20 マイネの宿(ミコト視点)
どうぞよろしくお願いします。
マイネのギルドに到着した私達はギルドカード訂正を行うことになった。
ライカンは冒険者に戻ったのが久しぶりなので、更新。私も使える魔法が増えたので更新をすることにした。
クルトは名前をエドガーに。
プリシラはパトリシアに。
ミカエラはユミエラに。
三人とも出身地は変更ないから、通称の改名ということで理由も『職場で使っていた名前だったが、その仕事をやめたので』という理由で受け付けてもらえたそう。
一応、何か悪いことをしての改名じゃないかって調べられるそう。
ギルドにそう言う届が出ていなければ、すぐ認められることが多いそう。
三人もちゃんと認められた。
良かった!
ここから、心機一転、だね!
「パトリシア、ユミエラ、エドガー」
私は口に出して呼んでみる。
エドガーが言った。
「パトリシアって長いな」
パトリシアが笑う。
「一文字増えただけじゃない!!
そうね、両親は『シア』と呼んでくれてた」
「シア! 素敵!
私もそう呼びたい!!
ユミエラはそのまま?」
「そうねー。
短くするとなると『ユミ』か『エラ』だけど。
ユミエラってそこまで言いにくくないでしょ?」
私は笑って頷く。
「シア!
ユミエラ!
エドガー!
ライカン!
これからもどうぞよろしくお願いします!」
みんなニコニコ頷いてくれる。
エドガーに「ミコトの魔法はどんな感じ?」と聞かれたので、私は自分のギルドカードを見た。
おお、風と水が☆3になってて、火も☆2だ!
ランクもDになってる!
「成長してる!!」
胸を張って報告したら、エドガーがなんだか赤くなった。
「えっ?」
「いや、その……。
ミコトが成長したら結婚できるんだよなって」
私も赤くなってしまった。
いや、魔法の成長であって、身体の成長の方はね……。
うん、まあ、順調だとは思うけども……。
「そういえばライカンの魔法は?」
ユミエラの声に我に返った。
「私は風です」
「えっ!
じゃあ、収納魔法できる!?」
「できますよ」
「すごい!
収納魔法が二人もいるパーティ!
すごくない!!!」
ユミエラが大喜びしていた。
宿はギルドではなく、ライカンがよく使っているというところを紹介してもらう。
ライカンより少し年上かなと思われる御夫婦が切り盛りしている定食屋&宿みたいなところなんだって。
大通りから市場の方に向かって路地を入ったところのこじんまりしたところだった。でも居心地良さそう。
「あら! ライカン様!!
え、冒険者になったんですか!?」
奥さんにびっくりされてしまう。その声に奥から御主人が出てきた。
「ああ、身内の子に偶然出会ってね。
一緒に旅をすることにしたんだ」
「どなたが身内なんですか?」
うん、四人もいるからね。
「このミコトが私の娘のような。
それで、ミコトの恋人のエドガー。
二人の友人のシアとユミエラだ。
これから、よろしく頼む」
「あら、かわいい娘さん達!
よろしくね!」
奥さんがにっこり微笑んでくれた。
そこへドアがカランと鈴を鳴らして開いて冒険者風の若い男性が入ってきた。
「父さん!
頼まれてた肉……って、ライカン様!?
え、騎士、その格好、やめちゃったの!?」
「ああ、ディー、私も冒険者の端くれに加えさせて頂いたよ。
よろしく頼むな!」
「えー!!
じゃあ、明日、一緒に狩りに行きましょうよ!!」
「みんなと一緒だがいいかな?」
私達はデイーと呼ばれた冒険者に自己紹介した。
宿の息子さん。
「へー、ライカン様の娘さん?」
「娘みたいな。
まあ、親友の娘ってとこか?
うん、親友の娘だとシアやエドガーの方が近い?」
ライカン……、説明すればするほど、私、謎の人物になってますよ……。
ディーが首を傾げてからエドガーを見た。
「エドガーと俺、同い年くらいかな?
俺、21歳!」
「ああ、同い年だ!」
そうか、エドガーはシーザー王国の第1王子と同い年なんだから、21歳か!
8歳差だったのが7歳差……。そこまで変わらないけど、ちょっとだけ縮まったのがうれしい。
「ユミエラも21だ」
エドガーが言って……。
「女性の年齢はばらしてはいけない」
ライカンがエドガーに注意してた。
うん、確かに。
「いいよ、気にしてないし。
ユミエラって呼んで!
ディーはライカン様って呼んでるの?」
その言葉をきっかけにライカンが声を掛けた。
「ああ、ディー。
私はもう騎士ではないし、みんなと同じように冒険者の仲間としてライカンと呼んでくれ」
「いいんですか!?
ああ、そう呼べるように頑張ります!」
頑張ることなんだ……。
私達、普通に呼んじゃってるけど。
そうか、ずっと様付けて呼んでたら、直すの大変か!?
シアとユミエラと私で四人部屋に通された。
三人部屋はないんだそう。
エドガーとライカンは二人部屋だ。
後、二人部屋がもう一室、ひとり部屋が一室あるそう。
ひとり部屋には予約が入っていると教えてもらう。
他のお客さんがいるなら、あんまり騒がないようにしないと。
部屋に入るとユミエラが何だかご機嫌だ。
「ね、ディーってかっこいいね!」
「うん、爽やかな感じはする。
好青年って感じ」
私が答えるとシアが笑った。
明日、一緒に狩りに行くことになったのだが、ディーにも仲間がいるそうで、ギルドで待ち合わせることになったのだ。
「ロバートさんのところ、いつ行く?」
私が聞くと「ロバートさんって誰?」とユミエラ。
「ボアに追いかけられた商人さんだよ。
マイネとジュノーにいることが多いから寄ってくれとか言ってた」
「ああ、あの人か!」
ロバートさん、いい人だったんだけど。
シアが苦笑した。
「じゃあ、明後日は私とミコトとエドガーあたりでオルガ商会に行ってみるわ。行ってもいないこともあるからね。
ユミエラとライカンは狩りの方に行ってもいいんじゃない?」
「了解!」
ユミエラが元気に答えた。
次の日の朝、お弁当まで持たせてもらい、私達はディーと一緒にギルドに向かった。
ディーの仲間はマイネ出身の幼馴染のふたりで、パーティまでは組んでないけれど、声を掛け合って一緒に狩りをする仲間なんだそう。
フィオナという若い女性とソーマという男性だった。
「えっ?
ライカン様!」
ソーマも驚いていたから、ライカンは騎士として人気があったみたいだね。
自己紹介をし合った。
ソーマはディーの先輩という感じで、フィオナは後輩という感じ、かな?
「こんな子どもも連れて行くの?」
フィオナが言って、私を見ていた。
ユミエラが表情をきつくして言い返す。
「ミコトは魔法すごいんだから!」
「……すごいってどれくらいよ?」
「あん? 水と風とそれから」
「ユミエラ!!
あの、私、水と風が使えて!
風魔法の収納魔法も使えますので、獲物を持ち帰るのもお手伝いできます!」
ユミエラがいろいろ言っちゃう前に自分で2属性だよということにしておいた……。
「へー、それは便利だな!」
ソーマの言葉にライカンも言ってくれる。
「私も収納魔法ができるんだ。
今日は持ち帰る量の心配がないから、たくさん狩って腕慣らしといこう!」
ライカンがやる気を盛り上げてくれうような声掛けをしてくれたので、雰囲気が和やかになった。
ユミエラとフィオナは離しておいた方がいいかもね。
狩場へ案内してもらって歩き出す。
私はエドガーと一緒にいたんだけど、ディーとソーマにエドガーが呼ばれて、ひとりでいる時にフィオナがつつつっと近寄って来た。
「あの黒髪のエドガー、あんた恋人ってホントなの?
何か弱味、握っているとか?」
弱味!?
まあ、お互いにいろいろ知ってはいますが?
読んで下さり、ありがとうございます。




