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87 話し合い(ミコト視点)

どうぞよろしくお願いします。


 今日はそんなに眠くなくて良かった。 

 うん、今朝はさすがに出かけるってわかってたからね。さっさと起きて風呂に行きました。

 朝食を済ませて、女官達にお礼を言って、ダルシュカーン様にお手を煩わせたくないのでお礼を伝えて欲しいとお願いして魔法塔を出た。


 わー、なんか久しぶりの地面!? うん、丸一日と半日くらい? 魔法塔内に滞在していたものなぁ。

 

 メグミ様の家に行ったら、メグミ様とキリコさんが待っててくれて!

 クラーク様はギルドの方へ行かれてるそう。

 とりあえず、私は今日はこちらに戻ってくることになり……。

 だってディーも来てるし、シドさんとイサクさんのこともあるから、メグミ様の家にいた方が安全だよねって。


 白いドレスはもう私のサイズに直しちゃったからって、ありがたく頂いた。

 持って帰る物は収納して、エドガーと一緒に『魔法塔』の敷地から出て歩いていく。 

 まだ騎士団の方にイサクさん達はいるのは確認済み。

 家に行くとシアとライカンとホークがいた!

 なんか珍しい感じだ。

 ユミエラとディーは買い物に行ったそう。

 シアの話ではフィオナが結婚するとかで、お祝いの品をジュノーから贈るってディーが約束してきてて、それを買いに行ったんだって。


「何を?」

「食器って言ってたから、オルガ商会に行ってみたらと言ったんだけど」

「あ、ロバートさん!

 今、どこにいるんだろうね?」

「ロバートさんの名前を出せば、相談には親身に乗ってもらえそうでしょ?」


 ホークが「ミコト! アイスクリーム!」と言う。

 はあ、食いしん坊というか食い意地が張ってるというか……。


「えーと、牛乳と砂糖と卵があれば。

 生クリームがあればその方がいいけど……」


 私が昔、お兄ちゃんの夏休みの自由研究で一緒に作ったアイスのレシピを思い出しながらぶつぶつ言うと「生クリーム?」とホークに聞かれる。


「あ、いや、こっちの牛乳は濃いから大丈夫と思う!

 えーと牛乳と卵と砂糖があれば!」


 私の言葉に「あるわよ」とシアが言って、台所に一緒に入った。

 砂糖、全部使っちゃいそう……。

 なんか申し訳ないな。


「砂糖、全部使っちゃうから……」

「俺買ってくる!!」


 ホークが言ってくれて。


「買って来てくれるなら、今、これ全部使っても大丈夫?」


 私の言葉にシアが苦笑しながら頷く。

 シアがお金をホークに預けながら他にも買って来て欲しい物をお願いしてた。

 私は記憶を頼りに鍋に卵と砂糖を入れて擦り合わせるようにかきまえ、滑らかになったところで牛乳を入れて混ぜる。

 そして、そのままコンロを使わせてもらい(首都のインフラはガスと水道がある)、弱火で鍋の位置を変えながらかき混ぜながら火入れする。

 卵が入ってるから失敗するとぐずぐずになっちゃう。弱火でじっくりかき混ぜながら……。

 少しとろみがついたところで火から下ろし、一回り大きなお鍋に水魔法で細かい氷を出す。


「アイスクラッシュ!」


 氷に塩を振り入れてかき混ぜる。

 アイスクリームの素入りの鍋を塩入り氷で冷やしながらかき混ぜ続ける。

 シアが興味深そうに見ている。

 エドガーとライカンはリビングで何か話している。

 シーザー王国への使節団の話?

 シドさんの話かもな!?


「何で氷に塩を?」


 不思議そうにシアに聞かれる。


「なんかね。そうした方が氷だけより冷たくなるの」

「へー!?」


 シアと交代しつつ、かき混ぜているとシアがぼそりと言った。


「エドガー、大丈夫だった?」

「えっ?」


 私はなんだろうと思ったけど、初夜のことか!? と思いついて「大丈夫だった」と言った。


「それなら良かった。

 エドガー、その……、女の子に誘われても、そういうことしない子だったから」

「そうなんだ……」


 確かにそういう話は聞かなかったな。

 基本、『エスタ』はそういう兄さんはいなかったと思うけど。

 女主人(マダム)だったからね。

 そういうトラブルはなかったと思う。

 私が気づいてないだけ?

 だんだんアイスクリームが凍ってきて、ねっとり感触になってきて……。

 

 うん、いい感じじゃない!?

 記憶の目分量でやったけど、大丈夫だったみたいだ!

 その時、ホークが帰ってきた。

 シアが、出迎えに行って、買ってきてもらった物を受け取ってお礼を言っている。

 私はスプーンで一口味見してみた。

 うん、甘くておいしい。

 小さなお皿にアイスクリームを盛って、スプーンを添えてホークに差し出した。


「できたの!? 冷たい?」


 ホークはスプーンで一口。

 目を見開く!


「うまっ!!

 ミコト! これうまい!! おかわり!!」


 ふふん、砂糖があんなに入ってるんだもの。うまいよ。

 私はおかわりを入れてあげて、ライカン、エドガー、シアの分も盛り付けた。シアが持って行ってくれた。

 ホークはアイスクリームの鍋から離れない。

 私も自分の分をすくって食べた。

 うん、けっこううまくできた。

 やっぱり濃い牛乳だから、自由研究で牛乳だけで作ったのより、よりアイスクリームっぽい。

 お兄ちゃんの自由研究では、生クリームだけとか、牛乳だけとか、半分半分とかいろいろやったんだよね。


「ちょっと! ホーク!

 食べ過ぎ!

 ユミエラたちの分がなくなる!」

「また作ればいいじゃん!

 ちっちゃいミコトはこんな大きいの食べてた!」

 

 いや、あれはソフトクリームだから!

 結局、みんなもおかわりしたいとなり、全部食べちゃった……。

 ユミエラ達のためにもう一度作り始めた。

 砂糖と牛乳はホークが多めに買ってきてくれてたからね。

 作ってる最中にユミエラとディーが帰ってきたんだけど、ロバートさんも一緒で!


「ミコトさん、エドガーさん、おめでとうございます!」ってお祝いを頂いちゃった!

 アイスクリームを食べてもらいながらお祝いを開けようとしたら「ミコトさん!?」とロバートさんが叫んだ。


「これは……、なんという……、氷菓ですか?」

「アイスクリームだってよ。

 うまいよな」


 ホークが代わりに言ってくれて。


「こ、これは売れます!

 大人気になるでしょう!!

 ぜひ、オルガ商会と契約を!!」

「えっ!

 あ、メグミ様とも作ってみようとか話してたし……」

「では、明日! 午前10時に!

 魔法塔の方に伺いますっ!」


 ロバートさんは商会の方に話をするためにアイスクリームを収納していた空の鍋に入れて収納し直すと帰っていった。

 そうか!

 収納すればそのままだから、取っておけるんだ!

 私も蓋つきの容器を借りて入れさせてもらい、収納した。

 ディーが考えながら言う。


「これ……、店で出したら評判になると思う。

 出店とかできないかな?

 高級なレストランのデザートなんかにもいいと思う。果物を添えたりして。

 レシピを売るより、自分達で商売した方がいいかもよ」


 うーん。

 どうしたらいいんだろう!?

 そんなことより、いろいろシーザー王国についてとか話したいのに……。

  

「そういえば、フィオナさんへのお祝いはいいのがあったの?」


 私の言葉にユミエラが笑う。


「それ開けてみて!」


 ロバートさんからのお祝いを開けると、素敵なゴブレットのペアだった。

ワイングラスみたいに薄いグラスってのは技術的にまだ作れてないんだよね。

 厚めの色ガラスのカップという感じ。

 青いのと白いのと。

 夫婦茶碗みたいな感じ?


「素敵でしょ!

 フィオナには赤と黒みたいなペアにしたの。

 旦那さんが鍛治職人って聞いたから!」


 うん、結婚のお祝いって感じがする!


「ありがとう!」ってユミエラに言ったら「それはロバートさんからよ」と言われて、思い出して、みんなにヴェールや髪飾りやブーケのお礼を言った。

 

 早目の夕食後に私はエドガーとホークに魔法塔のメグミ様の家に送ってもらった。

 その時、メグミ様と来ていたキリコさんにアイスクリームの話をして、明日、オルガ商会のロバートさんが来ることを伝える。


「あら!

 もうそんな話になってるの!?」

「でも、自分達で商売した方がいいのではという意見も出て、どうすれば……」


 私の言葉にホークが言った。


「俺、アイスクリーム屋、やってみたい!

 ユミエラとディーも一緒に!」

読んで下さり、ありがとうございます。

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