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57 カイト奪還作戦!(ミコト視点)

どうぞよろしくお願いします。

 子ども部屋にユミエラとシアとマルミさんが子ども達と入っていった。

 たぶん、子ども部屋が一番守りが固い部屋なんだろうな。


「レイ!

 魔法研究所から、魔法塔所属の者を呼んできて頂戴!」


 メグミさんの言葉にレイさんが再度出て行く。


「もう、ミコトはマイルズ共和国の『魔法塔』所属の魔法使いです。

 アサニヤ王国やシーザー王国の正式な要求にはお断りを入れられるんだけどね。

 子どもを人質に取るとは……。

 それだけ、切羽詰まっているのね……。

 カテリーナさん。マイルズ共和国の魔法使いとして、カイトくんを助け出すことに協力します」

「でも!

 それじゃ、私はアサニヤ王家を裏切った……」

「大丈夫、向こうにミコトを攫わせたと思わせてから、再度奪還しますから。

 あなた方には迷惑はかけません。

 それでいいですね?」


「攫わせてから奪還!?

 ちょっと、待って下さい!?」


 エドガーがびっくりしている。

 私はエドガーに言った。


「カイトを解放してもらうにはそうしないと。

 まず、カイトを無事に取り戻すのが先」



 魔法学研究所から三人の魔法使いが来てくれた。

 レイさんはそのままギルドに知らせに行き、騎士団にも知らせてくれるという。

 魔法塔からのお願いというわけだ。

 ただ、相手は他国の王族であり、表沙汰にはしたくない。

 アサニヤ王国民である研究者家族が巻き込まれているので、アサニヤ王国側が無理だと判断して退くことにさせたい。

 

 まず、気づいてない振りの私と、医者のふりをした魔法使いと、カテリーナさんで家に行く。

 私達が家に入ったタイミングで、隙ができるだろうから、私達の家の方にエドガーと魔法使いが入り、裏口に回り、カイトの家の裏口を見張る。

 表玄関の方はライカンと騎士とギルドの人員が見張ってくれるそうだ。

 そして、カイトとカテリーナさんが解放、もしくは家に置いて、私を連れて出ようとしたら、馬車だろうから押さえるという流れだ。

 船も一時的に出航できないように規制をかけるとのこと。

 すごくない!!

 上手くいきますように!!


 私は一緒に行ってくれる魔法使いの……、メグミさんの従者的なザイマさんに「よろしくお願いします」と挨拶した。

 ライカンと同じくらいの男性だ。

 危険な役目なのに……。


「大丈夫ですよ。

 私は防御系の魔法が得意でしてね。

 それに医学の心得も少々」


 ザイマさんはにこにこして、カテリーナさんにも声をかけた。


「大丈夫ですからね。

 カイトくんが怪我をしたと、私も聞いて、ついてきてしまったことにしましょう」


 カテリーナさんが頷いた。



 地理歴史研究所前まで乗合馬車で私達は移動した。

 同時に地理歴史研究所にはメグミさん達が魔法塔の馬車で乗り込むそう。

 

 私とカテリーナさんとザイマさんは、慌てた様子で乗合馬車から降りて、早足で歩く。

 家が見えてきた。

 よーし、作戦スタートだ!!


「カイトの怪我、心配です!!」

「ええ、でもお医者様まで……」


 カテリーナさんの少し困ったような……。

 私はさらに声を張り上げた。


「でも、お医者様が一緒なら安心です!

 カイトはクラウスさんと家に?」

「えっ!?

 ええ、そう!

 クラウスと一緒……」


 カテリーナさん自信なさげな……。

 家に到着。

 隣の家をちらりと見る。

 エドガーとライカンと騎士達がもう一つ隣の家の向こうからこちらを見ている。


 私は「カイト! クラウスさん! 大丈夫!?」とカテリーナさんが開けたドアの向こうに向かって声を掛けながらザイマさんと入った。

 家の中は薄暗い……。

 カテリーナさんがドアを閉めた。

 私は怪訝そうな振りをしながら「明かりは? どこの部屋に?」と聞いた。


「ごめんなさいっ!」


 カテリーナさんの謝罪の言葉がきっかけのように、奥の部屋からカイラム……、顔はカイラムだけど着ている物や髪型とか全然違っていた。アサニヤ風の高級そうな感じ。


「ミコト……、久しぶり。

 きれいに、大人っぽくなってきているね」

「……カイラム!?

 なんでここに!?

 それにその、格好は?」


 ザイマさんが私を庇うように前に出た。

 従者がひとり出て来て、カテリーナさんに『奥へ行け』というように顎で示した。

 カテリーナさんは奥の部屋に駆け込んでいく。

 従者、あとひとり。

 まだ奥の部屋にカイトといるのか?


「……クルトと一緒なのか?」


 カイラムの低い声。

 そこを気にしてる?

 でも、今、聞くこと!?

 エドガーが言っていたこと。

 カイラムが私に下心的な興味があるというのは、そういう意味で本当だったのかも!?


 私は頷いた。


「クルトも一緒。

 今はエドガーと名乗っているけど。

 私、エドガーと結婚する約束をしました」

「それは……。

 私は、ミコトを聖女として、保護しに来た」

「聖女?」

「そうだ、ミコト。

 アサニヤ王国の、私の聖女になって欲しい。

 クルトは……、君の聖女としての容姿や力に惹かれて、やがてそれは執着になるだけの男だ。

 理性が抑えられなくなり、ミコトを殺すかもしれない。

 保護できなかった転移者の女性は……、そんなことに……」


 私は首を振った。


「大丈夫。シ……、プリシラとミカエラも一緒だし!」


 私の言葉にカイラムが笑う。


「ミコトの聖なる力があの女達の汚れた心と身体を浄化しているんだ。

 それ目当てにあいつらはミコトにくっついているだけだ」


 シアとユミエラのことを……、汚れたって……、そんな風に思っていたの!?

 

「そんなことない!!

 私達はお互い家族のように大切に思っているもの!!」


 その時、奥の部屋から従者がもうひとり現れた。


「カイト!! カテリーナさん!!」


 私は大きな声で叫んだが、返事も何か動く気配もなく……。


「カイラム様、仰せの通り、あの親子は裏口より逃がしました。

 馬車が来るでしょう」

「ご苦労!

 ミコト、私とアサニヤへ行こう!」

「嫌です」


 気配を探って、それが本当なのか確かめたいんだけど、カイラムを睨んでいるので、できない。

 馬車……、カテリーナさん達が地理歴史研究所に着くと、馬車が来るのか?

 その時、従者が現れた開けたままのドアの奥にエドガーの姿がちらりと見えた気がした。

 エドガーがそこにいるってことは、カイトとカテリーナさんは外へ出て、保護されたってことだろう!


 私はカイラム越しに後ろを見るようにしたけど、騎士達も入ってこようと?

 ばれないように気をこっちに惹かなきゃ!


「私は、アサニヤにもシーザーにも行かない!!」


「かわいそうに……。誑かされているんだね……」


 ダメだ、話が通じない。

 私は自分の意思で……。

 そっか!

 もうカイトは保護したのだから、カイラムを怒らせてもいいのか!

 私の頭の中に『峰不二子』が浮かんだ。

 それから今まで読んだ本の中の悪女達……。


 えーと、なんか見た目は無理っぽいけど、挑発というか、煽るくらいはできそう!?

 私は峰不二子……。

 カイラムは私のことを気に入ってて、エドガーに嫉妬してる。

 私がエドガーが好きだと言ったら?


「誑かされてなんかいないわ!

 私はエドガーが好きだから一緒にいるの!」


 カイラムの表情がピキッとした。

 あ、この線でいいみたい。

 峰不二子、頑張っちゃう!

読んで下さり、ありがとうございます。

今日から仕事復帰です!

怪我もだいぶ良くなっているのですが、痛みはすぐには完治というわけにもいかず、しばらくは休み休みかな……。

たぶん帰宅するなりバタンだと思うので、午後投稿はおやすみにします。すみません。

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