72 メグミ様!?(ミコト視点)
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イサクさんとザイマさんは部屋を出て行き、メグミ様と私とエドガーが部屋に残る。
イサクさんがエドガー王子の様子を話していくたびにエドガーが傷ついたような顔をしていたのが、ずっと気になってて……。
だから、私はすぐにエドガーの隣ににじり寄って顔を覗き込んだ。
なんか……、考えてる。……辛そうな顔。
私はメグミ様をちらっと見た。
えーい!! と覚悟を決めてエドガーの膝の上に座るみたいに強引に身体をねじ込んで抱きついた。
無意識なんだろうな。
エドガーが心ここに在らずという感じなのに、ぎゅっと抱きしめてきた。
「……エドワードは不幸だったのか?
俺は、自分が双子の片割れで、自分の方が捨てられた方だと思った時、ほっとしたんだ。
俺の方が不幸で良かったと……」
エドガー、そういうところある。
自分が我慢すればいいみたいな。
「どっちが不幸とかそういうんじゃないと思う。
どちらも……厳しい人生になってしまったのかもしれないけれど、周囲に助けてくれる人はいたし、自分でもできることはあったはず。
エドガーは働いて家計を助けて……。不幸だった?
家族がいて、仲間がいて、私も……。
私も自分のいた世界からひとり、この世界に転移してしまって不幸だけど、シアやユミエラやライカン、メグミ様にマルミさん、そして何よりエドガーに出会えて、不幸なことばっかりじゃないよ。
自分がどう感じて、どう動くかってこともあると思う」
エドガーが腕を緩めた。私を、エドガーの腕の中の私を見た気がした。
「ミコト……、ちょっと離れて」
「えっ!?」
私は胸が痛くなった。
今のエドガーには私が必要だと思ったんだけど……、違った……!?
私のしゅんとした気配を感じたエドガーが慌てた。
「違う違う!
近過ぎて、ミコトの顔がよく見えないんだよ!」
私はそっとエドガーの隣に下ろされたんだけど。
エドガーが自分の方へ私の顔を向かせようと私の頭の後ろに手をやって、少し強引に力を入れた。
だって、私、離れてって言われて、ちょっと傷ついたんだぞ!
「ごめん。
これで見えた。
ありがとう、ミコト。
……そうだよな。
置かれた場が違っても、寄り添って助けてくれる仲間、大切な人がいれば……。
ミコトも俺もそう考えるなら、不幸じゃないし、幸せだよな」
「うん……。
エドワード王子だって、自分で動くことはできたのにしなかった。
今はイサクさんもいるし、その前からエレノア王女は妹として手を差し伸べて寄り添ってくれてたんでしょう?」
「でも、俺には幼い時に乳母だったライザがそのままうちの子としてくれて、だから家族の愛情を知っている。
エドワードの乳母はそのまま王城を去ってしまったようだし、そういうお互い守り合うような心を許せる存在もいなくて、自分ではどうしようもない身体の発育のことを責められたり……。
周囲から、心ない言葉を言われ続けるのは……、辛かった、だろうな……」
「それは……、エドガーのせいじゃないもん!」
私は少し怒って叫んだ。
「エドガーのせいじゃないから!
自分のせいってしないで!」
エドガーははっとしたように私の顔を見つめた。
私は心からの気持ちを伝える。
「エドガーのせいじゃない……。
エドガーはエドワードっていう兄弟がいることも知らなかったんだもの!
だから……。
エドガーのせいじゃないのに……」
私は悔しくなって、涙が溢れた。
エドガーはやさし過ぎるし、責任感も強い。
そんな知らなかったことまで、自分を責めないで欲しい。
「ミコト……。
俺のこと、そんなに心配してくれて……」
「当たり前だよ!
大好きなんだから!」
「ミコトっ!」
えっ!?
抱きつかれてソファに押し倒された。
ちょっと!!
メグミ様がっ!!
私は焦ってメグミ様がいた方を見ると、いない!?
あれ!?
視線を巡らすとメグミ様はドアの所で、手に持った鍵を私に見せてにっこり笑った。
えっ!?
ちょっと! 待って!!
メグミ様がドアから出て、閉めた。ドアの鍵がガチャンと掛かったのが見えた……。
私が視線を、私の上にいるエドガーに戻すと、エドガーもドアの方を見ていて……。
キスされる。ソファがぎしっと音を立てて、私は逃げられない。
その……、三人掛けの大きめのソファで、けっこうふかふかなんですっぽりはまっちゃってるみたいになっちゃってて、エドガーのキスを受け続けるしかなくて……。
頭がぼーっとしてきた。
あ……、でも、何かきちんと、これからのこと、話さないといけないんじゃ……。
私は懸命にエドガーの胸あたりを下から押し上げて唇を解放してもらうと言った。
「こ、これ……、これからのこと!!
ちゃんと、話し合わなきゃ!
エドガーは、どうしたいの?」
エドガーはため息をついて、私を引き起こしてくれた。
はあ……、良かった……。
ここで、そんなの……、ちょっと、じゃない、絶対だめだろ!?
それにしてもメグミ様……。面白がっていたよね!?
エドガーと話したところによると、イサクの願いでもあるし、いままで知らなかったにしろ、双子の兄弟であるエドワードに会ってみたい気もするそうだ。
困っているなら力になりたいし。でも、自分にももう大切な守りたいものもある。できる範囲であれば……と思っているそう。
私も、その気持ちはわかる。
エドガーなら、そう思うだろうってことも。
「わかった。
ライカンとシアに相談して……、どうすればいいか考えよう。
もしシーザー王国に行くことになっても、何か自衛できる用意やできることがあればしていこう!」
「ミコトも一緒に行く?」
「当たり前でしょ!
アサニヤ王国はやばいかもだけど、シーザー王国なら、魔法塔の魔法使いとして入国できるんじゃないかな?」
ドアがノックされた。
私は慌てて立ち上がりドアを開けに行った。
ここでもたもたしたら、何かしてたと思われちゃう!
メグミ様とザイマさんとライカンがいた。
あっ! ライカンにもシアのこと……、どう話せばいいんだ!?
メグミ様が遅くなった昼食を届けるように頼んでくれたとのことで、昼食が届けられ、話しをしながら食べることになった。
ライカンが苦笑しながら言った。
「計画していたように、ホークにクルトのふりをしてもらったんだが……。
まあ髪色も少し違って、黒ではないしな。
すぐに違うと指摘されたよ。
謝っておいたが……」
「シドは怒らなかったの?」
私の言葉にライカンが頷いた。
「ああ、『勘違いは誰にでもありますから』って」
勘違い……。
この場合はライカンが『クルト』の人違いをしたということ、だよね。
ということはライカンとイサクを繋げるようなことは、シドは考えなかったってことか。
エドガーが言った。
「俺はイサクからエドワード王子が置かれている状況を聞いて……。
一度、会ってみたいと思った。
王子として戻るつもりはさらさらない。
俺は魔法使いの剣士というか……、ミコトを守って生きていきたいと、考えてることに変わりはない」
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