60 ジュノーへの旅立ち前に(ミコト視点)
どうぞよろしくお願いします。
ここで第一部終わりみたいな感じです。
次の日、私達は薬学研究所の前で『魔滅のラビリンス』と待ち合わせした。
「おはよう!
今日もよろしく頼むよ!
あれ? お仲間かい?」
オハラさんにライカンが『魔滅のラビリンス』を紹介してくれた。
「私達『ユニコーン』はそろそろ次の街へ移動することになりまして。
後任として『魔滅のラビリンス』を紹介、推薦します。
今日の報酬はそのまま二つのパーティで分けさせていただき、途中の狩りも前回と同じでお願いします」
「……それは残念だ!
収納魔法の使い手は貴重だからな……」
「私、収納魔法できます!
ミコトさんとライカンさんに教えて頂きました!」
お姉さんが手を上げてアピール!!
そうか!
だから、ライカン、声かけたのかも!
真面目なパーティだって知ったしね。
また瓶とか挟むノートとか箱とか採集に使う道具を収納していく。今回は三人でね。前回知ったことを伝えてグループごとに収納するといいことを伝えたりした。
ひとりだと荷物を出したりしまったりが大変そうだけど、お姉さん、そういう仕事が得意そう!
細かく覚えて、メモもちゃんと取っていて、次はひとりでも大丈夫そうだ。
妹ちゃんもそばにいて出し入れを手伝ってくれている。
この仕事、いいパーティに引き継げてよかった。
次の日は魔法学研究所の方の狩場に行ってみることに。
ギルドで、そちらでもセーブルが獲れそうで探してみて欲しいと言われたんだよね。
魔法学研究所にレイさんを訪ねてから行こうとしたんだけど、なんかレイさんがそわそわして、一緒に行きたいと。
家に荷物を取りに戻りがてら寄ると、エルくんがいた。
今日は学校がお休みなんだって、ナルちゃんはメグミさんの所へ行ってるそう。
レイさんの話を聞いてエルくんも「行きたい!」と。
そりゃそうだよね。
エルくん、自然の観察に興味があって、前からフィールドワークに連れていけって言われてたんだって。
まあ、今回はギルドの依頼でセーブルを調査みたいな感じの狩りだしね。
それに、レイさんの魔法、ちょっと見てみたい!
ユミエラがこの前、熱魔法の使い方を聞いて試してみたいってのもあるんだよね。
七人で出発!!
魔法研究所の裏の山道を登っていく。
レイくんはご機嫌。遠足みたいで楽しいもんね。
歩きながら食べられる野草を教えてくれる。
この前食べたねぎっぽいやつとか、大葉みたいなのとか。
あと、あんまり前の世界で食べたことないんだけど、ミョウガってレイ君は言ってたの。
なんか夏におそばの薬味で刻んだの見たこと、聞いたことあるような……。
なんか、砂糖と酢に付けてもおいしんだって。
へー、取って行こう!
それから、だいぶ狩場の中に入ったなというところで、私は魔力の気配を探る。
「ここから、もう少し奥の右にセーブルだと思う。
4頭いる。
それから、右のこっちにウジューがたくさんいるよ!」
「ウジュー!!
ナル、大好物だよね!」
エルくんが小さく叫んだ。
「じゃあ、先にウジューを狩っていこうか。
セーブルの方で大騒ぎしちゃうとウジュー逃げちゃうかもだから!」
私の言葉にレイさんが言った。
「ミコトは魔力を感知できる?」
「はい、なんとなくですけど。
何となく頭の中にここら辺の地形と、魔物が魔力の塊に視えるんですよね」
「……メグミはその力が強くて、人間の魔力感知ができる。かなり細かくね」
「……そうですね。
私とエドガーの魔法の力が『魔法塔』に入れるくらいだとか話してましたもんね」
あの時は別にギルドカードとか見せたわけじゃないし、何か魔法をしたわけでもない。
それでも判断がつくということは、やはり視ていたってことだよね。
いつもはウジューは魔法のストーンバレットでほとんどを仕留め、逃げようとしたものに剣で止めをという話をする。
「僕もストーンバレットやってみたい!」
エルくんの希望で、エルくんとレイさんにお願いすることにする。
ちょうど森の中の少し開けている木陰の下にかなり大きな群れがいた。
レイさんが上から下へ撃ち出すとか、1センチくらいの大きさにしろとかアドバイスしている。
90度くらいの横に私とエドガーとライカンは潜み、すぐに斬りかかれるようにしておく。
ユミエラとシアはレイさん達を守る人ね。魔法使っていると夢中になっちゃいそうだもんね、特にエルくん。
「ストーンバレット!」
エルくんの声が響く前にレイさんのストーンバレットが打ち出され始め、エルくんのストーンバレットもしゅばばっ! って撃ち出される。少しゆっくりだけとちゃんと前に飛んでるくらい威力はある!
ある程度は倒れて動かないが、逃げだしたものを剣で、私はナイフだけどね、止めを刺したりして捕まえていく。
「わあ、大量!!」
エルくんが喜ぶくらい、大きな群れだった。
23羽いたよ!
これはすごいな。
「焼き鳥パーティー……、いい塩で食べたらおいしそう!」
エルくんがほわほわした表情で言った。
「いい塩?」
ユミエラの言葉にレイさんが教えてくれる。
「海の塩の他に、岩塩なんてのもあってね。
特にピンクの岩塩をナルが好きで『いい塩』って言うんだよな」
「うん!
ちょっと甘い感じだよ」
ウジューを収納してから、セーブル狩りへ。
これはエルくん、さすがに前に出ると危ないので、私と後ろにいることにした。
シアとレイさんが追い立て役をしてくれる。
「父さんは土と火の属性魔法ができるんだよ。
森の中では火は使いにくいんだけど……。
熱魔法も得意でさ。
焼き鳥焼くの上手いよ」
あれ?
やっぱり、熱魔法って、調理や家事に向いてるのかな。
ユミエラとエドガーで1頭、ライカンが1頭、それからレイさんも1頭仕留めた。
1頭だけ、魔法を掛けられた方へ突進してきて、レイさんがそのセーブルに手を掲げて見せたら、止まってしまって、ふらついて倒れた!?
「すごい!
直接熱をぶつけたんだよ!
頭に!」
うえ!? そんな恐ろしい魔法が!!
恐る恐る見に行くと、そのセーブルの頭というか目や顔のあたりが火傷したみたいというか、目なんか白くなってて……。
ああ、熱を飛ばせるようになるとこんな攻撃もできるってことか!?
セーブルにしてみれば、急に頭や顔が熱波に包まれ、焼かれたと蒸されてというかそんな感じ!?
見えない攻撃だから、こわいね……。
「いるな、セーブル。
ミコト、もう少し探ってくれないか?
今日はもう狩らないが、調査としては、な」
私はライカンの呼びかけに魔力を探った。
「うん、今の狩りで、奥の方へ逃げたけど、もうひとつ奥の森に群れが4~5頭の群れがふたつくらい確認できるよ」
「なら、ギルドにいい報告ができるな」
帰りながら一角ウサギが隠れてるところを見つけて、今度はエドガーとエルくんがストーンバレット!
全部狩らず、死んだり傷ついたウサギだけ、狩った。
それから、魔法研究所前まで戻り、乗合馬車でギルドまで!
エルくんもレイさんも一緒に行った。
エルくん、すごくうれしそう。
ギルドに着くと、買い取りに獲物を出して、セーブルの報告。
レイくんとエルさんにもきちんと働いた分貰ってもらう。
レイくんは薬草を集めながら歩いていたそうで、ちゃっかりそれでお小遣いもゲットしていた。
ふたりでセーブルの角細工の出店で、マルミさんとナルちゃんにおみやげ買ってた。
マルミさんには櫛を、ナルちゃんにはそれぞれ飾り玉を選んで、ね。
私と同じ三つのネックレスになったね、ナルちゃん!
そして、メグミさんがジュノーの『魔法塔』に向かう日が来た。
私達も、家を片付けて、鍵を返し……、その二日前くらいにカイト、クラウスさん、カテリーナさんが自分達の家に戻って来たから、余った薪とか貰ってもらった。
あ、でも、最初来た時、薪分けてもらったもんね。
ちゃんとお返しできて良かった!
前日にはカイトがまたお泊りに来た。
ナルちゃんと仲良くなったこと。
それから、私に言われたようにきちんと丁寧にお話ししたら、ナルちゃんともっと仲良くなれたんだよ! と教えてくれた。
別れ際にクラウスさんが「もし、アサニヤに戻れと言う命令が出ても、マイルズ共和国の方にこのまま残ることを選択しようと思い始めてます」と言った。
「じゃあ、コタンに来れば、みなさんにまたお会いできますね!」
「はい!
また、遊びに来てくださいね」
カテリーナさんもにっこり笑ってくれた。
図書館に移動するとメグミさんがマルミさん達と別れを惜しんでいた。
「あ! ミコト!
私達も、今度ジュノーに遊びに行くからね!」
ナルちゃんの言葉が明るく図書館のエントランスに響いた。
そして、私達はマイルズ共和国の首都ジュノーに向かっての旅を始めた。
読んで下さり、ありがとうございます。
次はジュノーでの『魔法塔』からスタートな感じです。
第二部という感じかな。
イサクもマイルズ共和国に王妃の命令でクルト(エドガー)を探しに来てますし、この後の展開次第ではシーザー王国に行くこともあるかもしれない。
エリオット王子はもちろん、エドワード王子も後半で話に絡んでくる予定です。
少しお休みして、書き進めたら、連載を再開させますので、3日間ほどお休みをいただきます!
これからもどうぞよろしくお願いします。




