83 新婚の過ごし方?(ミコト視点)
どうぞよろしくお願いします。
「俺は自分が本来はエドガーという名前だと知って、クルトからエドガーに名乗る名前を戻しました。
隠してたわけじゃない。
まあ、見つかると面倒だなとは思っていましたが……」
シドさんはくっという何かを噛みしめるみたいな表情で私を見て、それからエドガーを再び見た。
「……シーザー王国に帰ってきていただけませんか?」
「どういう形で?」
「それは……、王子として?」
「君にもどうなるかよくわかっていないんだな。
王子として帰るつもりはないよ。
家族に一度会いたいとは思うけれど。
イサク、シド、君達には悪いが、俺は『魔法塔』の魔法使いとして、シーザー王国に行ってみようとは思っている」
「何のために?」
「仲間と兄弟のために」
「……転移者の妻がいるなら、神殿の主になれると思います」
「そういうのは必要ない」
「兄さん……、無事でいたこと、マイルズ共和国で魔法使いとして、結婚して幸せであることは、報告してもいよね?」
エドガーはイサクさんを見て頷いた。
「ああ、母さんに、そう伝えて安心させてやってくれ」
シドさんはふらついてイサクさんに支えられる。
「ああ、まだ本調子じゃないんじゃない!?
無理しないで!」
私が行こうとすると、エドガーが止めてきて、ホークがシドさんに近寄って支えてくれた。
「ありがとう、ホーク!」
騎士が案内に立ってくれ、三人はそれについて歩いて行った。
騎士団のあの部屋に戻るのかな?
そういえば、これで結婚式は終わりだよね。
「エドガーはライカン達と戻るの?」
私が聞くとみんな『えっ?』という顔をした。
「えっ?
だって私は着替えにメグミ様の家に行くし……」
そうそう、真珠のネックレスとか返さなきゃだよ!
「えっ?」
「えっ?」
エドガーと『えっ?』だけをくり返してしまう。
いや、エドガーも式服から着替えるだろし?
家に帰っても、私の部屋でエドガーが寝ている状況じゃ、私寝るとこないじゃん。
メグミ様が苦笑した。
「結婚式後のこと、考えてなかったわね……」
そこでエドガーは私を家に連れて帰るつもりだったこと。
私はメグミ様の家に帰ると考えていたことがわかって……。
「家!?
無理でしょ! ディーもいるんだし!」
私の言葉にディーが「ごめん」って言うし。
「ううん、違うの!
ディーがユミエラに会いに来てくれたのは本当にうれしいの!」
なんだ、もう、何をどうしたらいいんだ!?
「今日はさ、もうこのまま解散ってことにして、明日考えよう? ね?」
メグミ様とクラーク様が何やら相談してる。
わー!! もうあちこちに御迷惑をお掛けして……!
「解散って、本気で言ってる?」
エドガーに言われて……。
だって、みんなにも家で休んでもらいたいし!?
うう……。
クラーク様がエドガーやライカンに言った。
「とりあえず、エドガーとミコトは私の家へ。
責任を持って預かるよ」
ライカンは頷いて「よろしくお願いします」と礼をしてから、収納からエドガーの荷物を取り出してエドガーに渡す。
そして、シア、ユミエラ、ディー、そして戻って来たホークと帰って行った。
私とエドガーはメグミ様の家に行き、そこで楽な服に着替えることに。
クラーク様は少し話があるとかで魔法塔の方に残った。
私はいろいろ身につけているものがあるからね。リビングを占領してケリーさんとキリコさんとメグミ様が手伝ってくれた。
エドガーは私の部屋でザイマさんに手伝ってもらって、着替えることに。
ブーケはリビングに飾らせてもらう。
無事に真珠のイヤリングとネックレスはメグミ様に返せてほっとした。
ヴェールもドレスも吊るしておく。普段着のワンピースに着替えて、靴もいつものに。
部屋に私達がドレスなどを持って行くと、エドガーも着替え終わってた。
そのまま部屋にエドガーの式服と私のドレスやヴェールなど吊るしておくことにする。
ヴェールはシアとユミエラから。ヴェールを留めてた髪飾りはライカンとホークからのプレゼントだったそう。ザイマさんに真珠のアクセサリーをつけるようだと教えてもらい、それで選んでくれたそう。
早く言ってくれれば、お礼言えたのに!!
まあ、次に会えた時に言おう。
ライカンとホークと一緒に装身具のお店に行って、二人でお揃いの指輪を用意してくれたのはエドガー。
私の左手の指輪二つを見て、なんだか欲張りだなあ……、なんて思った。
セーブルの飾り玉ネックレスをして、いつもの私に戻った気して、ほっとした。
みんなで昼食の用意をしているとクラーク様が帰ってきた。
気を遣って時間をずらしてくれたのかな? すみません!
みんなでおしゃべりをしながら食べていると、ケリーさんとザイマさんとキリコさんが「私達から」と置物のような魔道具(?)を渡してくれた。
「これ、映像を記録できる魔道具なの!
私達、話を聞いていて、何か奇跡が起きたら記録しようと思ってて!
こうして、壁のある所に置いて……」
キリコさんとケリーさんが壁のそばに椅子を置いてそこに魔道具を置くと、ザイマさんがカーテンを閉めた。
キリコさんが魔力を込めたのがわかった。それが起動スイッチみたいだね。
魔道具の中の石が光り、すーっと光の筋が回転して壁を面を捉えて留まった。
すーっと光が面になり……、光が像を結ぶ。
あ、スライドみたいな!?
ドレス姿で微笑む私。まだヴェールを付けてないから、この家で準備した時だね。
そしてエドガーと並んで……、ライカンやシア達もいる!
これはギルドの!
指輪をお互いに嵌めている姿。
そして、馬車に乗り込み、座っていて、私がエドガーの袖をぎゅっとつかんでいる……。
魔法塔での結婚式。
上空に現れた映像と、舞う花びら……。
「ありがとうございます!!
エドガー!! 良かったね!」
「ああ、いつでも見られるなんて……。
本当にありがとうございます!」
私はにっこりした。
「エドワード王子にも見せてあげたいね」
エドガーははっとしてから、頷いた。
「そうか……、彼も……、母さんの顔は覚えていないだろうから……」
上映会(?)が終わるとキリコさんに言われた。
「見て見て! 花びらも集めて、この中に入れてあるの!」
「わあ、素敵です!
拾いたかったけど、拾えなかったから……」
「と思った!
で、小さいミコトが食べてるの、あれ何?」
私はさっきのホークとのやり取りを思い出して、笑ってしまった。
ソフトクリーム、アイスクリームの説明をして、メグミ様とアイスクリームやシャーベットぽい物なら作れそうよねなんて話をしていたらクラーク様が言った。
「今夜から君達が過ごす場所だが、ダルシュカーン様が魔法塔の部屋を使っていいと。
今夜から2泊。ゆっくり過ごせるだろう」
えっ? 魔法塔!?
私は戸惑ってエドガーを見た。
「ありがとうございます!」
エドガーは私を見ずに大きな声でお礼を言ってる……。
「えっ? それって、ダルシュカーン様と夕食一緒に食べるとか?」
私は魔法塔で過ごすってのがいまいち想像できなくて、クラーク様に聞いた。
クラーク様に笑われてしまう。
「まあ、そうだな。
ダルシュカーン様のお屋敷でお客として過ごさせてもらうという感じでいればいいだろう」
読んで下さり、ありがとうございます。




