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15 ファーストキス!?

どうぞよろしくお願いします。

 私達は収納魔法があるから移動中でも狩りができるし、採集もできる。

 これは移動中も稼げるってことで本当に便利だ!


 さすがに首都に向かう道。

 ちょうどいいところに騎士団の施設があって、お金を払えば泊まることもできるんだって。

 施設の敷地内に野営ができる場所もあって、私達はこちらを選んだ。

 まあかなり安いから。

 それに、騎士団施設の敷地内で治安も良さそうだしね。

 野営でも、場所とテントが割り振られていて、雨が降ってもしのげそうだし、焚火をできるようになってて。

 私達は大きな荷物もないからね。

 でも、四人で寝られるように大きなテントを希望したら、水場のそば、つまり施設の近くにしてもらえた!

 しかも、周囲のテントとは少し離れていて、より安心な感じ。


 なんだかキャンプみたいで楽しい。

 クルトと敷地を出て、すぐそばの森へ枝を拾いに行く。

 私はクルトに見守られて「ウインドカッター!」と張り切って燃えやすそうな枝先を切り落としたり、折れて落ちている大枝を刻んで使いやすいサイズにして収納した。

 魔法の練習で一石二鳥!

 ノートに日付と枝①、枝②……といくつかに分けて収納する。

 また野営の時があったら、すぐに使えるもんね。


 たくさん集めることができたので、収納して、テントに戻るかなとクルトの隣に行くと、大きな木の陰で抱きしめられて、フードを後ろにずらされた。


「何?」

「いや……、恋人なんだから、顔見て、少しは触りたいし」


 私はぼっという勢いで顔が赤くなったと自分でもわかった。

 そんな私の両頬をクルトの手が包むように……。


「小さくて、かわいい……」

 

 この世界では小柄になっちゃう私だけど、たぶん日本でなら普通だと思うんだけどな。

 頭撫でたり、片手だけそっと頬を触ったりは今まであったけど、こんな至近距離で向かい合って、がっつり両手で顔を包まれたことはなかったから……。

 私は少し左へ首を傾げてクルトの手に気持ちすりすりしてから私の左手を重ねて微笑んだ。


「クルトの手、大きくて好き」


 クルトが真っ赤になった。


「くっ!

 キスしていいか!?」


 えっ……、聞いてくれるのはうれしいんだけど、返事をどうしようと一瞬ですごく考えてしまった。

 キスぐらいなら、いいか?

 それに私のファーストキスだ。

 クルトとキスできるチャンスにしといたほうがいいか!?


「……はい」


 クルトがゆっくりとかがんで、顔が近づいてくる。

 私は目を閉じた。

 唇が触れるか触れないか、息や体温を感じたぐらいの時、「おいっ!」と男性の声が響いて、クルトは慌てて背を伸ばして私のフードを片手で被せると、私の頭を抱えるように抱きしめた。

 走ってくる足音。

 ガシャンガシャン?

 騎士、かな?


「そこで何してる!?」

「焚火のための枝拾いをしてました。

 集まったので、少しおしゃべりをして、そろそろ戻ろうかと」


 クルトが答えている声が聞こえる。


「枝拾いにしては、枝が見当たらないが……」

「それはっ!」


 私は慌てて声を上げた。


「戻るために収納したからです!」

「ん?

 子どもかと思ったら……、お嬢さんか?

 はっ!

 もしかして……、私は邪魔してしまったか!?

 申し訳ないっ!!」


 クルトがほっとしたように抱きしめる手を緩めてくれて、私はその騎士を見ることができた。

 かなり年上の……、うーん、ひげ生やしてると年齢がわかりにくい。

 おじさんだけど、うーん、どうなのか?

 私は騎士を見ながらそんなことを考えた。


 私達は名前を名乗り話をした。

 おじさん騎士はライカンさんというそう。

 年齢は37歳。

 うん、おじさんだった。

 ひげのせいで一見怖そうだけど、笑うと目が優しそう。


「本当にすまんっ!

 子どもを脅かしているのかと!」

「いえいえ、私がちっちゃいのでっ!」


 ちゃんと恋人というか、私はもう14歳で結婚の約束をしていると、クルトも私も言って、なんか微妙な雰囲気になってしまう。


「……どうぞ続きを、とは、いかないのでね。

 戻りましょうか!」


 苦笑いで言われてしまった。


 

 テントの前に戻るとミカエラとプリシラが迎えてくれた。


「おかえりー!」とミカエラ。

「おかえりなさい……、その方は?」とプリシラ。


 ライカンさんはふたりを見て固まった。


「えっ? 女性ばかり?」

「プリシラとミカエラです。

 私達、ジュノーまで旅をしていて、まずマイネを目指してます」


 私はライカンさんに紹介するように言った。


「旅の目的は?」


 えーと、私は言葉に詰まってしまい、プリシラが慌てて言ってくれた。


「オルガ商会に知り合いがいまして。

 訪ねる予定です」

「オルガ商会……。

 大手の商会だな。デュランにもマイネにも支店がある」


 ライカンさんは頷いてから、ひとりで納得したような表情をした。


「そうか!

 大切な方を訪ねる旅なのだな……」


 私とプリシラとミカエラは『?』となったが、クルトが私にこそっと言った。


「ライカンさんって、先走って考えちゃうタイプだな」


 はっ! そうかも!

 さっきは子どもが虐められてるって思って駆け付けて来たし。

 今度はプリシラとミカエラが若い女性だから、新婚の単身赴任してる夫を訪ねてきたとか……、なんて考えたんじゃない?


「我々、マイルズ共和国騎士団がここは守っております。

 ゆっくりとお過ごし下さい」


 ライカンさんはそう言って礼をすると建物の方へガシャンガシャンと戻って行った。


「悪い人じゃないけど、ちょっと思い込みで動いちゃうとこがありそうな人だよな」


 クルトの言葉に「何?」とミカエラが面白そうな顔をした。


 とりあえず、拾ってきた枝を出して暗くなる前にと焚火する。

 テントの中はプリシラ達がもう寝るだけに整えていてくれていて、荷物の整理もほとんどできてるそう。

 テントと一緒にランタンも貸してもらえたので、夕食を食べ終えてから、交代で建物のトイレを使わせてもらい休むことに。

 こういう場合、プリシラとミカエラ、私とクルトの組み合わせになるんだよね。 

 前からそういうことが多かったけれど、前はミカエラとクルトって場合もあったんだけどな。

 なんか、気を遣われているのか!!



 本当の野営なら火の番をして一晩中焚いてた方がいいんだろうけど、ここは騎士団の敷地内だし、建物にも近いしね。

 四人でテントで寝ようという話になり、クルトが出入り口の所に寝てくれて、奥に女性三人が寝ることで話はついたんだけど。

 ミカエラが私を見て「ミコトが寂しがってるわよ~」とからかうように言った。


「さ、寂しいだなんて!

 ちょっと心配しただけだよ。

 入り口が一番危険じゃない!?」


 私がそう言うとクルトが笑う。


「じゃあ、火を落として最後にテントに入るから。

 ミコト、手伝ってくれる?」

「うん」


 プリシラとミカエラは笑って「じゃ、先に休ませてもらう!」「おやすみなさい!」とテントに入った。

 私とクルトは焚き木を一本ずつ引き抜いて火を消していき、焚火を小さくしていく。


「さっきは残念だったな……」

「残念って……、あ!

 キスのこと?」

「……今してもいい?」

「え!?」


 私は周囲を見回してしまう。

 その時、建物の方から視線を感じた。


「建物の方から見られてる気がするっ!」

「マジか。残念」


 クルトがわざとらしくがっくりし、私は苦笑して、引き抜いた焚き木の炭化してる部分に火が残っていないか確認する。

 明日の朝も少し火を焚きたいからね。

 水を掛けちゃえば安全なんだけど。

 

 火が消えていることが確認できて、ランタンの明かりだけになる。

 クルトの顔に煤というか、黒くなっているところがあって、布に『ウオータードロップ』で水を出して沁み込ませ、拭いてあげた。


「私は汚れてない?」


 クルトに聞きながら私も顔を拭いた。


「どれ?」


 クルトが私の顔をよく見て「うん、大丈夫」と言って、なんか『ぐっ』て顔をして離れた。

 私はテントに入る時に建物の死角になることに気がついた。

 テントの入り口を開けようとふたりでしゃがんで、クルトが入口の布を上にあげようとした時、クルトの頬にチュッとキスをした。


「えっ!?」

「おやすみなさいっ!」

 私は靴を脱いでさっとテントに入り、プリシラの横の毛布に滑り込んだ。

 ドキドキした。

 今まで、プリシラとミカエラには頬にキスとかしたことあったけど。

 クルトにはなかったから、ね。

読んで下さり、ありがとうございます。

書いてて、かわいい。

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