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45 セーブルの角(ミコト視点)

どうぞよろしくお願いします。

「ディアより大きくて……。

 あ、セーブルって奴かな?」


 そちらの方へ移動してみると、森を抜けて少し草原みたいなところがあり、青みがかった焦げ茶色の美しいきれいな牛の群れがいた。


「セーブルで合ってるみたいね。

 依頼出ていたわよね。2頭ぐらい狩ってみる?」


 シアの言葉にライカンが頷き、私とエドガーは群れの反対側に回り込む。

 ウォータードロップを大量にぶつけて追い立てた。

 こちらにも逃げて来たものがいて、エドガーが首元を狙って斬りつけて倒れたところを仕留める。

 ライカン達の方に逃げて行ったものの中から、1頭はライカンが首を斬りつけて仕留め、ユミエラとシアがもう1頭の足を斬りつけて足止めに成功。

 ライカンとユミエラと、座りこんだそのセーブルの首とお腹のあたりを斬りつけて、仕留めた。

 3頭も!!

 本当にきれいな色をしている。

 この皮で本の表紙作るのかー!

 百科事典とかみたいな本かな?

 短い毛がみっしり生えていて、手触りもいい。

 でも、本の表紙はこの毛を失くしちゃって、つるつるにするんだよね?

 なんかもったいない気がする……。


 セーブルの狩りは大立ち回りになってしまったので、一時的に周囲の魔物が移動してしまったようだ。

 そこで、この草原で昼食のお弁当を食べることにした。

 うーん、風が気持ちいい!!

 港の方を見ると、少しだけ海がキラキラ光っているのが見えた。

 

 お弁当を食べ終え、森の方へ戻るとボアが戻って来てて、2頭狩ることができた。

 ライカンと私とエドガーがギルドに行って、ユミエラとシアは家に帰ることに。

 家の近くまで一緒に戻り、そこで分かれた。

 三人で乗合馬車に乗ってギルドへ。

 ちょっとこれがめんどいと言えばめんどい。

 でも、私達は収納魔法持ちだから、他の人よりは恵まれてるし、狩場もまだまだたくさんある。


 ギルドではセーブルがとても喜ばれた。

 肉も皮も使えるし、角も高級な細工物になるんだって。


「細工物?」と私が聞き返したら、ギルドの職員が女性職員を呼んだ。


「セイラ!」


 セイラと呼ばれた女性が「どうしたの?」と来ると、職員は「これだよ」とセイラの髪飾りを指差す。


「え?」

 

 セイラが首を傾げ、私は慌てて「セーブルの角の話をしてて!」と言った。


「あ!」


 セイラはその髪飾りを引き抜いた。

 簪みたいな。

 そして見せてくれた。

 わー、なんか艶々しててきれい。

 落ち着いた暗い茶色でセーブルの皮のように青みがかっているのが高級感がある。


「見せてくれて、ありがとうございます。

 素敵!」


 私がそう言うとにっこり笑って、セイラは髪をくるっと丸めるようにして簪を巻き付けて、ひっくり返して髪に挿すようにした。


「すごい! 簪だけで!」

「時々出店のおじさんがいるんだけど、なかなかいい品揃えなのよ。

 お店で買うより安いから日常使いにはいいわよ。

 使い込むと艶が出ていい感じになるのよ」


 セイラはきれいな金髪で、セーブルの角の色が映えてきれいに見える。


「シアに似合いそうだね」


 私が囁くとライカンが頷いた。


「そうだな」



 セーブルは依頼のあった指定魔物として扱ってもらえ、かなり高価になった。

 一角ウサギと前とそこまで変わらない値段だった。

 ボアはいい値段だ。他の街より高く買い取ってもらえた。

 おお、初日にしてはいいんじゃない!?


 そのお金で買い物して帰ることになり、パンや魚の揚げたもの、それからお弁当作りに便利なハムを買い足した。魚のスープもおいしかったからまた鍋に入れてもらって買った。

 果物とバター、あと卵も。

 そして出店を見ていたら、さっきのセーブルの髪飾りなどの細工物を見かけた。セイラさんの言ってた出店はここかな?

 シアとユミエラと、私に買おうっていう話になって。

 シアには簪タイプ。

 飾りが細かくていいのを選んだ。

 ユミエラは髪の毛ショートだからね。

 いろいろな形の大きめなビーズを、それぞれの個体や角の場所で色味が違う感じのをデザインのようにして連ねているネックレスにした。

 私も髪は短いし、黒いしね。

 ネックレスはけっこう大ぶりな感じで私には似合わない、ユミエラには似合うんだろうけど。

 そうしたらおじさんが「こういうのもあるよ」と箱を出してくれた。

 中には親指の先くらいの丸い球がたくさん入っていて。


「飾り玉って言うんだ。

 細工職人が一人前になるために角の端材で作ったり、新しいデザインの練習で作ったりね。

 だから安いんだ。

 子どもや若い女の子は気に入った物を探して、集めるのを楽しんでいる子も多いよ。

 ペンダントにしたり、ブレスレットにしたりね」

 

 へー、選ぶの楽しそう!!

 私は箱の中を覗き込み、シアの簪と同じ色味の花びらが組み合わさっているようなお花モチーフの飾り玉を選んだ。おじさんがこの花は永遠という意味があると教えてくれた。


「ひとつでいいのかい?」


 おじさんに言われ、エドガーとライカンがひとつずつ選んでくれた。

 エドガーのは女性の横顔のもの(海の女神様)、ライカンのは一角ウサギのもの(幸運を意味する)、だった。

 その三つをペンダントになる様に紐に通してもらう。

 紐は黒を選んだ。 

 みんな種類は違うけど、お揃いだよ、うれしい!

 そして、満足して乗合馬車の乗り場へ行こうとしたら、ギルドの職員に声をかけられた。


「良かった! いた!!

 セイラがもしかしたらここかもって教えてくれて!!

 君達に依頼が入った!

 研究者の護衛だ。

 明日、9時にギルドに来られるか?」


 私達は詳しい話を聞くためにギルドに戻った。 

 依頼主がいて、話しを聞くことができた。

 若いっと言ってもエドガーより年上の男性だった。


「薬学研究所のオハラと申します。

 セーブルを持ちこんだとあなた方の話を聞いて!

 フィールドワークの護衛をお願いしたく……」


 職員が掲示板に貼ってあったっぽい紙を見せてくれた。

 あ、これ、昨日、見た気がする。

 採取したい物、つまり依頼魔物がたくさん書いてあるんだけど、あまり馴染みがない名前ばかりで首を傾げてたやつだ。

 私達は書かれている魔物のことを確認した。

 

「ここからここまでは、魔物ですが虫です。

 ここのこの3つは雑食植物で、一応魔物とされています」

 

 雑食植物?

 食虫植物なら知ってるけど……。


「雑食って、何でも食べちゃう植物? それとも、食べられる植物?」

「前者ですね。虫や小型の魔物を食べます。それに他の植物も食べます。大きなものは人間を襲うこともあります」


 オハラさんの説明にエドガーが困った顔をする。


「ユミエラは虫苦手だよな……」


 確かに、ユミエラはすっごく強いのに、虫は苦手だ。

 まだシアの方が平気できっちり退治する。


「オハラさん以外の護衛対象は?」と私が聞くと「博士がいます。博士と私のふたりですね」と教えてくれた。

 なら、ユミエラには留守番しててもらっても大丈夫そうだな。

 でも、借金返すから働きたいとも言いそうだしな。

 報酬はパーティに出ているので……。


「私達は五人のパーティですが、もしかしたら、二人の護衛なら、相談して四人になるかもしれません」


 ライカンそう伝えておいてくれた。

 それでOKと言ってもらえ、明日、ギルドに9時に待ち合わせ、昼食は自分達で弁当持参と約束した。

 職員がオハラさんに言った。


「このふたりは収納魔法を使えます。

 もし、利用したいなら、その契約をした方がいいと思いますよ」

「え! それは助かる!!」


 オハラさんは採取した物や狩った魔物を収納魔法で運んでくれるなら、そのことを契約に入れて報酬を増やすと言ってくれた。

 職員さん、ありがとう!


 乗合馬車に乗り、家に帰る。

 家の横に薪が置いてある。あそこが薪置き場だったのか!


 家に入り、ユミエラとシアに薬学研究所の依頼を受けたことを伝える。

 採集する魔物には虫や植物もあるというと、ユミエラが『うーん』という表情だ。


「……虫は苦手だけど、ひとりで留守番も嫌だな。行くわ!」


 五人で参加。ほっとした。

 お土産を……、シアの分を取り出してライカンに渡す。ユミエラのはエドガーに。

 

「セーブル、角が細工物になるんだって!

 それで、お土産!

 シアのは簪!

 ユミエラは似合いそうなネックレス!

 私のは飾り玉のペンダントだよ!」


 じゃーんと私は自分のペンダントを両手で前に持ち上げるみたいにした。

 ユミエラとシアは驚いていたけど、すぐにうれしそうに微笑んでくれて、ライカンとエドガーと私にお礼を言ってくれた。


「いや、みんなの稼ぎからだし、たまにはね。頑張ってくれている女性陣にね」


 ライカンがそう言って、照れた。

 シアもユミエラもすぐ身につけてくれて、うん、似合ってる!

 シアが私に微笑んだ。


「紐の色はエドガーが決めたの?」

「ううん、私が選んだ」


 シアとユミエラが目を合わせて頷いた。


「ふふっ、エドガーの色ね」


 シアの言葉に私は少し赤くなった。うん、意識してました……。

 ちらっとエドガーを見ると、エドガーも赤くなってた……。

読んで下さり、ありがとうございます。

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