43 家!(ミコト視点)
どうぞよろしくお願いします。
ギルドではなぜか大歓迎された。
冒険者が少ないらしい。
それに、変わった依頼も多いのだそう。
魔物の指定依頼とか。
研究で使うのか、魔物を指定されるそう。
生け捕りとかの条件などもあったりして。
けっこう難しいよね、生け捕り……。
そんなわけで、なかなか定着して活動してくれる冒険者がいなくて、研究者達が自分達で狩りに行くということが続いていたそう。
「生け捕り……、指定された魔物を狩る……か。
慣れないと難しそうね」
シアが困り顔で言った。
「最初は研究者の護衛というかそういう仕事からやってみてはどうでしょう!
そうすれば、魔物の種類や生態にも詳しくなれますし!」
職員が懸命に私達を盛りたてようとしてくれてる……みたい。
「そうだな。
そういう仕事から受けて行ってみよう。
普通に魔物を狩って、その中に指定された物がいればということもありますよね?」
ライカンの質問に頷く職員。
「はい!
肉や素材としての魔物の狩りもどうぞよろしくお願いします!」
狩場のこととか、研究対象になっている魔物の話も聞くことができた。
ウサギ、ここには一角と出歯が両方いるらしい。
ボア、普通の茶と赤のがいるらしい。黒もたまに。
ディア、ここのは少し小さめで、すばしっこいらしい。
この三種は制限なく自由に獲っていいそうだ。
つまり、研究対象じゃないということかな。
他の魔物も普通に狩りをするくらいなら大丈夫と言うことだ。
まあ、港町で海の魔物も獲れてるし、食料事情はそこまで苦しいということもなさそうだ。
掲示板を見ていると確かに各研究所からの依頼がある。
中には図書館からのもあり、セーブルという大型の牛みたいな魔物の指定もあった。
聞くと、このセーブルは本の表紙に最適な皮なのだそう。
「へー、皮狙いか!」
ユミエラが感心したように言った。
「それなら、斬りつけるところも考えないとね?」
そうだね!?
お腹のあたりとか狙う感じかな?
首?
確かにいろいろ考えての狩りは……。
苦手な冒険者いそうだな。
ギルドで情報収集も済み、私達は街の市場で繰り出した。
わあ、なんかおもしろい!!
食べ物の他にも骨董品とか、魔道具なんかの出店があったりして!!
「今は食べ物を買わないとね!」
シアが私とユミエラをチロリと睨んで言った。
ああ、今度エドガーに連れて来てもらおうっと。
パン、野菜、果物を買っていく。
お茶と肉が見当たらない。
お魚のスープのお店を見つけて、鍋に入れてもらって買った。
少し歩いて、きちんとしたお店の通りに来ると、あった!!
肉は高級品らしいね。ここでは。
これはギルドで高値で引き取ってもらえそうな予感!
そして、お茶はここではとても人気の嗜好品らしい。
こんな奥地の街なのに、茶葉の専門店があるんだもん!!
シーザー王国産の茶葉もあり、シアとライカンがうれしそうに買っていた。
うん、私も懐かしいから飲んでみたいなー。
あ、蜂蜜がある!!
私は自分のお金で蜂蜜の瓶をひとつ買った。お茶に入れて飲みたい♪
「後は……、リネン類かしらね?
とりあえずシーツ5枚、洗濯石鹸と身体を洗う石鹸も買いましょう!」
うん、毛布は持ってる。ベッドにマットはついてたから、シーツがあればとりあえず今日は寝られる。足りなければ明日、買いに来ればいいし。
風呂もついてたんだよねー。
ここ、すごいことに上下水道が完備なんだよ。
昔の設備のまま使えてるなんてすごいけど。
それだけ、ここは古代から栄えてた街ってことなんだろうな。
「ああ、食器、見てくるの忘れたわ」
シアが呻いて。
確かに、戸棚の中まで見てこなかった。
「野営の食器もあるし、明日、また買いに来ればいいさ」
ライカンの言葉に頷いているシア。
なんか……、お父さんとお母さんみたいだな、本当に。
でも、なんだか楽しい。
荷物は収納できたので、乗合馬車に乗り、歴史地理研究所前まで!
こういうのも初めてだ。
この街、本当におもしろい。コタンまで来て大正解!
家について、みんなで再度確認する。
台所の棚に食器はあった!!
たくさんじゃないけど、最低限のものが6セット。十分!!
かまどはそこまで大きくなくて、他にオーブンがあった。どちらも薪を使う感じだ。
まあ、今日は拾って溜めてある枝を使ってもいいしね。
クラウスさんに薪とかの買い方を聞いておこうという話になった。
部屋が……。
玄関を通り、トイレとお風呂と台所が同じ方向にあり、その向かいに大きめなリビングっぽいお部屋。
そこから3つの小さいお部屋に入れるようになっていて、ひとつの部屋にはドアがついてたけど、残りのふたつはドアがない。
そして、部屋には二つずつベッドが並んでた。
え?
二つずつ?
「とりあえず、扉が閉まるところにシアとユミエラとミコト……、ベッド動かせるか?」
ライカンが考えながら言ったが、ベッドは動かせかった。でも、たとえ動かせたとしても部屋が狭いんだよ。
「ユミエラとシアと同じベッドに寝る?」
私は笑うが、昔はそれで良かったけど、今はもうきついか。それにベッドが造り付けで動かせないし。
「俺とミコトがここの部屋を使う」
エドガーが真ん中のドアなしの部屋を見て言って、シアに睨まれる。
「それは許せないわ。
ライカンとエドガーがドアなしの部屋で……、と、私とミコト……、でもユミエラが、そうか……」
シアが言葉に詰まる。
私は言った。
「私、この真ん中の部屋ひとりで使うよ!
でさ、時々シアかユミエラ、寝に来ない?
着替えたりする時はドアのある部屋を使わせてもらうし!」
「……ま、とりあえず、そうしてみるか」
ライカンが言ってエドガーの肩をぽんと叩いた。
「ドアなしなら……、エドガーも変なことできないわよね」
ユミエラがみんなが思っていても言わなかったことを言ってしまった……。
気まずい雰囲気……。
その時、どんどんと玄関のドアを叩く音と「ミコトー!!」と呼ぶカイトくんの声。
「カイトくん!?」
慌てて玄関へ行きドアを開けると、カイトくんだった。
カテリーナさんもいる。
「ごめんなさいね。カイトがミコトさんのところに行きたいって」
「え?」
「お父さんとお母さん、久しぶりに会ったからたくさんお話あると思うし。
僕のこと、泊めて下さい!」
「え? あ、でもシーツ5枚しかなくて……」
「大丈夫! 持ってきた!」
見るとカテリーナさんがシーツと毛布持っている!?
「ご迷惑でなければ……」
「あ、大丈夫ですけど。
そうだ! 薪のことをお聞きしたいと思ってました!」
ライカンとシアが一緒にカテリーナさんと隣の家に行き、カイトくんを預かることと家の疑問点(薪の購入方法など)もしっかり聞いてくると出て行った。
「じゃあ、私の隣のベッドがカイトくんね!」
私とカイトくんの後からシーツと毛布を持ったエドガーが機嫌悪そうについてきた。
それを見て、ユミエラが笑ってる。
私はそれを見て苦笑した。
5歳だよ、カイトくんは。
それにしても、かなり懐かれてしまったな……。
読んで下さり、ありがとうございます。
なんだか楽しそうです。家にみんなで住むのがミコトの夢でもあったので。
ミコトがシーザー王国とアサニヤ王国から追われてるであろうことはわかってますが、エドガーもシーザー王国から追われてるとはまだ誰も思っていません。




