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128 初めまして(ミコト視点)

完結まで、後2話です!

ちょい長めとなってます。

どうぞよろしくお願いします。

 マイルズ共和国使節団の帰国への旅が始まり、私とシアとユミエラとエドガーは四人だけで『エスタ』を訪ねた。

 マダムは笑って迎え入れてくれて。

 シアはアンドリュース侯爵に相談してくれたことについてお礼を言った。


「あら、なんのこと?

 一応『エスタ』が困ったことにならないように……、法に詳しい方に相談しただけよ」


 なんて笑ってたけど、私達を見てしみじみと言った。


「パトリシアもユミエラも……、本当に過去を清算して、自由になれたのね……。

 タビーユが知ったら、きっと喜んでくれるでしょう……」

「マダムのおかげです。

 そしてタビーユ氏が法に触れると思いながら、私を助けてくれたこと……」

「慈善事業じゃないんだけどね。でも、見過ごせなかった……」

「でも、この業界では『エスタ』は……」

「ええ、この業界では良心的な方と言われてるわよね。

 でも、少し疲れて来たわ……。

 私の後を継がせる者はいない。 

『エスタ』は私の代で閉めます。

 それまでに店の女の子達をなんとか……。

 そうそう、ユニコーン商会長さんにお願いがあるの。

 そうなったら、マルスをそちらで雇ってくれない?」


 部屋にいたマルスがびっくりしている。


「マダム!?」

「マルス、すぐでなくてごめんなさいね。

 後、数年、付き合って。

『エスタ』の子達はね、『プリシラ』と『ミカエラ』の話を聞いて、自分の手に職をつけるっていう方向へね。

 冒険者の子もいるし、レース編み、刺繍、お菓子作り……。

 ふふふっ、不思議な職人集団になりつつあるのよ。

 みんなで助け合って、年季を返すために、ね」


 シアが身を乗り出した。


「仕事ができる人ならユニコーン商会で受け入れることもできます。

 王都テイルに窓口は作ったんです。

 半年から1年……、支店も出せると思います!」


 マダムはちょっと驚いてから、ふっと笑った。


「ありがとう……。

 この地獄に落とされた女の子達にどうやって自分で自分を助けるという道に進んでもらうか……。

 試行錯誤でゴールに向かって、ひとりで光も見えずに歩いているのではと辛い時もあったから……」


 私達は定期的に連絡を取ることを約束した。

 

 そして、『エスタ』を出た。


 ユミエラがうーんと大きく伸びをした。


「これで、過去にもう怯えなくていいかな?」

「怯えてたの!?」


 シアが笑って。

 ユミエラが唇を尖らした。


「まあ、心はかよわい女の子ですから!

 ね! ミコト!」

「なんで私に話を振るの!?」

「だって、ミコトは私と逆で、見た目はかよわいのに心は……」

「ミコトの心がなんだって?」


 エドガーが怖い目でユミエラを見る。


「わー、冗談だって!」


 私はシアに抱きついて、そしたらユミエラも抱きついてきた。

 エドガーが私達を大きく抱きしめてくれる。

 私は何だか泣きそうになり、小さな声で言った。


「私のこと、助けてくれて……、守ってくれて、ありがとう」

「いえ、私達の方が助けられたのかもよ」とシア。

「うん、ミコトがいてくれたから、頑張れたこともある!」とユミエラ。

「ああ、俺達の方がミコトを助けたくて、助けられてた」とエドガー。


 ああ、幸せだな。


「これからは一緒ってことが、今までより少なくなることがあるかもだけど……。

 みんな、私の大切な家族だから!!」


 シアが笑った。


「そうね!

 まずユミエラとディーは新婚生活を楽しみなさい!」


 エドガーが不満そうに言う。


「俺とミコトも新婚なんだけど」

「それを言うなら、私とライカンもまだ新婚って言ってもいいと思う」


 みんなで爆笑した。




 無事にマイルズ共和国のジュノーに帰還して……。

 ユミエラとディーはアパートみたいな部屋でふたりきりの新婚生活を始めた。

 ミレニアはクラークとメグミ様がしばらく預かってくれることになり、メグミ様が勉強を教えてくれるって。

 そしてエディはうちに来た。

 あの家です。

 大きな部屋にライカンとシア。

 個室にエドガーとエディ。小さな部屋に私。

 全然、新婚生活じゃなーい!

 

 でも、クラークとゴードンとオルガ商会に、さらにノルテスにもお願いして、ユニコーン商会の新拠点となるような大きな家を探している。

 

 私達が不在の間もアイスクリームは絶好調!!

 オルガ商会に渡したグラスも大喜びされ、ノルテスのエーリン商会とオルガ商会が提携してシーザー王国から輸入することになった。

 オルガ商会の方のレストランの方ではグラスにパフェを作って、売り出し中!

 ユニコーン商会の方は小さなグラスにミニパフェを作り、お店で食べられる限定品として売り出して、これまた人気になった!

 マルスを迎えられるように、ケレスにも支店を出そうという話になり、シアやホークやケリーさんは大忙し!

 それにユミエラとディーはコタンにセーブルの細工物の買い付けに行ったりしている。新婚旅行みたいでちょっと羨ましい……。


 私は魔法塔の方で、アサニヤ王国とシーザー王国への期限派遣についての内容をザイマやクラーク、それにギルドも関係ある話なのでゴードンにも確認してもらい、一緒に文書にした。

 エドガーとライカンも協力してくれた。

 最初のアサニヤ王国担当が私だからね!

 きちんと安全に行けるように……。

 いろいろ準備することがたくさんなのだよ!!



 3カ月後、アサニヤ王国へ最初の聖魔法使いとしての派遣が決まった。

 エドガーとザイマとライカンが一緒について来てくれることになった。

 すっごい護衛がたくさんですね。私もまあまあ強くなったと思うんだけど!?

 

 サライに出て、マイルズ川を渡り、ルーカイに出た。

 そして、私のお願いでソーサラに向かった。

 

 懐かしい!

 いつもお祭りのような漁港の賑わい!

 ラスターと従者がギルドで出迎えてくれた。


「ラスター!

 連絡ありがとう!

 ラスターがカイラムに伝えてくれたんでしょ?

 キアラさんのこと!」

「うん!

 カイラムが王家をやめるって言った時に。

 きっとマリナ様を休ませるために王家を、王都を離れると思ったから。

 その後は、私はミコトを迎え入れるために、『聖女』をやめること、儀式とか巡回とかいろいろ新しく考えて、王家のみんなを説得したり、貴族に根回ししたり、教会に納得させたり……、孤軍奮闘っていうのかな……。本当に大変だったんだよ!

 カイラムはすぐに出て行っちゃったし!」

「うんうん、ラスター、よく頑張った!」


 私はラスターの髪の毛をなでなでしてあげた。

 ラスターがすごくうれしそうに笑う。

 ふふっ、本当に犬みたい。


「私が大変な苦労をしている時にカイラムが自分でオグマさんに連絡を取ったみたいで。

 だから、ミコトと私が連絡を取っていて、ルーカイからソーサラに来たこと、カイラムは気づいてないよ」

「ふっふっふ。

 いろいろ驚かせてやるんだから!!

 もう、ぎゃふんと言わせてやる!!」

「大丈夫なのか?

 カイラムはもう……」


 エドガーがまだ心配そうだけど……。


「うん、もう大丈夫だと思うな。

 ちゃんとフィオナと結婚したんでしょ?

 ……変なことしてきそうだったら、エドガーとイチャイチャしているところを見せつけてやる」

「えっ、それは、そうなるのを期待してもいいかもな」

 

 エドガーが笑って。


 私達はラスターの用意した馬車に乗って、山道を上がっていく。

 オグマさんの屋敷が見えてきた!

 トロアがエントランスに迎えに出てくれてる。

 

「ラスター様、お久しぶりです……って。

 ミ、ミコトさん!?」

「お久しぶりです、トロアさん!

 奥様はお元気!?」

「はい、お元気ですよ!

 昔のお友達が少し前からいらしていて、とても楽しそうにお過ごしです」

「うん、それは良かった!」


 私達はトロアに案内されて、庭へ案内される。

 やっぱり素敵な庭だな。

 庭のテーブルに奥様と、同じくらいの歳の少し小柄だけど背筋がピンとした女性がいて、ハナとフィオナとカイラムがそばにいた。

 ふっふっふっ、予定通り!


「あら!

 ミコトじゃない!

 いいところに!

 あなたに似ているってずっと話していたマリナよ!

 ちょうど良かった!」


 キアラ奥様の以前と変わらない穏やかでマイペースでかわいい発言に、とてもほっとする。


「お久しぶりです。

 奥様。

 初めましてマリナ様。

 私、ミコトといいます。

 5年、そろそろ6年になります。こちらに転移してきて。

 魔法塔の魔法使いをしていて、アサニヤ王国に1カ月滞在する予定です」

「……ミコト。転移者なのね。私(わたくし)と同じ……」

「はい、転移者です。

 そのせいで逃げ回ることになり、シーザー王国、マイルズ王国、アサニヤ王国とあちこち旅をして……。

 でも、自分で好きな生き方を選び取ることができました」

「そう……、そういう生き方をした方がいるとは聞いたことがあるわ」

「はい、魔法塔のメグミ様という転移者の先輩がいて、あ、マリナ様には後輩になりますね。

 日本の話をしましょう!

 和食もいろいろ用意してきました!」

「和食!?」

「ええ、緑茶に、お味噌に、おにぎりに、アイスクリーム!

 マリナ様と一緒に食べたくって!!」


 マリナ様の表情が輝く。


「お味噌!? おにぎり!!」


 私はカイラムとフィオナに微笑みかけた。


「ご一緒に食べません?

 マリナ様と私の、前にいた世界の食べ物を再現したんです。

 きっと喜んで下さると思って!」


 カイラムはびっくりした顔をしている。

 やったぜ!

 フィオナもね。

 びっくりを通り越して顔色が悪い。まあ、フィオナのやらかしを知っているから。

 私を『えっち』ってギルド中に響き渡る声で言ったこと……、忘れてないからな。

 ハナは……、うん、知ってたって顔ね。


「ミコト様、準備をお手伝いします」

 

 うん、冷静なハナ。

 笑っちゃいそう。

 エドガーと顔を見合わせて微笑んだ。


読んで下さり、ありがとうございます。

さあ、次でラストです!

最後まで楽しんでいただけてたらうれしいです。

感想や評価、どうぞよろしくお願いします。

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