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66 秘密基地と新しい名前(ミコト視点)

どうぞよろしくお願いします。

二日間のお休みありがとうございました!

少し年齢の高い子達とボランティアと仕事で関り、面白かったです。

いつもは0~1歳児が多いのですが、この二日間は2~3歳児と10歳児とのお仕事でした。

 ライカンとシアは結婚することになった!!

 おめでとう!!


 ライカンとシアは結婚に向けての準備を始め、私とユミエラとエドガーで相談して、今、女子三人で使っている部屋をライカンとシアに使ってもらうことにする。

 そして、ライカンの部屋をユミエラの部屋にすればいいよね。

 わたしはというと、使ってない部屋があったんだよね。

 小さな部屋で。

 たぶん子ども部屋? アトリエ? 出窓があるから物置には向かない気がするけど、天井の一部分低いというか、壁が斜めって天井になってるみたいなおまけの部屋みたいな感じで。


「ここでいいの?」


 ユミエラには言われたけど、私は満面の笑みで頷いた。


「うん、初めてのドア付きひとり部屋!

 秘密基地みたい!!」


 ベッドを入れて、斜めの方を足にすれば全然平気だし、造り付けの棚もあって、それもなんだかかわいい。

 出窓もちょっと低い位置にあって、椅子を置けば机として使えるような仕様になってる。

 うん、なんか作業部屋みたいな感じだったのかも。

 棚の横に服を吊しておけるハンガーラックみたいなのを置いてその下に蓋つき籠を置いて洗濯した下着や着替えを入れて置けるようにした。

 うん、楽しい♪

 私は収納魔法できるから、すぐ使うもの以外は(今は着ない昔の服とか、あんまり着る機会がなかったシアのお下がりのワンピースとかね)収納しておける。小さな部屋でも大丈夫!!


「んふふっ!

 私の~部屋~♪ ひとりの~部屋~♪ ひ・み・つ・の! 基地~♪」


 出窓には簡単なカーテンもつけた。一階だからね。庭まで入って来ないと覗けないとは思うけど、念のため。寝る時とか、気になるしね。

 出窓に本やノート、筆記用具、ランプなど置いた。

 棚にカバンや、今まで訪れた街で買ったお菓子の空き缶や空き瓶を並べてニヤニヤしちゃう。


「ふふっ、ずいぶんご機嫌ね」


 シアが覗きに来て、ベッドに腰かけた。

 私も天井が低い方に座って、シアにもたれかかるみたいに甘えた。


「うん、楽しい♪

 コタンの家も、ここに来てからも楽しかったけど。

 なんだか、自分の部屋って、うれしい」


 シアが私の頭を撫でた。


「ふふっ、そうね。

 こんなかわいい秘密基地ならエドガーも入って来にくいでしょうし、ね!」

「ん?

 子どもっぽい?」

「ううん、いいのよ。

 子どもっぽいミコト、見ているとうれしくなる。

 そういう経験をさせてあげられなかったし」

「ううん、シア。

 私、シアもミカエラもエドガーも、そしてライカンも。

 家族になれてうれしいよ。

 幸せなことだったと思っている。

 たくさん与えてもらったよ。

 だから……、シアが幸せになろうと思ってくれて、うれしい」


 シアがちょっと目を見開いてから、微笑んだ。


「ありがとう。

 どうしても、私なんて……という気持ちが抜けなくて。

 でも、ユミエラやミコトは幸せになって欲しくて……。

 自分でも矛盾してると思ってたけど、それはどうしようもなくて。

 ライカンのことはお兄さんみたいに思っていたの。

 ライカンからすると、私は年上の幼馴染の娘、ですもんね。

 スミレ様のことも知っている……。

 そして逆に、私の過去もね。

 何があったのか、娼婦をしていたことも……」


 叔父さん一家に騙されたんだっけ。

 私はシアをぎゅっと抱きしめた。


「ありがとう。ミコト。

 ようやく気付いたの。

 自分が今までしてきたこと、生き抜いてきたことにもっと誇りを持っていいんじゃないかって。

 自分はユミエラや他の娼婦に幸せになって欲しいと思いながら、自分にはそう思えなかったことは、間違いだって」

「うん、うん」

 

 私は抱きついて頷くしかできなかった。

 自分では、愛する人にそう思ってもらえたとしても、世間的にはやはり隠した方がいいことは確か。

 

「ライカンといるとね。

 安心できるの。

 甘えていいというか、そう、自分を許せなかったことが……」

「うん、うん、シア。

 ライカンと幸せになって」

「ええ、ありがとう」



 次の日。

 ライカンとシアの結婚式!!


 白いロングドレスに、ヴェールのシアはすごーくきれいだったよ!


 マイルズ共和国では役所かギルドに届けを出すんだって。

 そしてライカンは魔法塔の騎士だから、魔法塔でも結婚式をしたんだ。


 私、ユミエラ、エドガー、それにホークとロバートさん、メグミ様にザイマさんも来て、祝福してくれた。


 馬車でふたりだけ先に家に帰ってもらう。

 これから、私達は昼食、夕食と外で過ごしてから、家に帰る約束になってる。

 シアとライカンのご飯は大丈夫だよ!

 ちゃんと用意してきた。

 マカロニみたいのも茹でて、ソースに和えるだけだしね。

 他にもロバートさんにおいしい料理を聞いて、テーブルに準備したり、ライカンに収納しておいてもらったりしてある!


「シア! きれいだったー! おめでとう!」


 私はシアに抱きついた。

 結婚式が全部終わるまではって我慢してたんだからっ!

 ユミエラもその上から抱きついてきた。


「幸せになってよね! 本当! おめでとう!」

「ミコト、ユミエラ、ありがとう!」


 シアもユミエラもなんだかちょっと涙目で。

 それから、シアとライカンは馬車に乗って家に帰って行った。


 ホークがロバートさんをつかまえて「今日はとことん付き合ってもらうぞ!」と叫んだ。


「何ですか……?」

 でも、お付き合いしましょう!!」


 戸惑いながらもニコニコしているロバートさん。

 

 ロバートさんが現れて、ホークが慌てなかったら、こうはなっていないんだもんね。

 そこへユミエラが「私も付き合うよっ!」とわちゃわちゃしてる。


 私とエドガーはメグミ様とザイマさんに「来て頂き、ありがとうございます」とお礼を伝えた。


 シアが新しい名前を魔法塔で届けたんだよね。

 ギルドの方は通称のまま、婚姻のことを記入してもらったんだけど、本当の名前は魔法で刻み直しが必要だからね。

 前の家、リンデウム伯爵家の名を捨て、ライカンの家の姓に、そして、ライカンとふたりで新しいミドルネームを考えたのだそう。

『本当の名前』も新しくしたってこと。


 最初に出会った時、私がフルネームを言ったら『名前は言ったらだめ』って教えてくれた……シア。

 新しい本当の名前を得ることができたってのもいいことだよね。

 きっと。

 前の名前は……、その家を乗っ取った叔父さんに知られていて、嵌められたのかもしれないし。


「次はミコトとエドガーの結婚式かしらね?

 1、2年後くらい?」


 メグミ様が笑う。


「そうですね。できるだけ最短で!」


 エドガーの返事に我に返った。

 最短!?

 16歳じゃないの!?

 まあ、15歳でも……、できなくはないけど、ユミエラひとりになっちゃうし。

 もう少しゆっくりでも!?

 それに私はもう少しこんな風にみんなで暮らしたい。

 少し声を潜めてメグミ様が言った。


「コタンを、シーザー王国視察官がそろそろ出るそうよ。

 エドガーのことを聞きつけたのでしょう。

 まっすぐジュノーへ向かってくるそうよ」


 エドガーも私も表情を引き締めた。


「はい、ありがとうございます。

 その時は……、ミコトを、魔法塔で預かってもらうとか、何かお願いするかもしれません。

 よろしくお願いします」


 私はびっくりしてエドガーを見た。

 私を預ける!?

 メグミ様は私の表情を見て笑った。


「ミコトはそんなこと思ってなさそうよ。

 明日、また相談しましょう」


 メグミ様とザイマさんを見送る。


「おーい!! 行くぞ!!」


 ホークに呼ばれて私達は顔を見合わせてからちょっと笑って歩き出した。


読んで下さり、ありがとうございます。

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