27 ギルド助け(ミコト視点)
どうぞよろしくお願いします。
私とシアとエドガーは顔を見合わせた。
「うーん、でも、馬車移動して、宿まで戻り……っていうのもな。
移動するにしろ、狩りに行くにしろ、みんな一緒の方がいいだろうし。
明日だけってのも、その問題を打開することにはならないだろうしな……。
狩場に泊まれないのか?」
エドガーの言葉にライカンが「野営で長く逗留する?」と逆に質問してきて話を続けた。
「いや、俺達が3日間狩りをし続けてたとする。
中日に獲物だけ取りにきてもらうとか。
送ってもらって、次の日の午後にでも取りに来てもらったらどうだろう?
俺達はそのまま残って狩りを続けて、最終日に獲物と俺達を連れ帰ってもらうとか?
それなら、他の人と顔を合わせない、いや、少数だが他の冒険者もいるかもだな……。
でも、次にも行きたいから短期集中でなら、協力できるかな?
どうだろう?」
「……そうね、街の近くではあるから、そこまで野営がきつくはないかも」
ミカエラの言葉に、ならギルドを助けてあげたいなという気持ちになる。
「じゃあ、そうしようよ!
3日間、狩りに協力して、その後は海辺の街ソーサラに行ってみよう!
それで、ライカン!
雷魔法、教えて!!」
私の言葉にみんなが笑った。
次の日、私達は宿を引き払ってギルドへ向かった。
狩場で3泊野営して集中して狩りをすることや途中で獲物を取りに来て欲しいこと、迎えに来る日についての打ち合わせをして約束できた。
狩場に管理小屋のようなものもあるそう。物置みたいなものらしいけど。そこを拠点にしたらどうだと提案してくれた。
そのまま、ギルド職員のパーティと馬車で狩場へ移動。
本当だ!
街の外はすぐ畑が広がっていて、そして手入れされてる木が並ぶ果樹園があり、そこを抜けると自然豊かな森に入って行く感じ。
道からは外れるが、管理小屋まで一応馬車で行けるそうで、馬車が入れるかの確認がてら森の中を馬車で進んで行く。
材木とその場の木で造られたという感じの小屋があった。
窓はなく、中には応急手当の物品や焚き木や毛布が木箱を棚がわりに積まれていて、大きめのテーブルと椅子が2脚あった。
一応、木の床が張られていて土間じゃない。
もし天気が悪くなってもここに5人でいることはできそうだ。
5人では狭そうだけど。
外で寝るよりかは良さそうだ。
近くに小川も流れているというので、ライカンとシアと私で確認に行った。
戻ってくると、エドガーとユミエラと職員達で焚き火の用意をしてくれてて、これから狩りに出ようという話になる。
職員のパーティはこのまま狩りをして、夕方には馬車で帰るのでね。
ライカンとシアに拠点の周囲の確認や野営の準備を頼んで、私とエドガーとユミエラは職員パーティと狩りに出た。
魔力を探る。
ディアの群れ、5頭? いや、子どもを連れてて6頭だ。
「子連れのディアの群れがこっちに。
風があっちからなので、、このままもう少し近づいてあそこの木のあたりから二手に分かれましょう。
私とユミエラは追い立て役で右へ。
残りのみんなは左へ回りこんでもらって、あの藪の切れ目あたりに出て来るんじゃないかな?
先にみんなに配置に動いてもらってから、私達は動いて追い立てます。
子どもとその親は見逃してくださいね」
職員達も頷いてくれた。
エドガーと職員パーティを見送り、時間差で私とユミエラはディアの群れの右側を回り込んで方向を探りながら、ウオータードロップを強めに飛ばして、ユミエラと私で大きな声で追い立てる。
横へ逃げようとしたディアにはアクアバレットで方向を変えさせるようにし、誘導する。
職員とエドガーが3頭仕留め、2頭と子どもはに無事に逃げられてみたい。
私は取ったディアを収納した。
「この狩りでしばらく大型の魔物は警戒するでしょうが、隠れている小さな魔物がいるかもしれませんね」
魔力を探ると藪の中で隠れているレミーの群れを見つけた。
私はここでみんなに待機していてもらい、私だけ、そっと反対側に回り込んで、ウォーターバレットを藪に打ち込んだ。
驚いて待っていた職員パーティの前に飛び出していくレミーの群れ。
エドガーとユミエラもいるからたちまち、群れは仕留められ、藪の中から怪我をしたものも出てきたので、職員が確認してくれると2匹、藪の中で死んでたとか……。
藪の木が丈夫そうで、気持ち強めにしちゃったんだよね。
収納して小屋まで戻った。
かなり、いい成果じゃない!?
昼食を食べる前に職員は帰ることにしたそう。
ディア3頭、レミー15匹を持って馬車で帰って行った。
「明日の午後、回収に来るのよね!」
ユミエラがやるぞー! という感じで言った。
昼食を食べてから、私はライカンに風魔法を見てもらう。
『ウインドバースト』下に押さえ付けるような強風。
『ウインドカッター』小さな風の刃を飛ばす。
これはできてるんだ。コントロールがいまいちだけど。
『ウインドストーム』を教えてもらう。
小さな竜巻みたいな。押さえつけるだけでなく上にも吹き上げたりさせることができる。
レミーとかウジューなら、群れをこの竜巻で動けなくさせるとかできそうだね。
ここまでの感じが中級で、上級の雷魔法はこの『ウインドストーム』の発展形らしい。説明を聞いた感じだとウインドストームを強く展開することでエネルギーが雷になり、それで攻撃するということらしい。
とりあえず、実践! ということで、水魔法から風魔法に変えて追い立て役を何度かしてみる。
出歯ウサギやレミーを狩ることができた。
一度、拠点に戻り、留守番してくれてたシアとユミエラと交代することに。
私は休むことにしたんだけど、エドガーも「俺もちょっと休もうかな」と言って、そしたらユミエラに思いっきり左肩を叩かれて!
すごい『パーン!』といい音が響き、私も、叩いたユミエラもびっくりして目が点になった。
「わ、ごめーん!」
「いってーなー」
ぶつぶつ言うエドガーと私を残し、三人は狩りに行った。
私は焚き火のそばに座って、髪を覆っていたスカーフを外して、腰に巻いた。
「どう?
雷までいけそう?」
エドガーが隣に来て話し掛けてくる。
「うん、けっこう練習する時間もあるもんね。
頑張る!」
私は微笑んだが、エドガーがなんか痛そう……。
「肩、痛む?」
「もう……、ユミエラの馬鹿力がっ!
大丈夫だよ」
「見せて!
冷やした方がいいかもだしっ!」
エドガーのシャツを左肩の方だけ脱いでもらう。
赤くなってる……。
「冷やそう!」
私は手拭きの布を取り出すと濡らして絞り、左肩の赤くなっているところにそっと当てて押さえた。
なんかそのまま至近距離でじっとしているのもなんか場がもたなくて、小さな声でいつものようにでたらめな歌を歌った。
「赤味よひいて♪ その熱を♪ 取れれば痛みも引くでしょう♪」
濡れた布を押さえている私の右手をエドガーが空いている方の手で覆うようにする。
「すぐ温まっちゃうよ!」
私は苦笑して、布を外した。
あら、いい感じ?
赤味がかなり減っている。
もう一度、水で濡らして絞って肩に当てた。
「……歌ってくれないの?」
「歌って欲しいの?
歌詞が即興のでたらめな歌なんだけど。
赤味が引いて♪ その次は♪ 痛みがなくなり元通り♪
すっかり良くなりエドガーは♪ 狩りに頑張れ、る、んでしょう♪
う、ちょっとリズムに合わなかった」
私はてへっと笑った。
読んで下さり、ありがとうございます。
ユミエラは『もー、二人で残るなんてやるじゃん! ひゅーひゅー』ぐらいの気持ちだったのですが、けっこう力が入っちゃいました。




