は頭を撫でられるというかつかまれて髪を乱されそうになる。
「や……」
「やめろ! 妻に触れるな!」
エドガーが助けてくれた。かっこいいー!
抱きついちゃう、むぎゅ。
「え? 妻?」
コステロくんが私とエドガーを見比べるように視線を彷徨わせている。
「コステロ!
ちゃんと資料を読むように言ったでしょ!
ミコト様はエドガーの奥様だよ。
パトリシア様はユニコーン商会長で、ディーとユミエラも商会の役員だ。
騎士ライカンはパトリシア様の旦那様だよ」
ノルテス様がこめかみを押さえながら言った。
「ノルテスさん、私のことはミコトでいいですよ」
「私もシアと呼んで下さい」
私もシアも何故か二人だけ様付きで呼ばれていて違和感があったのでそうお願いした。
「いいのですか!
なんという幸せ!
私達のこともノルテス、コステロとお呼びください!」
私はニヤッと笑って「よろしくね、コステロ!」と言ってやった。
クラーク様の一声で、ここからは使節団は仲間なので、様やさんはなしで呼び合おうということになった。
うん、クラークさ……、うん、慣れなきゃ。
ノルテス、コステロ、議員のふたりで馬車一台。
私とシアとユミエラで馬車一台。
それ以外は馬だ。
エドガーとディーとライカンとザイマとクラークと副ギルド長は馬で颯爽と……。
くー、かっこいい!!
「なんだか、お姫様になった気分ね」
ユミエラが少しにやけながら言った。
馬車の中でシーザー王国でやりたいこと、気になることを話していく。
シアはリンデウム伯爵家が『エスタ』に連絡をしていたようでそれが気になるので確認したい。そして、王都での様子や領地の様子も……、気にはなるよね。
ユミエラは……、弟と妹がいて、どうしてるか気になるんだって。
「ユミエラは……、お父様に売られたのでしたっけ……」
シアが言いにくそうに言った。
「ああ、仕事が上手くいかなくて、なのに、弟と私の稼ぎを当てにして仕事を拡大しようとして失敗して。
あれ、弟が稼ぎを家に入れてくれたとしても、無理だったと思う。
弟はもう家を出てたから……、元気にやってるかだけ知りたいな。
妹は……、なんだか、気になるんだよね。
私を売った時の父の……。
あんなに簡単にお金を得られると知ってしまった父の……」
「妹さんの名は?」
「ミレニア。
ミコトと同い年だよ。
だから、もし、父さんが私と同じように売ろうとしたら……」
私はユミエラの手をぎゅっと握った。
「うん、もし、『エスタ』に行くのが嫌なら、私とエドガーが動くから、何でも言って」
「ありがとう、ミコト……。
でも、今一番心配なのは……」
「マイネの御両親に会うことね!」
シアがいたずらっぽく微笑んで。
そうなのだ。この馬車はマイネに向かっている。
ディーの故郷。
私達はディーの実家の宿に泊まることをお願いしている。
私達ってことは内緒で、首都から出立した使節団ということでね。
「ディーは私に結婚を申し込むとは伝えたみたいだけど、私の過去までは御両親には……」
ユミエラの声が少し震えた。
私は何と言っていいかわからなくなる。
「ディーがユミエラのことを大切に思ってくれていれば、他には何もいらないでしょ」
シアが呟いて……。
「うーん、そうなんだけど。私、欲張りだから」
ユミエラが涙目で微笑んだ。
「ふふっ、欲張りか!
悩んでもしょうがないわ。ね」
シアの言葉にユミエラの震えが止まった。
「そうね。
うん。
嫌なことは想像しないで、かわいい嫁として挨拶するわ!」
「かわいい嫁!?」とシア。
「なによー! 私、かわいいのよ!?」とユミエラが言って。
「あはははは!」
私はそんなふたりの様子がおかしくて大きな声で笑っちゃって。
ユミエラにヘッドロックされた。うぎゅ。
さすが馬車と馬。
その日の夜にはマイネに到着した。
マイネの宿舎まで一緒に行き、馬や馬車を預けてから、ディーの宿の方に向かおうとするとコステロが「どこに行くんだ!?」と慌てた。
「マイネでは定宿にしている宿があって、挨拶がてらそちらに泊まります」
ライカンが言ってくれた。
「俺もそっちに泊まりたい!」
コステロ……、無理です。
「こっちは夫婦三組だから」
そう、クラークさ、とザイマですら宿舎組です。
私にそう言われたのが気に障ったのか、すごく睨まれた。
「新婚さん三組ですし、ねー!」
ノルテスがほんわかした感じで言って、コステロが諦めた目をした。
「わかったよ」
ということで、私達はディーの実家の宿に向かった。
ふふふ、ディーが帰ってきたって驚くぞ、きっと!
どんな順番で挨拶しようか! なんて話をしながら歩いていたら「ディー!?」と声を掛けられた。
振り返ったらソーマで!!
「「「ソーマ!!」」」
ディーとユミエラと私が叫んじゃったよ。
「え? みんなで?
あ、ユミエラ!
良かった!
ちゃんと会えたんだな!」
ソーマがほっとしたように言って、ディーとがばっと抱き合った。
男の友情だな。
「……妻のユミエラだ」
ディーがソーマと離れるタイミングで言って。
ソーマが「それはおめでとう!!」と笑った。
「それで、フィオナは?
もう結婚した?」
ディーが小さな声で聞いた。
お祝い、送ってたもんね。
ソーマがため息をついた。
「あー、フィオナ……。マイネを出たよ」
読んで下さり、ありがとうございます。




