33 似ている?(ミコト視点)
どうぞよろしくお願いします。
白身魚のムニエルは大成功!
塩コショウして、小麦粉をはたいて、バターを溶かしたフライパンでじっくり焼いた。
すごくおいしかった。でも、やっぱり、醤油が欲しい……。
おいしいとみんな褒めてくれた!
今日の話になり、みんなはまた昨日のパーティと出会ったそう。
貴族と言っていたし、どこかのお高い宿にでも泊っているのかな?
「ミコトがいなかったから聞かれたわよ」
ユミエラが笑いながら言った。
「え?」
「ギルドの方の仕事で、とだけ言っておいたよ」
エドガーが教えてくれた。
私はユミエラとシアにお礼を言う。
「髪の毛!
大成功だったよ!
くせ毛なの? って聞かれた!
ありがとう!!
ユミエラ!
シアも気づいて言ってくれたから、準備できたよ。
ありがとう!」
次の日も同じように朝、みんなで出かけて、お屋敷の前で分かれる。
「今日はみんなで迎えに来られるようにするから!」
シアが言って、エドガーをちらりと見た。
あはは、エドガーのベッドで寝ていたからね。
エドガーは怒られてたみたいだ。ごめん。
今日も髪の毛くるくるは絶好調。
くるくるさせると結ばなくてすむから楽なんだ。
日除けのスカーフも髪の毛とさやさやして楽しいし。
トロアさんが門を開けてくれ、中に入る。
今日は奥様はまだ部屋だそう。
まっすぐ奥様の部屋に案内される。
奥様はまだベッドでお休みになっていて、オグルさんが部屋の中にいて小声で説明してくれた。
「昨日、午後から急遽、知り合いのお子さんを預かることになってね。
少し張り切ってしまったようだ。
疲れない程度に相手をしてやって欲しい」
「はい、わかりました」
「今日も昼食には戻ってくるよ」
オグルさんとトロアさんが出て行かれて、私はハナと目配せで挨拶してから、窓をそっと開けて少しだけ風を入れた。
少しすると奥様は目を開けて、私を見ると「来てくれたのね、マリナ」と呟いた。
「奥様、おはようございます。
朝食、ここに運んでもらいますか?」
「えっ……。
ああ、ミコト。おはよう。
夢を見てたわ。
あなた、マリナにやっぱり似ている」
うん、また、『マリナ』?
誰のことだろう?
ちょっと困ってしまってハナを見る。
「奥様、このまま寝台で軽めの朝食を召し上がりましょう」
ハナの言葉に奥様は頷き、私はほっとした。
「ミコト、朝食の用意をする間、奥様のことよろしくお願いします」
「はい!」
ハナはてきぱきと奥様の背中にクッションで背もたれを作って、半身を起こせるようにしてから、部屋を出ていった。
私は椅子をベッドの横に持って行き、座った。
「お客様がいらしてるとか?」
「ええ、商会で懇意にしている貴族の坊ちゃまよ。
ヤシマの方にお友達と来ていたけれど、ソーサラを観光に来て気に入ったそうなの。
宿の方に泊まっているとオグルが聞いて、御招待したのよ。
ミコトより少し年上ね。
アスバル様というの」
アスバル様。
あれ、貴族の、私より少し年上?
一昨日のパーティ?
「ヤシマから学友といらしてて、こちらに狩りに来ている方ですか?
もしかしたら狩場とギルドでお会いしているかもしれません!
お友達と一緒ですよね?」
「そう、お友達も一緒。従者もね。
後で紹介するわ」
むー、どっちがアスバル様だろう?
記憶を辿ってみるがわからない。
「アスバル様は今日も狩りに?」
「あら、そういえば、どうしているのかしら?」
私は申し訳なさそうに笑った。
「そうでした。
奥様は起きられたばかりでしたね!」
「……やっぱり、あなた、マリナに似てる」
またマリナ、様?
私はわからないから首を傾げるしかなくて。
ハナがワゴンを押して戻って来て、ベッドの上にテーブルをセッティングして、スープやパン、果物など食べやすそうなものを並べた。
朝食後、着替えもできて、私とハナでテラスにお連れした。
今日もいい天気!
庭は花がたくさんで気持ちがいい!
「ミコト、今日は花を活けましょう。
屋敷の中に飾るのよ。
好きな花を取ってらっしゃい」
奥様に言われてハナと他のメイドが小さいのから大きな花瓶までテーブルの上に並べていく。
私は庭師と相談しながら花を切ってテーブルに持ってくる。
白と青とオレンジと黄緑の花にした。
中くらいの花瓶に花束を作るみたいに束にして紐でくくり、活けてみた。
うん、我ながらいい感じ。
「爽やかでいいわね!
海らしさも感じるわ!」
奥様が褒めてくれる。
庭師に私が選んだ花で花束を作っておくように頼んでくれた。
帰りに持って帰りなさいと言ってくれる。
うれしい!
残りの花瓶にも他の色の花や大きな花瓶でも活けられる茎の長い花など庭師やハナに相談しつつ花を活けていった。
なんか楽しい♪
出来上がり、屋敷の中に飾ってもらっているとオグルさんとトロアさん、そして少年二人と従者二人が戻って来て……。
やっぱり!
あのパーティだ!
「ミコト!
仕事って、キアラさんのお相手だったんだね!」
少年1が言った。
紹介してもらい、やっと名前が一致した。
少年1がアスバル・バートレイ伯爵令息で、少年2がラスターと名乗ってくれたけど、貴族の名はなんとなく濁された。これはもっと上ってことだろうか?
あんまり貴族とか王族とかと知り合いになりたくはないんだけどな。
年齢は16歳だそう。
学友って言っていたし、貴族の学校があるのだろう。
今日は狩りに行かずにオグルさんの商会とソーサラの港を見学していたそうだ。
昼食をゆっくり食べて、おしゃべりしていたら2時近くなり、花束を貰って出ようとすると「送って行こうか?」と少年1アスバル様と少年2ラスター様に言われたけど、「みんなが迎えに来てくれるので」と断った。
「今日も狩りに出てるんだね」とラスター様に言われる。
えっと……、仕事なので。
稼ぎが生活に直結なので。
そう思ったけど「はい!」とだけ返事した。
なんか、誰かに似ているんだよな……、ラスター様。
肌も薄い褐色って感じで、瞳が金色で、金髪……。
おお、金&金だ!
婚約者の人に金色のドレスを着せるんだろうか!?
門まで一緒に行くことに。
まあ、私より、狩場で二日間出会ったシア達の方が親しくなってるかもね。
二人と話し合いながら門に向かうともうみんな待っててくれて!
あ、後ろから従者とトロアさんも付いて来てくれてます。
みんなもアスバル様とラスター様を見て驚いていた。
帰り道、エドガーが何か考えてから、私に聞いてきた。
「アスバルが茶色の髪で、ラスターが金髪?」
「そう。
アスバル様が伯爵令息らしい、で、ラスター様は教えてもらえなかったし、でも従者もついてるし……。
伯爵より上でってなると、もしかしたら王族かもしれないね」
「うーん、何か……。
見たこと……、誰かに似てるような……」
その言葉にシアが言った。
「目がカイラムに似てるわね。
それに肌の色も。カイラムの方がもう少し濃かったけど」
「「カイラムだ!!」」
私とエドガーは同時に叫んでしまった。
そう!! カイラムだ!!
カイラムも瞳が金色で黒髪に灰色混じりだったんだよね。
私も黒髪だったから、なんか親近感はあって。
娼館の従業員だったクルト(エドガー)とマルスは、カイラムが私に変な興味を持ってるようだと警戒してくれてた、というようなことを後から聞いたけど……。
読んで下さり、ありがとうございます。




