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91 コーンと未来の話(ミコト視点)

どうぞよろしくお願いします。

 ケリーさんがティヤの粉が家にあるからと取りに行ってくれ、その間に私はクレープもどきを作ってみた。

 でも、レシピがわからない。薄くするのも、難しい。なんか専用の棒でくるっとしてたような記憶があるんだけど、作ったことはないからね。

 薄いパンケーキみたいな感じに……。

 これ、コーン作る方がアイスクリームより難しいかも!?


 でも、薄いパンケーキを三角になる様に丸めて形を作ってみる。なんか違う。

 ケリーさんが戻ってきて、ティヤを焼いてくれた。

 パンケーキより薄いからくるっと丸めやすい。でも、しっとりしている……。うーん?


「もう少し薄くしたら?」


 キリコさんがもう少し水を入れて伸ばした生地を焼いてみた。

 そして、焼き立ての熱いところを三角にくるっと巻いてみる。

 あ、さっきよりぱりっとしてきた!?

 硬すぎて割れる感じもない。

 適度に柔らかさもあり、運ぶ時に壊れることもないかも。

 アイスクリームを盛りつけてみる。

 うん、良さそう、かな?


 これもアイスクリームと同じくレシピを書き、書類にしておく。

 ここまでできたらキリコさんとケリーさんにお礼を言って……。


「もし商会ができたら、私を雇ってくれない?

 私、風持ちだから収納できるわ! それに水魔法も得意よ!」


 ケリーさんが言ってくれて。

 魔法塔の人を入れてっていうのもありなの?

 私はメグミ様を見た。

 頷いてるってことは、いいんだ!


「魔法塔の研究に支障が出なければ大丈夫でしょ」

「じゃあ、ケリーさん!

 よろしくお願いします!

 私も入れてもらおうっと」


 私の弾んだ声にケリーさんはウインクしてくれる。


「じゃあ、明日、そのレシピを持って、商会長に会いに行きましょう!」

「はい!

 よろしくお願いします!」


 ケリーさんとキリコさんの話では、シアは最終的に商会長を引き受けてくれたのだそう。

 急で驚いたと思うけど、とてもぴったりだと私は思う。

 シーザー王国へ行く前に、こちらを軌道に乗せておかないと!!


 

 イサクとシドはマイルズ共和国での視察を終えて帰ることになった。

 ただ、すぐ帰るのではなく、アサニヤ王国によってみるとのこと。

 シーザー王国帰国までは2~3週間かかるかな、ということだ。

 

 シド達が発てば、私は家に帰れる?

 あ、ディーがいるから、やっぱりベッドが……。


 

 ユニコーン商会は無事に立ち上げることができた。

 ギルドから『アイスクリーム』という氷菓のレシピの権利を認められ、他の商会や店は勝手にまねして作れない。

 ユニコーン商会と契約を結んだオルガ商会だけが、今のところアイスクリームを製造販売できるというわけだ。

 オルガ商会の方にはレシピを元に高級な食材、なんか濃い牛乳が採れる特別な牛がいたり、黄身が濃いめの卵があったりするそうで、そんな食材で作り、容器に詰めて売る、直営レストランでデザートして提供ということをスタートさせた。


 ユニコーン商会としてはまず、ギルドの一角に出店を出させてもらうことに。

 ティヤコーンに盛り付けたアイスクリームを売り出す!

 ディーとユミエラとホークとケリーさんが販売担当。

 シアとロバートさんが全体を見守り、食べた客から感想や意見を聞くということに。

 私とエドガーも後から駆け付けた。

 エドガーとライカンは商会のお手伝いはするけど、商会員にはならなかったんだよね。

 それはきちんと分けていいと思う。私は一緒にやりたいから入れてもらってる、というか、レシピとか私が書いてるからね!?


 見ていたら、やはり注文が来て盛り付けるのが大変そう。

 そして、きれいに盛り付けたのに、冒険者の男性はティアコーンを潰してサンドみたいな形にして食べてた……。

 なるほど、ぱりぱりなコーンじゃないから……、で思いついた。

 アイスクリームサンドなら、作っておけるんじゃ!?


 私はエドガーと先に家に帰って、ティアコーンではなく薄目のティアを円く同じ大きさに焼いて冷まし、アイスクリームは大きな金属の盆に平たく撫でつけて、円くくり抜いてみた。

 そう、くり抜いたアイスクリームを冷ましたティアで挟むの。

 こうすると見た目もキレイだよね。

 8個作って、収納しておく。

 

 戻って来たみんなに試食しもらう。


「うん!

 これいいかも!

 円いのたくさん焼くだけで成形もいらないのいい!」


 ケリーさんが言って、ユミエラも頷く。


「うん、食べやすいし、これなら事前に作って置けるから、売るの楽だよね」


 このレシピも書類にして……。

 ロバートさんとケリーさんが手伝ってくれて、ユミエラとディーが小さめの円いティヤをたくさん焼いた。

 みんな総動員で、アイスクリームを均してくり抜いてはさみ、シアはアイスクリームの仕込みをしてた。

 てんやわんやだけど、楽しい!!


 次の日、私は見に行けなかったけど、大成功だったみたい!!

 食べやすく! おいしい! すぐ出てくる! と大評判になったそう。

 コーンにこだわって、遠回りしちゃったよ。

 ギルドに収納魔法持ちの人を紹介してもらうお願いをしたそう。

 そして、ディーとケリーさんがシアからレシピを伝授され、アイスクリームを作れるようになった。

 

 ギルドのそばに店を借りて、そこで営業することに!

 ディーとホークはそっちに移ったので、私は家にやっと帰れた!


 ギルドからユニコーンと星のデザインの看板をプレゼントされた。

 ユニコーンと星がシルエットになってて、紺地に白で抜かれているデザインだ。

 とても上品な感じでもあるし、涼し気でアイスクリームにぴったり!

 星が魔法を表すモチーフだから『魔法塔』がバックについてるぜ! という感じもしないではない。

 ケリーさんとシアのアイデアだそう。

 ただの白い紙ナプキンにアイスサンドを包んで渡してたのも、そのナプキンにスタンプでマークを入れたりして、なかなかお金を掛けずに凝っている感じがして、それが手作り感もあっていい。

 ホークの願い通り、子ども達も硬貨のお金を握りしめて買いに来てくれるようになった。

 ハーフサイズを作ったんだよね。

 ただ切っただけなんだけど、これなら子どもでもお小遣いやちょっとしたお手伝いをしてお駄賃を貰えば、手が届く。

 子ども達の笑顔に、ホークがすごく喜んでいて、良かった。

 そしてお店の方でアイスクリームとティヤが作れるようになり、家での作業はぐっと減った。

 私達は家での生活とユニコーン商会の仕事と、両立できるようになった。


 ギルドから紹介された人達もみんな真面目ないい人ばかり。

 シフトを組んでディーやホークも休めるようになり、冒険者としての仕事にも時々出られるようになった。

 うん、元々冒険者だもの。ね。


 オルガ商会の方の高級路線も大成功!

 そちらはロバートさんとケリーさんがこちらのアイデアを伝えたり、アドバイスしたりと連絡を頑張ってくれている。

 おかげで、ユニコーン商会でもオルガ商会のプレミアムアイスクリームを販売させてもらうことができている。

 どちらも大人気だよ!


 ここまで1ヶ月!!

 ロバートさんがシアとケリーさんに書類の書き方、帳簿のつけ方など教えてくれた。

 いつの間にかケリーさんとシアはすっごく仲良くなってて!

 ユミエラもね!


 そうそう、ユミエラとディーの結婚式……。

 この怒涛のアイスクリームとユニコーン商会立ち上げの事態に、延期になってたんだけど……。

 今日、晴れて、結婚式を迎えた!

 ユミエラはすごくすごくかわいかったよ!

 照れててさ。でも、幸せそうだった。

 ユミエラはディーの姓になり、新しい自分の名前を手に入れた。

 ライカンとエドガーのアドバイスで、二人も新しい名前を付けくわえたんだって。


 ユミエラもシアも私も、そしてエドガーも、新しい名を得て、幸せになれるよね! きっと!


 さて……、いよいよ、シーザー王国への使節団!!

 私とエドガー、シアとライカン、そしてユミエラとディーも行くことになっている。


 ユニコーン商会はしばらくケリーさんとホークとロバートさんにお任せ。

 キリコさんも手伝ってくれると言ってくれたし、もうギルドから紹介してもらった頼れる商会員達がいる!


 怪我をして冒険者を引退した収納魔法持ちの人、優秀な水魔法持ちだった女性冒険者が結婚して出産して、狩りは無理だけど仕事をしたい! という能力は高いけれど仕事や時間に制約があるという人達が集まっている。

 ギルドで推薦なだけあって、守秘義務の契約をして商会に入ってくれたいい人達ばかり!

 安心して出かけることができる。


 このシーザー王国への旅が終わったら……。

 ユミエラとディーはお店近くの部屋を借りてふたり暮らしをすることが決まっている。

 家はシアとライカンと私とエドガーの四人になる。

 どんどん家族の形は変わっていくけれど、それは子どもだった私の考えていた将来の先、未来へ進んでいるということなんだろうと思う。


読んで下さり、ありがとうございます。

いよいよシーザー王国へ向かいます!


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