29 海!(ミコト視点)
どうぞよろしくお願いします。
3日間が無事に過ぎ、私達はギルドの迎えに来てくれた馬車に乗っている。
すごく楽しい3日間だった。
野営のコツもつかめたし、魔法の練習もたくさんできた。
雷魔法は弱いビリビリならできるようになった。
痺れさせるくらいね。
でも、弱いからこそ使えるかもしれない!
聖魔法も傷の治療がけっこうできるようになった。
ユミエラが一角ウサギ(すごい久しぶりだけど、いた!!)の角で足を怪我したんだけど、治せた!!
歌を歌ってもいいし、念じてもいいみたい。
歌、でたらめなんだけど、何気に集中して念じているのと同じ感じになるのかもしれないと思っている。
ギルドで収納から獲物を次々に出す。私だけじゃなくてライカンの方にもいるからね。
ギルドの職員がすっごく喜んでた。
最近は魔物の肉まで隣国から取り寄せみたいになって、高額化し、庶民には手が届かないっ! なんてことになってたそう。
しばらくは適性価格で卸せそうだとのこと。
それから、私達みたいに野営をしての狩りの仕方を聞いて、やってみたいという地元の冒険者パーティが現れたんだって!
確かに、馬車で毎日往復するよりかは楽かも。
あの小屋をもう少し住みやすくしてもいいかもよ。
収納魔法がなければ、毎日ギルドから取りに来てもらえば(それなら荷馬車でOK)いいんじゃないかなーっと。
ギルドで大変感謝され、そして、ちょい引き留められましたが、私達も先に進みたいということで。
ギルドを出て、お疲れ様を兼ねてちょっといい宿に泊まろうかという話になる。
お金はふふふ、あるもんね。
大きなお風呂がついてる宿にした。
大きな浴室があるそう。
お風呂に入り、着替えて、着ていた服を洗濯し干した。明日までには乾きそう。
これで、明日には出発できる。
ライカンとエドガーが買い出しに行ってくれて、食料の補充もしてくれた。
夕食は宿の食事をのんびりと楽しむ。
そして、いいベッドでゆっくり休んだ。幸せー!!
次の日、私達は船でソーサラに向かうことにした。
徒歩だと2日かかる道のりなんだそう。
船だと半日で着く。
渡し船には乗ったことがあるけど、船旅は初めてだもの。
楽しみ!
渡し船は船室に入ることもなくすぐだったけれど、半日乗ってるので、一番安い船室を借りることにした。確かに天気が崩れた時に屋根がないとこだと困る……。
その船室で休んだり、船の中を探検したり、楽しかった。
エドガーと甲板で、おしゃべりしていた時、「お嬢ちゃん、元気だね!」と年配の御夫婦に声を掛けられた。
テーベから乗られたそうで、行き先はソーサラ。
テーベは川沿いの大きな街だ。一番シーザー王国寄りで、ライカンが行ったことがあると話していた街だね。
「私達も海を見たくてソーサラまで!」
そう答えると、ソーサラで商会をやっている御夫婦なんだって。
ライカンぐらいの年齢の従者みたいな人がそばにいた。
「こんなお嬢さんがそばにいたら旅も楽しそうね?
あなたはお兄様?」
奥さんに言われて、エドガーが少し困った顔で私を見た。
「私達は婚約してます」
「まあ!?
婚約者なの!?
それは失礼!」
「いえいえ、私、小柄なので」
何度も言ってきた安定の言い訳だな。
「ソーサラでは何を?」
「ギルドで何か仕事をしようと思います。
海のそばに来たのは初めてなので、少し暮らせたらいいなと思ってます」
「なら、私達の家にも遊びにいらっしゃい!
ソーサラを案内したいわ!」
奥様はにこにこだけど、御主人と従者はちょっと困ってるみたいな!?
「キアラ、若い人を引き留めては悪いよ」
御主人がやんわりと言った。
「あら、あなた。
このお嬢さんと話していると、なんか気分がいいのよ。
不思議ね……」
「体調が?」
私の言葉に頷く奥様。
「ええ、それでテーベの病院へね。
テーベなら船で移動できるから。
その帰りよ」
そうか、王都のラコルムは内陸だから、病人には移動は辛いか。
私はひざ掛けをかけて座っている奥様の手を取った。
従者の人が止めようとしてくるけども「少しだけ」とお願いした。
何か感じてくれたみたいで、従者も御主人も見守ってくれる。
私は奥様の手をマッサージした。
姉さん方にも良くしてあげたんだよね。ハンドマッサージ。
そして魔力を探った。
弱い。
何か病気で、弱られているのだろうとすぐわかった。
私は奥様の身体の辛さや痛みが少しでも和らぐようにと念じながらマッサージした。
「ああ、気持ちいいわ。
何かの治療の技なの?
身体の辛さが少し良くなりました」
「それなら良かったです。
ハンドマッサージ。
手だけでもすっきりしますでしょ。身体も温かくなるし」
「ええ、ありがとう」
私は奥様の手をそっとひざ掛けの下に戻した。
「では、失礼します」
奥様と御主人、それに従者にも挨拶して離れた。
お互い名前も聞かなかったけど、それぐらいでいいと思う。
また縁があれば、ぐらいだね。
ソーサラに近づいて甲板から海を見た時、私は叫んでしまった。
「海、きれい!!」
もう午後ちょい遅い時間だもんね。、
海はキラキラしてて、そうか、地理的に海の方に夕日が沈むもんね。これは夕陽を絶対見たい!!
この船は明日、ルーカイへ向かうそう。そこからテーベまで。
流れに逆らって進むから、すごく時間がかかるらしいけれど、いっぺんに荷物を運べるという利点がある。
だからお客は全員下船だし、荷物を下ろす人達でわさわさしてる。
私はエドガーにしっかりつかまって船から降りた。
ユミエラとシアとライカンも、海を見ながら笑顔だ。
急いでギルドに駆け込んで、宿のことを聞く。
ギルドに宿、あった!! 良かった!
とりあえず、三人部屋と二人部屋を押さえようとしたら、家族用の部屋もあるとか。
四人部屋(リビングみたいな部屋に二人ずつの寝室がついているそう)だけど、簡易ベッドをサービスで入れてくれるって。
私がそれで寝ればいいもんね。
お得だよね。
それに決めて、部屋に荷物を入れてから、街へ出て、海の方へ向かってみる。
夕陽がどんどん低くなり、海辺に着いた時には沈みかけていた。
「すごいね……!」
ユミエラが感動した声で言った。
「うん。海に沈む夕陽。
見れたのはミコトのおかげね!」
シアが笑う。
「ああ、本当。
ミコトのおかげだ」
エドガーまで笑って言うから……。
「みんなとじゃなきゃ、ここまで来れなかったよ!」
私は笑って、ライカンを見た。
ライカンもじっと夕陽を見ている。
「……私も海に沈む夕陽は初めてです。
スミレコに聞いたことがあります。
スミレコとミコトの故郷である二ホンという国は島国で海がとても身近だったと」
「そう!
海、懐かしい。
この世界は海で泳いだりしないの?」
私の質問にライカンがぎょっとした。
「……海にも魔物がいるからなぁ。
泳ぐのは危険だろう」
「えー、じゃあ海辺で少し足をひたすくらいは?」
「それくらいなら大丈夫だと思うが、調べてからにしよう」
「はーい!!」
夕陽が沈んで暗くなる。
街の方を振り返れば、すごく賑やかになってきている。
居酒屋とか飲み屋さんの通りみたいな?
それにちょっと縁日的な感じが混じってる!?
店の外で魚とか焼いてるんだ!
おいしそうな匂い!!
「今日は夕食、食べて行こう!」
私が駆け出そうとするとユミエラが「負けないわよ」と追いついて来て。
ふたりで先頭に立って、並ぶお店を見て、どこにしようか! と相談を始めた。
読んで下さり、ありがとうございます。




