61 首都ジュノー(ミコト視点)
ここから第二部という感じになります。
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「ミコト、先ほどの治療はうまくイメージできていました。
治るイメージが上手にできると、治療魔法の効果も高くなります。
治す早さもどんどん進歩してますね」
メグミ様が今、取り組んできた怪我の治療について、褒めてくれた。
魔法塔で『治癒の会』みたいなのが定期的に開かれていて、そこを修行の場としているのだ。
特に問題なく治癒魔法は使えているみたいだ。
ほっ。
「エドガー、あなたは属性魔法の修行の方に。
ザイマ!
エドガーを頼んだわ!」
見学として付き添ってくれてたエドガーが残念そうにため息をついたのをメグミ様は見逃さなかった。
ザイマさんと部屋を出て行くエドガーを見送りながら呟く
「あらあら残念そうだこと」
メグミ様、さん付け、だったけど、今は上司というか師匠みたいな感じ。
さらに、魔法塔の中では周囲から『メグミ様』と呼ばれているから私達も同じように、メグミ様と呼んでいる。
ジュノーに来て、正式に『魔法塔』の魔法使いとして認められ、魔法の修行に入って、1ヶ月ほど経った。
最初は魔法塔の中の部屋、宿舎みたいな個室の部屋や食堂があるところに五人で泊めてもらってたんだけど、今は魔法塔のそばの小さな一軒家を借りて住んでいる。
私とエドガーとライカンは一緒に魔法塔に通学、通勤しているみたいな?
シアとユミエラは家のことをして、冒険者としても活動をしている。
ユミエラとシア、二人だけで心配じゃないかって思うよね?
実は、助っ人がいるのだ!
デュランにいた、ホーク!
ほら、まだ17歳と若いのにけっこうな実力者だった!
ジュノーに出てきてたみたいで、ギルドでばったり!
さすがにパーティに入れる、家に一緒に! とはできないから、ホークはギルド近くの単身用のアパートみたいな部屋を借りて住んでる。
ユミエラとシアとホークで狩りや依頼をこなしに行ったり、ホークが夕食を食べに家に来たりって感じ。
気持ちを切り替えるために名前を変えたことや、魔法塔に所属することになったことはちらっとは話したけど、特にその背景を知りたがることもなく、いい友達関係でいられていると思う。
エドガーのことは相変らず「兄さん!」と呼ぶので、なんだかエドガーの弟みたいな気もしてくるよ。
ユミエラは頑張って、エドガーに借金全部返し終わった!
「これからは自分の好きなもののためにお金を使う!」って叫んでた。
私は髪の毛くるくるはやめたし、スカーフで覆うこと、フードもいつも被ったりもしなくてよくなった。
ただ、魔法使いの服はフード付きなので、被ろうと思えばいつでも被れる。安心感はあるよね。
前に切った髪もくるくるをやめたし、伸びたこともあって真っ直ぐな黒髪を肩ぐらいまで下ろしている。前よりは大人っぽく見えるかな!?
私はメグミ様について聖魔法の治癒魔法について修行している。
やはり転移者は聖魔法の力が強いのだとか。
エドガーも母スミレコの遺伝もあり、素質はあるけれど、そこまで強くはないそう。
一緒に修行して、擦り傷や小さな切り傷は治せるようになったけど。
それ以上は進展があまり見られず、まず属性魔法から、一番得意な土、実は火と水も使えたんだけど、隠してて、まあ、そっちの方を今は伸ばそうということになったんだよね。
でも、聖魔法の感覚も育てるために、私の修行をこうやって見学していることもある。
ライカンも『魔法塔』所属の騎士になった。
魔法塔騎士団、だね。
私の護衛が主なお仕事だけど、魔法塔に入っちゃえば、護衛しなくて大丈夫なので、剣や魔法の修行を騎士団の方でしている。
エドガーもそっちでいい気がする。
ザイマさんもそう思うみたいで、時々、騎士団で剣の修行もしてくるみたいだよ。
ザイマさんは防御が得意って言ってたけど、剣もけっこう使えるそう。
メグミ様の護衛でもあるしね。
魔法の防御って難しいと思う。つまり相性を考えて、打ち消すような魔法を繰り出すってことだもの。
しかも、魔法にはいろいろな種類があるしね。
物理的な攻撃をはね返すってこともあるし。
エドガーがそれができるようになったら、私の護衛になってくれるのかな。
何となく期待しちゃう。そしたら、ずっと一緒にいられるもんね!
コタンでマルミさんに教えてもらったシーザー王国の視察っていうのは、私達がコタンにいるうちに、デュラン、マイネ、サライ、ニースとマイルズ川沿いを移動してたそう。
ちょうど私達がジュノーに来る前に、ジュノーを通り過ぎていて、入れ違いになったそう。
まあ、会わない方が良いから、それはよかったのかな?
その日の夜、ホークが夕食を食べに来て、なんだかわいわいしてたんだけど、帰った。
明日はユミエラとシアは狩りはお休みにするそう。
そんな話をしている時にライカンが少し改まった感じで、みんなに話があると言った。
「今日、騎士団の方でエドガーと一緒にいたら、『マイルズ共和国出身か?』と出入りの業者に声を掛けられてね。
なんでそのようなことをというと、以前魔法塔に視察に来たシーザー王国の文官から聞かれたそうなんだ。
『生き別れた兄を探している。黒髪で青目の20代の男で、クルトという。見かけたり聞いたことはないか?』と。
エドガーを見て、そのことを思い出したと」
「エドガーを探してるの?
兄ってことは、話を聞いてた学費を援助してたっていう弟さんよね?」
少し驚いたような表情でシアが大きな声を上げた。
私とユミエラも同じ。
弟がいることは聞いてた。
でも、それは引き取られた乳母の家の息子で……。
「じゃあ、その文官がエドガーの弟だとして、心配して探してる?」
ユミエラの言葉にライカンが首を傾げた。
「それから他にも聞かれた者がいないか、騎士や係の者に声をかけてみたんだ。
文官と護衛の二人組の視察で、護衛の方も『クルトという名の冒険者の男を知らないか? シーザー王国出身で、こちらに来ているはずなんだが』と何人にも聞いていたんだ。
二人はクルト、今のエドガーを探していることは確かなんだが……。
話を聞いていると、その弟の文官と、護衛の男の温度差のようなものを感じてな……。
同じ『クルト』を探しているのに、目的は違うような……」
「それは兄と、そうじゃないか、の違いでは?」
ユミエラがきょとんとした顔で言った。
「うーん、何というか……」
ライカンが困った表情を浮かべる。
感覚を伝えるのって難しいよね。
私はユミエラに言った。
「クルトの弟……、イサクさんだっけ? はクルトのことを心配して探しているんじゃない?
視察でマイルズ共和国に来れることになったから、もしかしたらと探してみている?」
エドガーがはっとする。
「イサクは利用されている、とか?」
「そうだね。
うん、なんか、クルトというかエドガーを、王の血を引くエドガーを王家の方で探し出そうとしているのかも!?
……私を一緒に探してないってことは、私の存在は王家にはバレてない!?
じゃあ、私を追って来てたという人は、やっぱりあの貴族の坊ちゃんの手先?」
読んで下さり、ありがとうございます。




