127 ユミエラの父親(ミコト視点)
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明日、カノンへ向けて出発するということで、今日はユミエラとディーとミレニアと私とエドガー、それにコステロとノルテスとゴードンは馬車と馬で、王都の北の方のガラス工房へ向かった。
ユーリに会えた!
ユミエラによく似ている背の高い男の人だ。
この三人、みんな赤毛なんだな。
お母さん似なんだって。
ユーリには明日、王都を発ってマイルズ共和国に向かうこと。ミレニアを連れて行くことなど話せた。
ユーリは喜んでくれたけど。
「姉さん、父さんはどうしてる?
他の人に迷惑を掛けていないといいんだけど……」
ユミエラはユーリの言葉に苦笑した。
「そうね、ひとりで生きていってくれればいいけど。
周囲の……、マリアさんとかに迷惑をかけてないといいんだけど……」
「私達が見に行ってみようか?」
私がエドガーと顔を見合わせながら言うと、ユミエラが心配そうに「大丈夫かな?」と呟く。
ん?
私達が『大丈夫か?』ってこと?
「大丈夫!
見てくるだけだもの!
何かあったら、報告する。
シドはいないから……、何か事を起こすことはできないし」
シドはゴードンとシアとライカンと一緒にギルドの方へライザとイサクをユニコーン商会の窓口にする正式な契約に行っている。
ユニコーン商会の販路としての窓口。
ライザさんに物品の管理と受注や販売をお願いすることになった。
イサクも一緒に見てくれるってことに。
ライザさんに話をしたところ、王都の隊士の夫を亡くした妻仲間で親を亡くした子どもの援助活動をしようって、活動を始めたところだったんだって。
ミレニアみたいな子の保護もできたらなんて、思っているそう。
そのための収入になれば。
最初はセーブルの細工物から始めて、このままユニコーン商会の支店を出すなんて話になったら、大きくなった子どもの仕事先にもなれるかも!
そんな話になってて。
「……見て来てもらうだけなら大丈夫か。
お願いしようかな?」
「うん、任せて!」
ユミエラとユーリは頷いて「「お願いします」」と言ってくれた。
ディーが「で、フィオナは?」と聞いてくれた。
ユミエラがユーリに「前にいた、調理のフィオナってまだいる?」と聞いた。
「いないよ。旦那さんが迎えに来た」
「え!? 迎えに!?」
ユミエラがすっごく驚いている。
まあ……、利用されてたんだろうなって思ってたから……。
迎えに来て連れて行ったというのはいいことなんだろうけど、まだフィオナを利用しようとしてるとか!? と、もやもやはする。
ノルテスは透明のグラスを買付けしたいようでその交渉をユーリの師匠と始めていた。
あー、オルガ商会もこんなの欲しがりそう……。
ユニコーン商会もパフェとかね……。
オルガ商会のレストラン用に質の良いグラスを3ダース、ユニコーン商会用に少し小ぶりで厚めのグラスを2ダース買わせてもらい収納した。
ノルテスに「私の分も!」と言われ、6ダースも預かることに!
ノルテスの方の箱には印をつけてもらった。
みんなはそこから王都のギルドへ戻る。
私とエドガーはユミエラから実家周辺の話を聞いて、食料品店のマリアさんに渡してと簡単な手紙も書いてもらった。
馬でエドガーと行ってみることに。
コステロも「俺も行きたい」と言い出して。
エドガーとディーの馬がいるから、まあ、コステロがひとりで乗れれば……。まあ普通に乗れた。
「その父親は店をやっているんだろう?
もし店を放置していたら?
店を片付ける手続きとか……、アドバイスできる」
コステロ、そう言って……。
ノルテスも「いい勉強になりそうです。連れて行って下さい」とか言うし。
えーと、ユミエラのこと……、知っちゃうかもよ?
ユミエラにこそっと確認すると、別にいいとのこと。
別にええんか!?
「逆に恵まれてるコステロに、こういうことが本当にあってと知って欲しいくらいだよ」
コステロのこと信用し過ぎでない?
うーん、でも、まあ、コステロ、一緒に旅して来て、成長は感じるんだけど。
まあ、なんとかなるかな?
私はエドガーの馬の後ろにと思ったら前に乗せられる。
「これじゃ、スピードが……」
「いいんだよ。コステロが一緒だから」
走り出してわかった、コステロ、乗馬が上手いわけじゃない。
気持ちゆっくりめに王都の外れというユミエラの実家の方を目指す。
小さな町というか村みたいな感じで、マリアさんの食料品店はすぐわかった。
馬を預かってもらいたいとお願いして、奥へ入れてもらった時にユミエラの友人だと名乗って、手紙を渡した。
「良かった!!
みんな、会えたんですね!」
「はい、ユミエラはもう結婚していて、ミレニアを引き取れます。
ユーリは工房の師匠に身元引受人になってもらえて、父親との関係は無事に切れているそうです」
「良かった……。
では、ミレニアちゃんがいなくなってからのことを、お話します」
ミレニアがいなくなって……。
馬に乗った男と逃げた、とか、そういう噂になったそう。
まあ、父親は荒れるよね。
自分はミレニアを売ろうとしてたのにね。
で、あちこち探してるふうはあったのだそう。
ギルドにも相談に行ったみたいだけど、ギルドから調査の人が来て、近所の人の話を聞いて、さらに詳しく調べられて、受付不可になったんだって。
兄は父と就職先のことでケンカして飛び出し、姉を娼館に売り……、その時9歳だったミレニアを学校以外は働かせ、給料を搾取していたこと。
最近は週払いで給料を受け取るように父親が職場にねじ込み、給料を取られてしまうことで食事の食材も満足に買えない状況だったことがわかったから。
さらにミレニアが14歳になる前から、あちこちの娼館に14歳の娘を売ったらいくらになるかと話をしに行っていたことが発覚し……。
ちょうどシアのことが発覚して、行方不明と届けつつ売られてたなんてことがあったから、怪しいと念入りに調査されたみたい。
父親はその間、まだ倉庫に残っていた在庫を売って何とか生活していたみたいなんだけど、娘が逃げたことが公になり、金を借りていた金貸しに追いかけられるようになった。
ミレニアを売るお金を当てにして、もう借金していたんだね……。
結局、倉庫と品物は差し押さえられ、店の権利も借金返済として取られてしまった。
家だけ残ってたけれど、金貸しにこんな古くて小さい家は金にならないと拒否され、この地域のお金持ちに安くてもいいと泣きついて買ってもらったけれど……。返済額には及ばず、自分の身体、つまり自分自身を売る羽目になって、どこかへ連れて行かれたということだ。
子どもを売った父親は、最後は自分自身を売って、全てを失くしたわけだ。
マリアさんの紹介で家を買った人を教えてもらった。
その人はユミエラ達のことも知っていて、家を壊して更地にする予定で、もし欲しい物があったら持って行っていいと言ってくれた。
これからユミエラ達を呼ぶのは……となり、私、エドガー、コステロ、マリアさんで何か家族の思い出の物がないか探すことにする。
もう、あまり物は残ってなくて、値打ちがつかない物、使えない物などがごちゃっとになってて。
でも、ひとつだけ、珍しい物があった、
クローゼットの引き出しの中に横に入ってたから気づかなかったよう。
厚手のファイルみたいな魔道具。
扉を開けると中の写真が光って、少し動くの。
まだお店が上手くいっていて、お母さんも生きている頃……。
経済的に余裕があって、記念に購入したんだろうな。
ミレニアらしい小さな女の子を座って抱っこするお母さん。
お母さんの両脇に小学生くらいのユミエラとユーリ。
お父さんがお母さんの後ろに立っている。
みんなでミレニアを覗き込んで笑う……。
素敵な家族写真だ。
お父さんが写ってるけどさ。
この頃のお父さんはいい思い出だろうから。
マリアさんにお礼を言って、馬でまたユーリのいる工房へ行った。
ユーリに事の顛末を伝え、魔道具の写真を見てもらう。
「ありがとうございます。
とりあえず、全部片が付いた感じですね。
母の写真……、こんな時もあったんだな。
この魔道具はぜひ、ミレニアと姉さんに。
きっと、喜ぶと思います」
ユーリの言葉にコステロが涙ぐんでいた。
読んで下さり、ありがとうございます。
ユミエラのお父さんの自滅を確認!
さーて、作品世界の中ではもう少し時間が掛かるけど、どんどん最後の復讐に向かって行きますよ!!




