6 属性魔法について(ミコト視点)
どうぞよろしくお願いします。
クルトとミカエラが帰ってきた。
このふたり、いつもなんか言い合ってるけど、仲がいいよね。
「わー、このパン、大きいね!!」
私は私の顔くらいあるパンを見て驚いて言った。
「ふふん、残してお弁当にもできそうでしょ!
それに、ハムとチーズ。
それに果物も買ってきたよ」
クルトがミカエラの言葉に合わせていろいろ包みをテーブルの上に乗せた。
宿で水とポットとカップは借りられたので、プリシラが茶葉を出して、ミカエラがポットに火魔法でお湯を沸かして、お茶を入れて飲みながら、食事する。
大きなパンはクルトが大きめのナイフで切ってくれた。
ふふふ、なんだか楽しい。
「そういえば、ミコトのカード見てギルドの職員が驚いていたけど、何かあった?」
クルトがプリシラに聞いた。
プリシラが私に頷いたので、私はカードをクルトに渡す。
「えっ?
全属性持ち!?
聖魔法は……、本当に転移者だったらと思ったけど、属性もか!!」
ミカエラも覗きこんで「わお! すごいね!」と言った。
「なので、魔法教えて!
ミカエラは火、プリシラは水、クルトは?」
クルトはあんまり魔法使っているの見たことないや。
「あ、俺は土と水が使える」
「え?
クルト、2属性なの!?」
ミカエラが驚いたように言った。
「ああ、普通の狩りだと剣で何とかなること多かったし、そこまで魔法使わなかったな、そういえば」
その日の夜、ベッドでクルトが魔法について教えてくれた。
四大自然属性魔法があることは私も本で知っていた。
だいたい一人1属性なことが多いんだって。
でも、たまに複数の属性を持った人がいて、魔法使いにはそういう人が多いとか。
水は水を使った魔法。
☆が3つまでは水魔法だけど、☆4つからは上位魔法になり氷魔法になるのだそう。
「えっ?
じゃあ、他の属性にも上位魔法があるの?」
「ああ、土の上位魔法は岩魔法。
風の上位魔法は雷魔法だ。
火の上位魔法は、熱というか熱発魔法というか」
「へー、すごい!
なんか面白いね。
じゃあ、私が風魔法をできるようになれば、全魔法が使えるパーティになるね!」
私の言葉にクルトが笑った。
「そうだな。
頼りにしてるよ!」
「で、これはどうやったら星が増えるの?」
「自分で上達したなと思えば、ギルドで鑑定してもらって書きかえるんだ」
「じゃあ、このまま書きかえないで置いとくこともできるんだ……」
「まあ、できなくはない。
でも、獲物を換金したりする時にカードに記録がつくから、な。
どうなんだろ?」
「私はそこまで狩りに参加しないから?」
首を傾げた私を見て、またクルトが笑った。
「そうだな。
もう少し、ここから離れるまでは目立たない方がいいだろう」
「うん!」
ミカエラが私のベッドに飛びこんで来て、私を抱きしめた。
「何、話してたのよ!」
「あ、魔法について。
ミカエラには火魔法教えてもらう!!
よろしくお願いします」
「ふふ、いいわよ!
それと剣もね!」
「剣は俺も教えられるよ」
クルトが慌てて言った。
次の日の朝、川沿いに南下して、地図だと南南東に進むような感じで次の街デュランを目指すことにする。そうするとシーザー王国の影響もだいぶ薄れるって。
プリシラに地図を見ながら聞いた。
「こっちのアサニヤ王国に近くなるから?」
「そう、デュランはちょうどこの三国の真ん中みたいなところね。
そこまで行けば、シーザー王国の手は届きにくいでしょ」
「なるほど……」
あの坊ちゃん、そんなに高位貴族だったのか?
でも、なんで、私を神殿にじゃなく、自分お屋敷の使用人に、だったんだろう?
……もう、過ぎたことだもんね。
これからの楽しいことを考えよう!
私も魔法頑張って、みんなと狩りしてお金をたくさん儲けたい!
それで、いい場所があったら、みんなで暮らす家を買いたい!!
まあ、いつまでみんなが一緒にいてくれるかわからないけど、今はそれが私の夢!!
私はプリシラにえへへと笑った。
プリシラもふふふと笑ってくれた。
ギルドで鍵を返して、市場でもう少し食べ物や飲み物を買い足した。
私は自分の水筒にお水を入れてある。
「ミコトの水筒いいよね。
冷たいのや温かいの入れても温度変わらないもんね」
ミカエラが思い出したように言って。
「でも、ミカエラの火魔法でお湯温められるのもすごい!
今度教えて!」
私はそう言って歩き出した。
デュランまでは歩いて2日間ぐらいかかるそう。
途中に村があって、野営できる場所があるそう。
マイルズ共和国って、治安が比較的いいみたい。
日本……みたいな感じ?
シーザー王国では私はあまり出歩いていないから、本当のところがわからないんだけど、貴族は平民を理由があると勝手に罰したりもできるとかで、貴族が後ろについていることをいいことに悪いことをしてくる人がいるとか聞いたことがある。
姉さんや兄さんから、街で起きたそういう理不尽な話を聞いたこともあるし。
商人や職人や農民といった働いている人が強い国なら、とりあえず貴族の理不尽ということは少ないのだろうか?
私は歩きながらプリシラに自分の考えを話してみた。
「そうねぇ。
確かに貴族が身分を振りかざして理不尽なことをってのは少ないと思うけれど、こちらの方が貧富の差はある国かもね」
「大商人が有利ってこと?」
「そうね、技術がある職人ならいいかもだけれど、雇われる人は仕事の賃金を下げられたりってことがあるようよ。
マルスもそれで家族を養う仕事が得られなくて、わざわざシーザー王国まで来て仕事をしていたそうだし」
「そっか……、仕事をしないと生きていけないけど。
その賃金を低くされたら、困るね」
「でも、うまく商売をすれば……。工夫してそれが当たればお金儲けもできる」
「そっか。
うーん、いいような悪いような……。
でも、そうしたら……、困って悪いことをしてしまう人も増えるかも?」
「そのぶん、自分が稼げる冒険者って仕事はいいよね!」
ミカエラが言って、クルトが反論する。
「でも、怪我したり、命を失くす者もいるだろう。
そうなると、残された家族は困るだろう。
普通にいい仕事とは言えない気がするな」
「もう、クルトは悪いこと考え過ぎ!!
とりあえず、獲物が獲れれば、しばらくは生活できるでしょ!」
「そうそう、ミコト!
歩きながら、狩りもするからな。
そのつもりで!」
クルトが急に私に話を振って来た。
「はい!!
獲物を見つけたら、知らせます!!」
私は元気に手を上げて答えた。
私、獲物を見つけるの上手いんだ!
魔力感知が上手いんだなと言われたことがあるけど、なんとなく、気配を感じるんだよね。
でも、狩りしながらになると、野営の場所まで、今日中にたどり着けるのかな?
その時、道の右側の茂みに何か気配を感じた。
「右の茂みに何かいるみたい!」
プリシラが足を止め、私達は少し進んで茂みを三方で囲んだ。
プリシラが「アクアバレット!」と叫ぶと、手から水の礫みたいなのが茂みに打ち出される。
茂みから2羽の角ウサギがこちらに飛び出した。
ミカエラとクルトが一羽ずつ剣で仕留めた。
私は見てるだけで終わってしまった……。
うう、魔法、早く使えるようになりたい……。
読んで下さり、ありがとうございます。




