30 依頼!?(ミコト視点)
どうぞよろしくお願いします。
「あー、おいしかった!」
私達はギルドまで戻ってくると借りた部屋にはいって、ほーっと大きく息をついた。
初めての船旅。
初めての海(私は初めてじゃないけど、この世界の海は初めて)。
そうそう、焼きイカがあった!
塩水で味つけしてあって!
買おうとしたらエドガーに「これ食い物なのか!?」と止められたけど「おいしいはず!」と買って、もぐもぐ食べてたら、ライカンとシアが引いてた。
ユミエラとエドガーは食べてくれて「けっこううまい」って言ってくれたけど。
醤油が本当に欲しい……。
生魚を食べる習慣はなかった。
やっぱり、魚も魔物だからかな?
「お祭りみたいで楽しかったね」
私の言葉にシアが笑う。
「お祭りってよりは、街全体が居酒屋みたいな感じね」
「そーそー、漁師って言ってたね。
周りのおじさん達。
威勢よくて面白かったけど、毎日あのノリは疲れそうね」
ユミエラまでそう言ってる。
「じゃあ、次の街へ行く?
ギルドで聞いた感じだと、隣の海辺の町の方が静からしいよ」
私は地図を思い浮かべて言った。
「えーと、ヤシマだっけ?
お金持ちの別荘とかある街だって言ってたね」
「とりあえず、明日、ギルドで何か仕事を見てみて、狩りをするならどんな感じか確認しよう」
エドガーの言葉にみんな頷いた。
次の日、朝早くから海辺の方では威勢のいい声が響いていて!
魚市場とか早朝だもんね。
「わお、本当ににぎやかな街だね!」
ユミエラが驚いている。
窓から道を見下ろせば、女の人は髪をスカープで覆っている人が多くて!
日差しもデュランとかマイネとかと比べると、熱いもんね。
簡単に朝食を済ませ、ギルドに下りて、情報収集。
今まで狩り以外の仕事をあまり見たことないけど、けっこう護衛の仕事が多くて驚いた。
ヤシマがお金持ちの街、のんびりする街っていうのと関係があるのかな?
ヤシマとソーサラの間の護衛とか、ソーサラでの観光の護衛とか。
まあ、私達はここの場所に詳しくないので、そういう仕事は無理だけどね。
普通に狩りをする場合の狩場を聞いてみる。
山の方だとか。
うーん、登る感じね。
そこまで遠くはないよ、と言われた。
とりあえず行ってみようか!
みんなでギルドを出て行こうとした時、声をかけられた。
「あの!
船でお会いした方ですよね!?」
見ると御夫婦の従者で。
「あ、ソーサラまでの船の中で!
お元気ですか?」
私が話をし出すと、エドガーが三人に船で……と説明してくれているのが聞こえた。
「奥様がぜひお話をしたいと、あなた様を探していました」
「奥様が? 体調がお悪いのですか?」
「いえ、お疲れにはなっていますが、そこまで悪いわけでは……。
ここから山の方へしばし行ったところなのですが、御一緒に来て頂けませんか?」
私はみんなを見た。
「ミコトはその奥様とやらにまた会いたいんでしょ?」
シアが笑って。
私は「うん」と頷いた。
気になるっちゃ気になる。
「私達五人でパーティなんです。
これから山の方へ狩りに行こうかと話していたので、少し寄るくらいでよければ」
「ありがとうございます!
こちらです!」
ギルドを出て、海とは反対の方へ歩いて行く。
だんだん、静かな住宅街という感じになって来て、丘を登りそこにあの御夫婦のお屋敷があった。
家というよりはお屋敷と言った方がいい感じかな?
庭がとてもきれいに手入れされてて、花が咲き乱れている感じが素敵。
シアやライカンも「素敵な庭ね!」「バラが何種類あるんだろう?」なんて話をして微笑んでいる。
門を入り、庭の方からテラスの方へ回る感じで……。
テラスに、あの御夫婦がいた。
奥様はやはり椅子に座られてて、ひざ掛けをかけている。
御主人が私達を見て立ち上がった。
「ああ、見つかったのか!
ありがとう!
お嬢さん、またお会いでき、うれしく思います。
来て頂いてありがとう」
「はい、お呼びだとお聞きして。
ちょうど、山の方へ行く用事もありましたので、寄らせて頂きました」
私は微笑んで軽く会釈をした。
「お仲間ですか?」
「はい、五人でパーティを組んでいます。
ここでも狩りができたらと思い……、山の方へ」
「……では、トロアをお連れ下さい。
ここらの地理には詳しい男です」
「トロア?」
御主人の視線で従者だとわかる。
でも、なんで!?
「あの、私達、お互いに名前も知らないのですが……。
ご挨拶したら、すぐに行きますので、トロアさんはこのままこのお屋敷で」
そう、挨拶したら行こうと思ってた。
その時、奥様がウトウトされてたみたいなんだけど、目を覚ました。
「あら、気分がいいと思ったらあなたがいたのね。
お嬢さん。
あなた、何か特別な魔法を持っているのかしら?
あなたがそばにいると、気分がいいのよ」
「……そういうわけなのだよ。
お嬢さん、少しの間でいい。
妻と、キアラとおしゃべりしていてくれないかね」
「え……、でも、私は冒険者で」
「では、ギルドに依頼を出そう。
午前中だけでいい、妻とお茶を飲んで一緒に過ごすのはどうだろう?
君を指名で……」
私はみんなを見てから「相談させて下さい」と言って、みんなと庭の方へ戻る。
「仕事なら、まあいいかな?
ここにいる間にみんなはそのまま狩りに行けばいいし」
「でも、ミコトだけを残して行くのも」
エドガーが心配そうだ。
「でも、ギルドにちゃんと依頼を出してくれるなら、それは身の安全をある程度は保障されてるお仕事、だよね?
今日は、まだ仕事じゃないから、ギルドに話をしてもらって、明日からということにする。
今日はみんなと狩りに行く」
私の言葉にライカンやシアは頷いた。
「そうね。
きちんと仕事にしてもらって、ギルドに仲介してもらいましょう」
ミカエラとエドガーはまだ心配そう。
「ということで、明日からしばらく……、日にちもちゃんと決めよう。
とりあえず、5日間はどう?
その頃には他の街に移動も考えてるだろうし」
「そうね、そうしましょう」
シアが頷いてくれて、私は御主人に話をした。
ギルドを通しての依頼としてならお受けできること。
ただ、期限は一週間とすること。
今日は、まだ依頼ではないので、少しだけお話ししたら私は狩りの方へ行くこと。
御主人と従者は頷いてくれ、すぐにギルドに依頼を出すと言ってくれた。
「私はミコトといいます。
そちらは?」
「私はオグマといいます。
オグマ商会のオグマと言えば誰でもわかります」
「オグマさん、キアラさんですよね。
あと、従者がトロアさん」
私はみんなにも知っておいてもらいたいので、確認する様に名前を言った。
奥様に「では明日、また伺いますね」と挨拶すると「もう行ってしまうの」と言われる。
「はい、私も仕事があるので」
「では、明日ね。
待ってるわ。えーと」
「ミコトです」
「ミコトさん」
「はい」
私は奥様と握手してそれからまた、従者のトロアさんの案内で庭を通り、門を出た。
「こっちに行くと狩場だ」
トロアさんが教えてくれた。
「ありがとうございます」
「じゃ、今日中にギルドに依頼を出しておこう。
賃金はメイドの半日分ぐらいでいいか?」
「私の仕事はメイド?」
「似たようなものだ。
午前中、奥様のお世話や話し相手になるという感じだ」
「……メイドは話し相手?」
「……わかった。
もう少し出すようにする」
読んで下さり、ありがとうございます。




