26 アサニヤ王国へ!(ミコト視点)
どうぞよろしくお願いします。
ユミエラはけっこう思いっきり髪を短くした。
でもカッコイイ!
きれいな首筋と鮮やかな赤毛から色っぽさも感じる。
シアは前髪を作って、高めに結んでから三つ編みして巻き付けるという髪型にしてみた。
ギルドのお姉さん職員さんがよくやっている奴ね!
以前はゆったりと髪をたゆませるように結っていて、最近は緩くひとつ結びのことが多かったから、全然違う。かわいい。
私は結べるくらいの長さで切って、ひとつ結びにしていることにした。
解くと肩に着くくらい。
ユミエラと私はけっこう切ったので、髪の束が残った。
捨てるか埋めても、もし売っても、何かあったらやだねということになり、収納しておくことにした。
特に私の髪は見つかると珍しいとなるかもということだったので、ね。
サライへは野営1泊で到着できた。
ぎりぎり強行軍で1日で着ける距離だったみたい。
なので、野営時に周囲に人が全然いなかったのよね。
まあ、髪切ったりがあったから、それは良かったんだけど。
サライに到着して、もうギルドにも寄らず、そのままアサニヤ王国行きの渡し船に乗った。
船の上でスカーフを頭に巻いてみる。
ふふっ、なんか見慣れない……。
でも、私は上着をしまえて清々しい気分!!
船を降りてルーカイという街に入る。
シーザー王国ともマイルズ共和国とも雰囲気が全然違う。
シーザー王国とマイルズ共和国はそれで言うと似てたんだなと気づいた。
言葉もほぼ同じだし。
アサニヤ王国はちょっと方言ぽいというか、昔の言葉使いが残っている感じがする。
宗教=政治の偉い人ってのも、昔の感じがするよね。
ライカンもアサニヤ王国にはデュランの方から入ったことがあるそう。でも、すぐにマイルズ共和国の方に戻ったそうだ。
なのでルーカイは初めてということで、情報がなく、ギルドに行ってみることに。
街が賑やかな割にギルドの活気がない。
ギルドにも宿がなく、いくつかお薦めを教えてもらう。
そして地図を買った。
へー、ルーカイからもっと南へマイルズ川を下って海まで行くとソーサラという街がある。
王都はアサニヤ王国のど真ん中にあたり、ルーカイからだとシーザー王国寄りに北西かな。
ラコルムという名前の王都だった。
アサニヤ王国はマイルズ川と、マイルズ川の支流(?)途中から分かれたアーリラ川という名になるんだけど、その2本の大きな川に挟まれた地域がこくどとなっている。
狩りの仕方とかどうなんだろ?
そう質問するとギルド職員のパーティが狩りに出る時に狩場へ一緒にどうだと言われて。
ライカンとユミエラが参加してみることになり、明日の約束をした。
私とシアとエドガーは市場などを歩いて街の様子を確認することにした。
紹介してもらった宿の中から、さらに女性職員さんに女性ならどこの宿をお薦めするか聞いてさらに絞り込んで、ギルドのそばの宿に決めた。
宿っていうよりシェアハウスみたいな宿で、泊まる部屋を借りて、他は共用部として利用可みたいな。
前に泊まったベッドだけの宿に近いかな?
でも、部屋を借りられるのであそこまで荷物に気を付けてとか、わさわさはしていない。
三人部屋もあり、三人部屋と二人部屋を借りることができた。
共用部には簡単な調理場もついていて、自炊もできるし、買ってきた物を食べるスペースもある。
宿の隣の建物が昼は定食屋、夜は居酒屋みたいな感じのお店で、そこでお金を払って食事をしてもいい。
悪くはないけど、ちょっと賑やかかもね。
次の日、ユミエラとライカンは狩りに、私とシアとエドガーは情報集めとばかり街にでる。
ルーカイから南の海の方へ行けばソーサラという街。
反対に内陸の方へ西に進めば王都ラコルムである。
「海、この世界で海を見たことないから、行ってみたいな」
私が言うとシアとエドガーも『海は見たことがない』と言った。
シーザー王国にも海はあるんだよ。
でも、王都テイル、私達がいたカノンは山の方というか、内陸というか、北の方というか。
王都から南西にずっとずっと行けば海に面した街はあるんだけどね。
かなり遠いと思われる。マイルズ川かアーリラ川を船で下れば早く海に出られるだろうけど。
「じゃあ、ソーサラに移動しましょうか!」
シアも言ってくれた。
となると、気になるのはソーサラでの冒険者の活動だ。
まあ、海辺とはいえ、陸地の狩場はあるだろうからね。
ルーカイの狩場の様子によって、もう少し留まった方がいいかもある。
ルーカイはシーザー王国、マイルズ共和国からの物流が集まる街なので、けっこう活気がある。それぞれの国の人も入ってきてるし。
その中で私達も目立たずに活動できるかもだけど、マイネでのように知っている人に会ってしまうことも考えられる。
「いつでも移動できるようにしといた方が良さそうだな」
エドガーの言葉に私とシアも頷いた。
「食料を補充しておきましょう」
市場や店を見ていき、物価を確認する。
シーザー王国やマイルズ共和国から入ってきている物は割高な感じだ。
アサニア王国の地の物、パンや果物や野菜は他の国より安く感じた、でも、お肉が高い!!
「農産物が豊かみたいね。
でも、狩りは盛んではないのかしら?」
シアが首を傾げる。
「じゃ、魔物を狩ればけっこう高く売れるのかな?」
「そうね!
ただ……狩場が遠いのかもしれないわね。
活動する冒険者が少なくて、それでギルドのパーティが出てるのかも。
私達が初めてだと言うと狩場がわからないだろうからと同行しようと提案されたしね」
「なら、やっぱり、もう少し小さな街の方がいいかもね。
海に近いなら魚も食べられるね!」
「川魚や湖の魚は食べたことあるけど……、海の魚ってどうなのかしら?」
シアとエドガーが顔を見合わせてた。
うん、塩焼きとかおいしいと思う。
でも、大根おろしも醤油もないかあ……。
夕方、ライカンとユミエラが戻って来た。
宿で夕食の用意をして待っていたので話を聞きながらみんなで食べた。
やはり狩場が遠くて馬車で行ったそう。
街から小麦や野菜の畑を過ぎ、果樹園を抜けた先が狩場の森で。
この距離が大変で、冒険者がなかなかルーカイに留まってくれないとギルド職員達が話していたそうだ。
んー、物流が街の中心になっちゃってるんだろうな……。
出歯ウサギと、ディア、それにボアだけど、色が黒いのがいたそう。
「ブラックボア?」
私が聞くとユミエラが笑った。
「ワイルドボアと言ってた」
「毛皮が硬くて撥水なんだそうだ。
建物の屋根の防水なんかにも使われるそうだよ。
それでいて肉の味はなかなからしい。
他の普通のボアもいるそうだが、時々獲れるらしい」
ライカンが苦笑しながら言った。
「倒すの大変そうだね」
私が言うとユミエラが言った。
「だから、ライカンが剣から雷魔法を撃ちこんだの!」
「えっ!
雷魔法っ!?」
風魔法の上位魔法だ!!
「ライカン、できるの!?
教えて欲しい!!」
私は大興奮して言ったのだが、エドガーに頭ポンポンとされてしまう。
「それはおいおい。
で、今は先に進むかもう少しここにいるか、だよな。
俺とシアとミコトはもう少し小さな街で、狩りしやすい場所に移動した方がいいと思う」
エドガーの言葉にユミエラとライカンが小さく笑って、困った表情をした。
ライカンが説明してくれる。
「ギルドが馬車を出してくれるから、明日はみんなで狩りに行って欲しいと頼まれたんだ。
収納魔法ができれば、獲物を持ち帰るのも楽だろ。
本当に肉の需要に供給が追い付いていないみたいで、困っているらしい。
助けてくれないかって……」
読んで下さり、ありがとうございます。




