59 夕食会(ミコト視点)
どうぞよろしくお願いします。
メグミさんが地理歴史研究所での話を聞かせてくれた。
訪ねると、ラスター様が研究所の見学と称してクラウスさんを引き留めていたそう。
なので、クラウスさんはカイラムとラスター様とアサニヤ王国の王族が急に見学に来て対応していたって感じで、何が自分の家族に起きていたかわかってなかったみたい、
研究所の上司にはメグミさん達は状況を伝えて協力を求めたそう。
その動きに気が付いたラスター様が従者を連れて「お暇を」と言い出したそう。
本当はカイトとカテリーナさんが研究所に駆け込むとかが合図だったのかもしれない。
その前にラスター様が家の方に来てくれて、良かった。
もっと言い合いしなきゃいけないのは難しそうだったし。
「最後にカイラムに何か言われてた?」
エドガーが聞いてきた。
「あ、『転移者を殺した男の気持ちがわかった』とか」
メグミさんとライカンが顔を顰め、エドガーも心配そうに私の手を握った。
ライカンとエドガーはスミレコのことを思ったのかも。
メグミさんもこれまで不幸な目に遭った転移者達のことを……。
『手に入らなければ、誰のものにもならないように、殺してしまう』ってことだもんな。
第3王子がスミレコに抱いた気持ちや感情はそれに近いのかもしれない。
殺すことすらできず、スミレコを貶めて苦しめることで、自分の心を保つみたいな?
カイラムも……、娼婦達のことを本当は汚れているなんて思っていて。
男とそういうことをするということが汚れていることなら。
私とエドガーがそういう関係にすでになったと思い込んでショックを受けて。
そんなんで、私を殺したいってどういうことだよ。本当。
「もう、ミコトの心は得られないと思って?」
ライカンの言葉に私は言った。
「心も身体もね!」
「えっ?」
ライカンのびっくり顔!
「あ、本当じゃないよ!
その、エドガーとのこと……。
本当はまだ、キスしかしてないんだけど……。
そのことを思わせぶりというか、いや……、峰不二子みたいに翻弄してやろうとか、その……」
メグミさんが吹いた。
「プッ! くくっ!
峰不二子って!
何、何したのよ!?」
そこで私は……、カイラムの注意をこちらに引き付けるために、エドガーにキスされたことをキスだと伝えずに話したことを白状した。
メグミさんは笑い転げ、ライカンはちょっと怒ってる!?
エドガーは手を握ったまま放してくれず、私の肩というか、首元にそっと顔を寄せて「早くそうなりたい」と呟いたので、私は真っ赤になって、硬直してしまった、
マルミさん、エルくん、ナルちゃん、シア、ユミエラは笑顔で迎えてくれた。
もう安全だと聞いて、ほっとしていた。
食事の準備に戻ろうとしたんだけど、ナルちゃんにカイトの事を聞かれた。
そうだよね、気になるよね。
マルミさんが言った。
「ミコト!
ナルとエルの相手をしてやってくれない?
私達、ちょっと離れて、違うことしたいのよね!」
ふふっ、そんなことあるのかな?
でも、狭い部屋でずっと警戒して過ごすのは大変だったろうな。
「はい!」
カイトは無事で、でも、しばらくは安全を考えて学校のそばの家に住むみたいだよ、と教えてあげた。
「じゃあ、学校で会えるね!
良かった」
ナルちゃんとエルくんは家の中を案内してくれたり、大切にしているもの、ナルちゃんは人形、エルくんは何冊かの本を見せてくれた。
レイさんも戻って来て、ナルちゃんに手紙を渡してた。
カイトからかな?
夕食が始まった。
おにぎり、具は梅干しもどきとねぎ味噌っぽい物。
お味噌汁はわかめみたいな海草と青菜とねぎみたいなの。
お野菜の煮物みたいなのも、ちょっと和食っぽい。
それから、魚の切り身の塩焼きに、味噌漬け焼き。
後、ジュノーのレストランの料理として、メグミさんが収納してきたという、焼き肉のお皿がドーン!!
これがすごくおいしくて!
ジュノーに行ったら、みんなで食べに行ってみたいな! と思った。
ナルちゃんとエルくんの誕生日のお祝いになり、私達からの飾り玉のペンダントと携帯植物図鑑はとても喜んでもらえた。
レイさんに飾り玉のお店を聞かれた。
ナルちゃんに私みたいに3つにしたい! と言われちゃったそう……。
人気が出るかもね!
ナルちゃん、エルくんが寝る時間の前にお礼を言ってお暇した。
乗合馬車で何とか帰って来られてほっ!
明日はお休みにして、コタンの観光でもしようかという話になる。
確かに、あと一週間しかいないなら、いろいろ見に行ってみたい。
図書館も見学だけじゃなく、本を読みに行ってみたいし!!
それに明後日は薬学研究所からフィールドワークの護衛を依頼されてるし。
風呂に入って、あー!!
今日は疲れたよね……。
寝る仕度をしてベッドにごろんと転がる。あー、気持ちいい。
壁をコンコンとノックするような音。エドガーだ。
「今日はお疲れ様でした」
私は寝っ転がりながらにっこり言った。
ベッドまで来るとエドガーも同じベッドにごろんとしてきて、頬杖をつくような感じで、寝転がっている私の顔を覗き込んだ。
「とりあえず、アサニヤ王国とカイラムは撃退できて良かったな。
『魔法塔』の魔法使いになれば、シーザー王国も手を出しにくくなるだろうし」
「私も、エドガーにもね」
「俺も?」
「うん、エドガーが王族の、しかも今の王様の息子だなんてわかったら、利用しようとしてくる人いそうじゃない?
だから、良かったよ」
「……心配してくれてたの?」
「うん、だって、恋人で婚約者だもん」
「ああ、早く結婚したいよ」
私はくすくす笑った。
「さすがに……、私が16ぐらいにはならないと……」
「あと、2年か……」
エドガーががっくりするので、私は右手を持ち上げて伸ばし、エドガーの頭をなでなでした。
「待っててね、エドガー」
「待ってるよ!」
エドガーが抱きしめてくる。
うん、安心する。温かいし。
軽くキスされる。離れてはまた触れ、離れては……。
そのうちにだんだんゆっくりになり、深く……。
でも、温かくてやさしくて……。
私はついうとうとしてしまった。
次の日の朝。
目が覚めたら、もうひとつのベッドでユミエラが寝ていてびっくりする。
ユミエラはまだ起きてなくて、台所の方に行ったら、シアがいて。
どうやら、私が寝ちゃった後、エドガーがこのまま同じ部屋で寝たいと言い出したんだけど(まあ、ベッドはもうひとつあるからね)、止めるみんなと揉めて、ユミエラが私の隣のベッドで寝たんだってさ。
そんなことが?
私、疲れてたこともあって、キスされながら寝ちゃったからなあ……。
その日の午後は図書館に行き、ジュノーのことや『魔法塔』のことを調べた。
入ってから調べるなんて、順番が逆だけどね。
それからギルドの方に出て、通りをぶらぶらしてレストランで昼食を食べてから、ギルドに行った。
「ミコトさん!!」
声を掛けられて。
あ、妹ちゃん! 『魔滅のラビリンス』の!
午前中、セーブルの狩りに行ってたそう。
一頭狩れたそう!
でも、他のパーティも狩場にいたから、一頭でおしまいにしてきたそう。
それを聞いてライカンが言った。
「明日、仕事をする気ないか?」
読んで下さり、ありがとうございます。
第一部という形で、次の話でまとめて。
第二第はジュノーに来てしばらく経ってからから始まる予定です。
まだ、イサクと出会えてないし、シアは叔父家族、ユミエラは父親に仕返ししてないので、そこらへんとエドワード王子がエドガーに関わってこようとするかな……という構想はあるので、もう少し書き進めてから、第二部再開としようと思います。
数日お休み頂きます!
これからもよろしくお願いします。




