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85 初夜(ミコト視点)

どうぞよろしくお願いします。

その、初夜の話なので、そういう話が苦手な方はスルーでお願いします。

 夕食の後、私とエドガーは別々に案内されて、なんだかほっとしてしまった。

 女官が少し心配そうに私に声を掛けてくる。


「ミコト様、緊張されてますか?」

「はい……、緊張してます、たぶん」

「あまり構えないように……。

 ミコト様が緊張されてる以上にエドガー様も緊張してると思いますよ」

 

 そうなのかなー。

 私の表情を見て女官は笑う。


「あちらの方が責任重大ですもの」


 そんなものなの?

 私は小さくため息をついた。


 案内されたのはお風呂のある小さな部屋でお風呂に入った。

 朝も入ったのに。一日2回も入ったのは……、この世界で初めてかも。

 化粧もきれいに落としてもらった。

 もともと薄くしかしてなかったけど、すっきりした。

 簡単に化粧水ぐらいで肌を整えて……。

 なんか下着なしで白い薄い服を着せられた。

 あ!

 夜着だ!

 そうそう、初夜で主人公が恥ずかしがってるシーンが!

 ん? 私が着てる?

 娼館では下着もちゃんと着てたよね。脱がせるのが好きな客がいるとかで。

 その上に薄いガウンみたいのを着せられた。室内履きが用意されてた。

 あ、最初の部屋まで移動するからか!

 

 最初の部屋に移動して、着ていた服とか靴とか、クローゼットみたいなところに女官達がてきぱき入れてくれて……。

 私は部屋にひとり残された。

 ……………。

 え?

 心臓が痛いほどドキドキしてるのがわかる。

 頭がくらくらする。

 ソファに座ると、くり返し深呼吸する。

 呼吸することに意識を……。

 落ち着いてきた……。

 えっと、もう、そういうことするのはもうちょっと後にしないとかなんとか言う感じではなくなっちゃった。

 うん、ちゃんとエドガーと結婚したい。


 ドアが開く音に、私は座ったまま飛び上がってしまう。

 見るとエドガーで。

 エドガーも、風呂に入れられてたみたいで……。


 あわわ……。

 たちまちパニックになりかける。

 エドガーが私の隣に腰かけてきた。


「大丈夫?」

「な、何が?」

「……さっきから、挙動不審。

 怖い?」


 怖い……のはない。

 エドガーだから。

 でも、なんだろう……。私のキャパを越えちゃってるというか……。

 

「怖くはない。

 エドガーだから。

 でも、なんだか、どうしたらいいんだろうとか、どう思うべきとか、なんだか、どうしたらいいか……」


 エドガーが少し困ったように微笑んだ。


「何もしなくていい」


 何もしなくていい?

 それはそれで……。

 私が不満そうな顔をしたんだろう。


「何? 不満?」


 言われちゃった。


「だって、私、エドガーのこと好きだもの。

 エドガーにもその、私と結婚して良かったなって思って欲しいし。

 だから、どうすればいいのか……、その、大人の女性はこんな時どうするのか考えるんだけど……。

 わかんない……。いろんな本を読んだり、その、姉さん達から話を聞いてたけど、自分のこととなると、本当にどうしていいか、わかんない……」


 エドガーがぎゅっと抱きしめてきた。


「ミコトと結婚できて、それだけでうれしいよ。

 それに、こういうことは二人で何度も積み上げて行くものでしょ?

 ん、積み上げるより、深める?

 あれ?

 なんて言ったらいいんだ!?」


 エドガーの心臓がすっごくドキドキしてるのがわかった。 

 エドガーも一緒だ。

 すっと心が落ち着いた。

 ごめん、エドガー。

 私の緊張がエドガーに移っちゃったかも。

 目を閉じて、エドガーの身体に自分の身体を預けた。


「ミコト?」


 エドガーの声がすぐ近くで聞こえる。


「いいの?」


 私は小さく頷いた。




 朝、エドガーの腕の中で目を覚ました。

 魔法塔はそれ以上高い建物がないからか、カーテンないんだ。

 明るい日差しが差し込んで来てる。

 ああ、ちょっと身体が痛い。でも、別にもう二度とごめんっていうほどではなく……。

 小説みたいにうまくはいかなかったけど、それはそれで、エドガーと私らしいか。

 いや、小説って、すぐに彼のものが入ってきて、痛いとか快感がとか書いてあるけど、なかなか入れるのすら難しかったよ!?

 でも、初めてだから無理しないでいこうってゆっくり進めることができたから、最終的にそこまで痛くはなかった気がするっていうか、痛みの基準がわからん!?

 まあ、大丈夫っちゃ、大丈夫かな。

 エドガーと一緒にうまくなればいいのか……。

 ……うまくって!? なんだ!?

 私はエドガーの腕から抜け出して、身体を起こして座るとじっとエドガーの顔を見下ろした。

 まつげ長い。寝顔だと、少し幼い感じに見えた。

 

「ん、おはよう、ミコト……」


 エドガーが目を開けて、私を見た。


「おはよう、エドガー」

「ん!? ミコト、ちょっと!

 朝から刺激が強い!」

「え?」


 私は私を見下ろす。

 はっ、裸でしたっ!

 しかも、朝の日差しの中で……。

 エドガーが私の手をつかんで布団から出てるまま、掛け布団の上に反対側に倒れ込んで……。

 上にエドガーがいる。


「きれいだ……。

 ミコトの裸……」


 はずっ!

 ベッドの上、足元の方だから、日差しが眩しい!

 

「ずっと見ていたい……」


 私は恥ずかしかったけど……。


「……見ていいよ。エドガーなら」


 なんて言っちゃってた。キャー!!

 でも、やさしく身体を抱きしめてくるエドガーの手が肌が温かくて気持ち良くて、私はうっとりと目を閉じた。




 えーと、これはどうしたらいいんだ。

 たぶん女官さん達は気を遣って訪ねて来ないんだろう。

 風呂……入りたい。

 エドガーと相談して、ベッドの上で夜着をまた身につけて、ガウンを着こんだ。

 エドガーがドアを開けて、キョロキョロしてたら、女官が来てくれて、エドガーはすぐ風呂へと案内されて行った。

 私はベッドに座ってたんだけど、女官が部屋に入ってきて、「失礼します」とガウンをめくられ、布を下半身に巻かれた。

 薄いおむつみたいな?

 私が『?』って顔をしていたら「移動中に精が垂れないようにです」と言われた。

 精?

 はっ、精子のことか!?

 確かに、出したんだから、私の中に!?

 エドガーの精子が私の中にあるっていうのがなんか不思議だけど……。

 確かに『エスタ』の姉さん達も仕事の後、当て布して、風呂に行き、薬液で洗浄してた。

 私はおじさんのはばっちいなんて思って、片づけしたり洗濯してたけど。

 はっ、とうとう私も、人に洗わせてしまう事態に!?


 昨夜の風呂のある部屋に向かう。

 確かに歩いている時に何かが身体から流れていく感覚がした。

 生理の出血と垂れていく感じが似ている気がする。

 でも、私はまだ生理が不定期で……。

 ああ、まだ、私の身体は……。こんなことしちゃって大丈夫だったんだろうか。

 でも、自分で決めたことだもの。うん。


 身体を洗ってから、湯船につかる。

 ひりひりするところがあったけど、少しすると痛みも和らいだ。

 

 風呂から出ると、またいい香りのするオイルを全身に塗られた。

 なんか、すごくリラックスして、眠くなる……。

 あくびが出ちゃった。

読んで下さりありがとうございます。

ミコトもエドガーも良かったね。


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