114 想像できない(ミコト視点)
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どうもありがとうございます。
最後までおつき合い頂けたらうれしいです。
エリオット王子が私達を手招きした。エドガーと二人で一番低い壇に上がる。
わー! よく見える!
あ!
遠くの席にリンデウム伯爵がいた!!
一応呼ばれてたのね。
エレノアが降りてきて、私の隣に並んだ。そしてエリオット王子がエドガーの隣に。
エレノアのきれいな声が響いた。
「エドガーは全てを知り、王子であることは放棄すると!
シーザー王国に恨みはなく、これから協力したいと申し出てくれました。
エドガーの妻のミコトは、転移者でもあり、魔法塔の優秀な魔法使いです!
エドガーもミコトも転移者を魔法使いに育てるために協力を申し出てくれました。
シーザー王国は転移者について『魔法塔』と協力、提携していきます!」
私とエドガーは一歩前に出て礼をした。
礼をする時、テラスの出窓の方に動いた人影がちらりと見えた。
誰だろう?
そうか!
魔力感知してみればいいんだ!
エドワード王子の魔力は覚えてる。あのキーホルダーがあった方が確実だけど、できる。
デュカス王弟は一度聖魔法攻撃を受けたからわかるかも!?
素早く魔力感知をしてみる。
どちらとも違う。ということはカイラムかも!?
私とエドガーは頭を上げた。
魔力感知のおかげで、エドワード王子とデュカス王弟が王城内にいることがわかった。
エドワードは庭に、デュカスは大広間のそばでどこかの部屋……、予備部屋? 休憩部屋みたいなところかな。
拍手の音が小さくなってきて、やんだ。
エリオット王子が再び声を上げた。
「そして、エドガーと同じくエドワード第1王子も王家から廃嫡ということになった。
残念だが……、シーザー王国のこれからに禍根を残さぬために、国王が決めた!」
私とエドガーは壇を下りてテーブルに戻る。
ステージみたいな壇の上にはエリオット王子、エレノア王女、エラン王子が並ぶ。
王が立ち上がった。
「この三人で、シーザー王国を盛り立てていくので、よろしく頼む!」
拍手。
うん、国内の貴族の方へはうまく説明できたみたいだな。
エラン王子がにこやかに言った。
「それでは、皆で食事を!!」
その声が合図のように料理が運ばれてくる。
わあ、おいしそう!!
じゃない!
私は隣の席のエドガーにこそっと伝えた。
「テラスの窓に誰かいて、カイラムかも?
近くの部屋にデュカス、庭にエドワードがいる」
エドガーが立ち上がり、ライカンとゴードンに伝えに行ってくれる。
エリオット王子がこちらのテーブルに合流した。
あー、そういうことなのね。
アサニヤ王国の方を見たらエラン王子が行っている。
コステロがそちらを羨ましそうに見ている。
あれ? エレノアは?
「エリオット王子!
エレノアは?」
「エレノアは王妃と王と控え室に戻り、そこで食事をしつつ休む。
私とエランでマイルズとアサニヤ担当というか」
なるほど、壇上では落ち着いて食事できないもんね。
「控室?
大広間のそばに?」
エドガーが慌てて言った。
「デュカス王弟が王城に来ているらしい。
大広間のそばの部屋に。
そしてエドワードが庭にいるらしい」
「私も行くよ!
デュカス王弟は聖魔法を使うから!」
私が椅子から立ち上がろうとするとクラークが止めるように声を掛けてきた。
「ミコトは動くな!
ライカンとエドガーと一緒にいなさい!
私が行こう!」
エリオット王子とスニフと一緒に大広間から出て行くのを見送る。
大丈夫かな。
でも、確かに使節団のみんなでいた方がいいか。窓の方もカイラムかもしれないし。
「ミコト……、一緒にエラン達の方へ行かないか?
こんなにたくさんの人がいるところで……、何も起きることはないと思う」
コステロがエラン王子とラスター様……ラスタル王子の方を見て言った。
うーん。
確かにどんな状況かって……。
カイラムがいるかもしれないのにアサニヤ王国の方なんて行けないよ!
……私は狙われているとしても、コステロは関係ないっちゃ、関係ないのか?
でもさー。うーん。
「……ごめん。
私はクラークの言葉を守る。
マイルズ共和国では転移者は魔法塔に保護されてきた歴史があるから、そんなに深刻だと思ってないと思うけど。
シーザー王国では国に保護された転移者も保護されずに悪い人に囚われた転移者もいるんだけど……。
どちらも不幸になってることが多いかな。
私はシーザー王国も、アサニヤ王国も、こわい。
実はアサニヤ王国は、コタンにいる時に、隣の家の親子を人質にして、私を呼び出して連れ去ろうとした」
「え!?
コタンって、マイルズ共和国なのに!?」
「うん、その時にラスタル王子もいたよ。
国の命令で、そうしたんだとは思うけど……。
私はここではエドガーやライカンから離れないようにしないといけない。
できれば、コステロや他の人にも人質にされたりしないように動いて欲しいということもある」
コステロがぐっと悔しそうな顔をした。
私の状況が大袈裟ではなく、本当に怖がっていると、周囲の人を巻き込む可能性があることがわかったんだと思う。
「でも、ラスは、アサニヤは聖女として大切にするって」
「大切とは?
ひとりでこの世界に来て、聖なる存在だからと、友といること、恋をすること、結婚することを禁じて、家庭を作ることもできず、ただ国のために聖魔法を使うように見張られて、ひとりで過ごすこと?」
「え……?」
「今の聖女のマリナ様は家族はいない。
何もわからず困っていた時に助けてくれた家族のような人や友人はいたけれど、国に保護されてからはそういう人達とも引き離されて。
清らかでいないといけないからと人を好きになることも禁止されて、ずっと国のために民のために聖魔法を使うように国中を巡回して、尊敬されて大切にされてるって言われて。
それは本当に幸せ?
もうマリナ様はずっとひとりだけで生きていく。
それが大切にされてる?」
コステロが自分の手を見た。
「あ……、うん。
ひとりで……」
ノルテスを見て、その上に視線を彷徨わせている。
自分の家族のことを考えているのだろうか。
家族と引き離され、閉じ込められるように自由のない生活。
コステロは若いから、そして今の生活が恵まれているから、これからの長い人生のことがいまいち想像できないんだろう。
自分がノルテスの年齢になるまでをまず想像したのかもしれない。
「私はエドガーと恋人になって、夫婦になって、そして、家族になりたい。
それに大切な友人達とずっと一緒にいたい。
『聖女』として大切にされるより、ミコトとして自由に愛する人達と一緒に生きていきたい。
だから、マイルズ共和国の『魔法塔』に入った。
でも、それは私の考えでもあるよね。
だからと言って、コステロがもし、アサニヤ王国の方に捕らえられて、人質として扱われたら私は……」
「助けるために……、今の幸せを捨てなきゃならないってこと!?」
「うーん、まあ、そうなるかな。
でも、ここまで話したんだから。
もしそうなって、助けないかもしれないってなっても許してね。
私も私を守らないといけないし」
「うっ……。
わかるけど……」
「わかってくれて、ありがとう。
コステロ、国によっていろいろ違うことは多いし、国や政治や文化的にこれが正解と思われていることも、違う視点から見たら全然違うってこともある」
「ミコトは……、シーザー王国、アサニヤ王国、マイルズ共和国と全部行ったんだよね」
「うん、転移者として隠れて逃げ回りながらね。
だから、私のままいられるマイルズ共和国が私にとっては、これからの転移者にとっても救いなんだよね。
そのこと、これからの共和国の政治に関わるかもしれないコステロに知っていて欲しいな」
「うん……、わかった。
夜会が終わるまではノルテス叔父さんと一緒にいる」
「うん、お願い。コステロと私を守るためにね!」
私は微笑んだ。
コステロが「うん、ミコトを守りたいから」と言ってくれた。
読んで下さり、ありがとうございます。
急に仕事になり、午後投稿お休みにします。
インフルエンザ、連休後に落ち着いたかな体感だったのですが……。
予防に努めて、急遽な代理のお仕事頑張ってきます!




