102 似ている(ミコト視点)
どうぞよろしくお願いします。
景色が変わる。王都に入ったんだ!
王城が見えてきた!
わあ! 本当にお城だ!!
石造りの塔がお城の上に二本高くそびえ立っている。
うわー、あそこ登りたくないなー!
でも、魔法塔より……、あれ、下に大きなお城の城壁があって、その上に建ってるから、お城の部分も足せば魔法塔より高いかも!?
いや、魔法塔は一本だけ地面から直だしな。どうなんだろ!?
馬車と馬は時々、門をくぐる時に止められて、チェックを受けたりしてたけど、街を通り抜け城壁までたどり着くと、馬に乗ったシドと騎士が迎えに出てきてくれて、その案内で王城の敷地内を進んで行く。
大きなエントランスに馬車と馬は到着し、私達も降りた。
イサクと若い女性と少年とお付きっぽい人達がいた。シドが合流してる。
女性が進み出てきて、私達に声を掛けてきた。
「マイルズ共和国使節団の皆様!
遠路遥々シーザー王国の王都までお越し頂き、ありがとうございます。
私はシーザー王国第1王女エレノアと申します。
使節団の皆様をご案内させて頂きます」
すごっ!
王女様が出迎えてくれちゃったけど!?
エレノア王女はぐるっと使節団を微笑みで見回したけれど、エドガーを見ると驚いた表情を浮かべ、イサクを見た。
イサクが頷いている。
うん?
クルト=エドガーの確認!?
「こちらへどうぞ!」
私達はエレノア王女の後をついて歩き出した。
少年が私の所に来た。
「君が転移者のミコト?
魔法塔の魔法使いの?」
エドガーが私の肩を守るみたいに抱いた。
牽制?
「あ……、え?
君は……、マイルズ共和国出身なの?」
エドガーに話し掛けて……。私とエドガーは困った。
誰だよ?
エレノア王女が来てくれた。
あ、先頭をイサクとシドに任せたのね。
「ごめんなさい!
エランを紹介してなかったわ。
第3王子のエランです。
いつもは学校の寮にいて王城にいないのだけれど、今、学校が休暇中で……」
「エレノア!
この人、見て!
父王にそっくりだ!
隠し子じゃないの!?」
エラン王子の言葉にエレノア王女が困った顔で私達を見た。
「エラン!
失礼なことは言わないの!」
うーん、隠し子……、あたらずといえども遠からず……。
コステロがエラン王子に興味を持ったようで「エラン王子ですか?」と話し掛けて、なんだかふたりでおしゃべりを始めながらずんずん前の方に歩いて行ってしまった。
ま、助かったかな。
二人は同い年ぐらいだと思うし、コステロもうれしかったのかも。
いくつかの大きな扉を通り、中庭の回廊のようなところを歩き……、広間に案内された。
ここがいわゆる謁見の間って感じかな?
奥に壇があってその上に豪華な椅子がふたつ置かれている。
私達はその壇の下に並ぶと礼の姿勢を取った。
足音と衣擦れの音。
「楽にしてくれ!」
明るい声が正面から降ってくる。
顔を上げると、椅子に王と王妃が座っていた。
王は金髪で……、髪型は違うけれど、確かによく見るとエドガーと顔が似ている。
隣の王妃はきれいだけど、目力があるからちょっときつそうに見える。
そして、あの上裸坊ちゃんもいた。
ノルテスが代表で挨拶してくれて、ドージュからの親書を手渡し……といっても、二人の侍従の手を経て王の所へ届いたけど。
王妃の椅子の隣に経っている人、ちょっとシドに似ているかも!?
王妃の兄の大臣っていう人?
早くシドにユミエラの妹のこと、聞きたいなぁ。
王は親書に目を通し、私達を確認するかのようにさーっと眺めていった。
私とエドガーの所でちょっと止まった気がしたけれど、一応最後のユミエラまで目を走らせてた。
「マイルズ共和国使節団を歓迎する。
使節団が訪れるのは3年振りだな。
ゆっくりと今のシーザー王国の様子を見ていってくれ!
王女と王子を紹介しよう。
第2王子エリオット!
第3王子エラン!
第1王女エレノア!
そして、この場にはいないが、第1王子エドワードが自室にいる。
歳が近い者も多いようだ。ぜひ親交を深めてやってくれ」
私達は広間から出ると客間のような場所に通され、お茶を頂くことに。
エレノア王女、エリオット王子、エラン王子がもてなしてくれてる……。
待遇、合ってる!?
ざっくりとこれからの予定を聞く。
明日の夜、夕食を兼ねた夜会が開かれ、そこで使節団の歓迎をしてくれるってことらしい。
シーザー王国の貴族達、まあ王家が招待した貴族が来るとか。
それにアサニヤ王国の使節……、こっちは定期的な団ではなく、王族の方が来ていると言われた。
エレノア王女との婚姻の件だろうか。カイラムとかじゃないよな!?
そこらへんが招待されてるそう。
リンデウム伯爵は!?
まあ、後でシドに聞こう。
私達に王城に泊まる様に言われるがノルテスが断った。
「私達はギルドの方へ参ります。
いつもそうしておりますし」
そう、シーザー王国への使節団でもあるけれど、マイルズ共和国としては実は王家よりギルドの方が親しく連携していたりする。
シーザー王国は冒険者ギルドと商人ギルドと分かれている。
マイルズ共和国は大きくギルドがあり、冒険者も商人も一緒の窓口って感じ。
商人はギルドの他に同業種や提携している商会が集まって組合とかも作っているし、商人や商会が確かにかなり力を持っている。
ギルド代表がゴードンとクラーク。
議会と商人代表がノルテスと議員二人(どちらも商会長)とユニコーン商会長のシア。
魔法塔がクラーク(兼任)とエドガーと私とライカンとザイマ。
ユミエラとディーとコステロがお付きというか家族枠、だ。
アサニヤ王国の王族が滞在しているなら、ギルドの宿舎の方が安全な気がする。
エランがコステロに言った。
「コスは王城に泊まれよ!
アサニヤ王国の王子も俺と同じくらいの奴がいてさ!
友達になったんだ!
紹介してやるし、夜の王城探検も面白いぞ!」
あら、もう愛称で呼び合う仲に!
ん、同じくらいのアサニヤ王国の王子?
ラスター様、とか?
「あ、うん……」
コステロが叔父であるノルテスを懇願するような表情で見た。
そりゃ、ギルドの宿舎におじさん達とお泊りするより、王城に王子達とって方が魅力的だよね。
「ミコトもどう?」
エラン王子に微笑まれたけど、私はすぐに首を振る。
「私はギルドの方に参ります」
コステロが非難がましい目で私を見た。
こっちはアサニヤ王国に狙われてるかもしれないんじゃ! ぼけ!!
エレノア王女が言った。
「わかりました。
よければコステロ様だけでもエランのお友達ということでお預かりさせて頂けたらうれしいですわ」
それと……、第1王子エドワードにも!
エドワードはその……」
言いかけて詰まってしまうエレノア王女。
「エドワードは人前に出るのが苦手でね。
魔法使いには会ってみたいと思うかもね。
『魔法塔』の魔法使いだけ来てもらうのはどうだろう」
今まで黙っていたエリオット第2王子が言った。
シドの片眉がぴりっと少し動いた気がした。
魔法使いとなると……、エドガーと私とクラークとザイマだよね。
「私とエドガーとミコトとザイマ、ですね」
クラークが言ってくれてエリオット王子がちょっと驚いてた。
クラークやザイマを人数に入れてなかったんかい!?
まあ、クラークとザイマが一緒なら。
それにエドガーは双子のエドワード王子に会うのも目的のひとつだったしね。
エレノア王女が「イサクも一緒に!」と言ってくれた。
いい人だ!
イサクもそれを受けて発言する。
「はい!
シドも一緒でよろしいでしょうか?
シドは視察で魔法塔の皆様と知り合いです」
読んで下さり、ありがとうございます。




