86 大切で愛しい(ミコト視点)
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部屋に戻るとエドガーはもう戻ってて、朝食も用意されてて、ベッドもきれいになってた。
あー、私が掃除したかったくらいだ……。
なんか申し訳なくなる。
お腹が満たされたら、本当に眠くなって、きれいにしてもらったベッドでエドガーと手を繋いでお昼寝しちゃったよ。
なんて恐ろしい……。
それだけ疲れていたってことか!?
起きたら、もうお昼で……。
軽く昼食を頂いた。
その後、せっかくなので魔法塔の中を見学させてもらう。
最上階とか!!
すごーい! こわーい!
だって、屋上なんだろうけど、柵がないから、こわくて縁まで行けなかった……。
その時、風魔法を究めると空を飛べたりすることもできると教えてもらったけど、試してみるとか恐ろしい。地面で浮き上がるかくらいなら試してみたいけど。
ゆっくりと上から見ることのできる部屋は見せてもらいながら降りてきて、私達の部屋の階も通り過ぎ……、メグミ様の仕事部屋の階に来た。
お邪魔してみたら、メグミ様とザイマさんがいた!!
お茶して少しお話しすることに。
エドガーはダルシュカーン様に聞いたシーザー王国とアサニヤ王国の婚姻話についてとか話していたけど、私はあの時けっこう上の空だったから、話を聞いているばかりになる。
でも、そのおかげで話の整理がついてよくわかった。
アサニア王国としてはシーザー王国の方の転移者も聖女として取り込みたい。
シーザー王国は保護する者としているけど、そこまで国にとって重要視はしていない。
逆に神殿にいることで、王と王妃の不仲の元になっちゃうこともあり、王家としては魔法の力の強い転移者を王族の妻として神殿に閉じ込めておくより、他国へ渡しちゃった方が楽かもしれないよね。
シーザー王家と対立しそうな有力貴族の所に転移者が行かないようにすればいいわけで。
まあ、今の王と王妃のトラブルもあるから、シーザー王国としてはアサニヤ王国に転移者を引き渡すってのはOKってな感じだろう。
となると私はアサニヤに狙われるわけ?
もう結婚して聖なるものではなくなったと判断されれば、もう追われない!?
どうなんだろ?
でも、新しい転移者がいたら、それは守りたいし……。
エドガーとザイマさんがシーザー王国に行くとしたらなんて話を始めて、他の人にも相談しに行くとふたりで部屋を出て行った。
メグミ様が私を見て微笑む。
「その様子だと、大丈夫だったみたいね。
あなたがまだ幼いのではと……、心配していたのよ」
私は目を伏せて、少し笑った。
「私もそう思ってました。
でも、エドガーとなら、大丈夫でした。
まあ、ぎこちないというか……、そういうのはしょうがないですが……」
メグミ様は苦笑する。
「そんな!
大人だって最初から上手くいくものじゃないわ。
それでいいと思う」
「はい、私は好きな人……、愛している人と最初に結ばれることができて幸せです」
「そうね。
シアにユミエラ、ライカン……、そしてエドガー。
いい人がずっとあなたを守ってくれたものね」
「はい!
今、シアやユミエラも幸せになろうとしていて……。
それが私はとてもうれしいです!
でも、最初に……どんなに悲しくて辛い思いをしたんだろうって……。
同じ女性として……、改めて思いました」
「今日は魔法塔にもう一泊泊まるのでしょう?
明日、荷物を置きにうちへいらっしゃい。
それから、みんなの待つ家に顔を出してきたら?」
「はい!」
私はにっこり返事をした。
「イサクとシドはまだ騎士団の建物にいるの。
騎士団にいれば動きは把握できるしね」
「メグミ様……」
「なあに?」
「あの、シドさんなんですけど。
シーザー王家に絶対服従というか、そういう感じではなさそうで」
「治療の時に、触れて、感じたの?」
「はい。
何か子どもの時に会ったのかもしれないです。
今も自分が本当にしたいことを迷っているような……。
エドガーやライカンと一緒に、一度、ゆっくりと話をしてみたいです」
ザイマさんとエドガーが戻って来て、私とエドガーはまた階段を上り自分達の部屋に戻った。
そこで、二人で話をする。
エドガーの話ではマイルズ共和国の使節団をシーザー王国に送る話があり、その中に入り、入国したらどうかと。
つまり、入国出国は使節団と一緒にするけども、ほぼ自由行動というか、まあ裏側を探るというか?
王家と関わる時だけ、使節団に入っていれば安心なのではということだった。
「それなら、シアやユミエラも一緒で大丈夫?」
「そう、それもあるしな」
私は頷いて、ソファに背中をもたれさせた。
「私からも話をしていい?
さっきメグミ様には話したんだけど、イサクさんとシドさん……。
特にシドさんにはエドガーとライカンと私でゆっくり話をしてみたいと、お願いした」
「シド?」
「うん、シドさんの中には王家への服従心とか、恐れで従うとか、そういうのはない気がするの。
何か迷っているようなtん……。
小さい子が途方に暮れて困っているみたいな?」
「……もしかしたら、こっちの仲間になってくれるかもってこと?」
「仲間まではわからないけれど、協力はしてくれるかもしれない」
「うーん、あいつなー。
なんか、ミコトを見る目が……」
「えっ?」
「いや! 何でもない!
うん、わかった。
明日、あ、明日、みんなの所に行くだろ?」
「うん、メグミ様にも言われたよ!
みんなにお祝いのお礼も言いたいし!」
「そうだな。ホークは2回もお祝いくれてるしな」
「2回?」
「最初にミコトに告白した時にもお祝いくれて、結婚の時にとか言ってただろ?」
「……あー!!
そうだ!
なんか渡してたね!
あれ、なんだったの?」
「……気にするな」
「ん?
それのお礼は言わない方がいいってこと?」
「ああ、言わなくていい……」
ん?
気になるな……、ホークにこっそり聞いてみよう……。
夕食はまたダルシュカーン様に招待されて御一緒した。
今度は私も落ち着いて、いろいろお話しできた。
私の歌による治癒魔法の話とか、魔道具の話。
それに風魔法の飛ぶって魔法について。
竜巻を使って飛ぶらしい、上空まで浮かんじゃえば、竜巻ではなく強い風と気流みたいのを利用して飛べるとか。でも、寒いらしい。
まあ現実的に、高いところから落ちても平気な感じぐらいに会得しておくといいのではと言われた。
そして、ダルシュカーン様のお母様も転移者だったのだそう。
だから……、私とエドガーのことは孫やひ孫のような気持ちがすると言ってくれた。
ふふふ、私達って、たくさんの家族に愛されてるんだね。
転移してきてひとりぼっちで泣いていた小さなミコトに教えてあげたい。
あなたを心配して大切に思ってくれる人がこの世界にたくさんいることを。
本当に幸せなことだ。
夜、一度ふたりで部屋に戻った。
女官が「風呂の用意が整いました」と呼びに来てくれて、私は立ち上がった。
エドガーが手をつかんで言った。
「身体は大丈夫?」
私は一瞬『えっ?』と思ったけど、エドガーが心配してくれていたことがわかって、微笑んだ。
そして、エドガーの頬にキスするみたいに顔を寄せた。
「うん、大丈夫。
今夜もたくさん……、愛して欲しいな」
小さな声で呟くように告げた。
すごくうれしそうに笑ってくれた。
その笑顔を見て、本当に大好きで、大切な人って……。
泣きたくなるくらい幸せで、愛しく思った。
読んで下さり、ありがとうございます。




