34 これからどうするか?(ミコト視点)
どうぞよろしくお願いします。
「カイラムもアサニヤ王国出身だったのかな?」
私が言うとシアが考えながら答えてくれた。
「そうね。
アサニヤかマイルズの南の方の出身かと思っていたけど……。
マイルズならマルスもいたしね。
そこまで気にしてなかったわ」
ユミエラが言った。
「カイラム悪い人じゃなかったもんね」
「そうか?
ミコトに馴れ馴れしくなかった?」
エドガーの言葉に笑うユミエラ。
「えー!
それを言うなら、クルト、エドガーが一番馴れ馴れしかったって!」
「でも、私も少し感じたことがあるわ。
カイラムがミコトのことを調べているようだってマルスにも言われたこともあるの」
シアの言葉に驚くユミエラ。
「えっ? そうなの?
でも、もう大丈夫だね。
だって、カイラムはカノンにいるんだから」
そうなんだけど。何か気になるな。
私はカイラムに嫌な気持ちは持っていなかった。
なのに、私のことを調べていたっていうのと、アサニヤ王国出身ってこと。
もしかして、私にそういう興味じゃなくて、転移者かもしれないという興味を持っていたのかもしれない。
後3日間。
「後3日間で仕事も終わるし。
そしたらヤシマに移動する?
でも、坊ちゃん達がわざわざこっちに狩りに来るくらいだから、狩場がどうなんだろう?
明日、話ができたら、どんな感じか聞いてみる」
「海ならヤシマでなくてもいいんだ。
その先の海沿いの街でも船なら移動できる。
言うなら、マイルズ共和国の海に面している港のある街にも行けるってことだ。
シーザー王国のにもな」
ライカンの言葉に私達は顔を見合わせた。
シアがぽつりと言った。
「アサニヤ王国より、マイルズ共和国の方がミコトは過しやすいかもね」
シアの言葉にユミエラが申し訳なさそうに言った。
「私のトラブルのせいで急いでこっちに来ちゃったから。
マイルズ共和国の奥の方の小さい街とかいいかも」
ユミエラのことだけじゃないよ。
私達、特に女性三人を名指しで追いかけて来て調べてるシーザー王国の人物もいた。
ライカンが考えながら言った。
「そうだな。
ユミエラのことだけではないが。
マイルズ共和国の方に戻ってみるか。
ジュノーへ行くと言ったから、ミコト達を追っていた男も切れたかな。
手前のニースではなくてさらに奥のモルドバとかどうだ?
海沿いで船で行ける」
ライカンの提案に私は頷いた。
確かに転移者のことについてだと、ゆるいのはマイルズ共和国なんだよね。
髪の毛くるくるの技も覚えたし。
ユミエラに教えてもらって、私もできるようになっている。
「じゃあ、マイルズ共和国の奥の方を冒険だね!」
私が笑うと「それまでに金を貯めないとな」とエドガーが言って、ユミエラが「私の借金ももう少しで返せそうだし!」と言った。
そうか!
ユミエラ、エドガーに借金返せそうなのか!?
「まだ半分だよ」
エドガーが苦笑する。
でも、半分でもすごい!
この短期間でさ。
……ユミエラが自由になったら、何をしたいんだろう。
ディーのことが頭に浮かんだ。
うん、ユミエラにもシアにもライカンにも、愛する人と一緒に生きるということを考えてもらいたい。
私にはエドガーがいるし……。
で、できればみんなそばにいて楽しく暮らせたらいいのに。
今は守られてる私だけど、そんなことを思った。
その足でギルドへ寄り、ライカンが収納魔法から獲物を出した。
ん? なんか珍しいのがいる!?
私が興味深そうに見ているのに気づいて、ユミエラが説明してくれた。
「珍しいわよね。白いディア。
ここの森には白いディアが一定数いるんですって。
毛皮が高値で取引されるけど、ここのディアは特に用心深くて、なかなか狩れないレア物なんだってさ」
「へー、すごい!!
あ、私がいる時、ディア、出てこなかった。
普通にここではディアも珍しいんだね」
「ええ、何かの気配を感じて、シアが水魔法で追い出したら、ディアの群れで!
しかも白いのがいるじゃない!
びっくりしたわ!」
白いディアはとても高価で引き取ってもらえた。
カウンターで精算してお金を受け取っていると職員に声を掛けられた。
「オグルさんとこはどんな塩梅だい?」
「とても良くしてもらっています。
お食事、すごくおいしいです!」
「オグルさんところは食品を扱う問屋みたいなところだからね。
ここらの魚の加工はオグル商会が仕切っているほどだよ」
「へー、オグルさん、すごいんですね!」
部屋に戻り、シアとライカンとエドガーがなにやら相談を始める。
ユミエラは自分のベッドでお金を数えてる。
借金をどれくらい返すかの計算かな?
私は貰ってきた花束を空きビンに活けてから、シアとエドガーの間の椅子に座ろうと顔を出したんだけど、エドガーがひょいと抱っこしてくれた。
椅子あるんだけど……。まあいいか。
お金の話だった。
お金は個々に管理している分もあるんだけど、旅のお金としてシアが『みんなの財布』を持っている。
ライカンが合流した時には『みんなの財布』に入っている金額を4等分した金額をライカンに入れてもらったはず。
これまで稼いだごとに分配して、同額入れるなんてしていた。
最近は一緒に狩りをすることも多く、みんなで分けることが多かったから『みんなの財布』にある程度入れて、残りを分けたりなんてしてた。
今は私は狩りに参加してないから、4等分してると思う。
私の稼ぎはオグルさんからの賃金だ。
稼ぎから『みんなの財布』に同じ額を入れるようにしている。
最近集中して狩りをし続けているから、けっこう『みんなの財布』の金額が大きくなっているみたいで、過剰分はギルドに預けようかという話だった。
実は個々の方もけっこう貯まってる。
ユミエラは借金返してるから、そこまでじゃないだろうけど、私はスカーフを買ったり、ちょっと買い食いするくらいだもんね。
「ギルドに預けるのは賛成だが、マイルズ共和国で投資するのもいいと思うな」
ライカンの言葉に驚く。
投資!?
株とか!?
あ、そんなのは聞いたことないから、商会にお金を預けるとか貸すとかそういう感じかな?
「そうね……。ギルドに預けるのと、投資と……。
考えてみましょう!
ギルドならどこの国でも引き出せるものね。
でも、誰の名義にする?」
シアが少し困ったように言って、エドガーが言った。
「パーティで貯金すればいいんじゃないか?
そうすれば五人誰でも引き出せる」
「そうね……、それが一番いいか。
でも、一度に引き出せる上限を決めましょう。
みんなを信用しないわけじゃないけど、5人全員引き出せるとなれば何かあった時に心配だから」
まあ、裏切ったりしないと信用はしてるけど、何があるかわからない。
お金を引き出すように脅かされるとか?
脅迫されたりとか?
「とりあえず、マイルズ共和国に戻ってからだな」
ライカンの言葉にシアとエドガーも頷いた。
私はもうマイルズ共和国のことを考えていた。
落ち着いたら、首都のジュノーにも行けるかもしれない。
シーザー王国の王都テイル。
マイルズ共和国の首都ジュノー。
アサニヤ王国の王都ラコルム。
どこもまだ行ってないから。
3日間過ぎたら、マイルズ共和国に戻る。
……そういえばマリナ様って誰なんだろう?
「マリナ様って知ってる?
アサニヤでは知られてる人なのかな?
奥様が私に似ているって言うんだけど?」
「マリナ?
明日、ギルドで聞いてみるわ」
シアがそう言ってくれて、安心した。
なんかオグルさんや奥様には聞きづらいんだよね。
もう少しで、ソーサラの街を出てしまうわけなんだし。
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