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閑話 千草の愛情日記 第三話 愛し方を知らない:結婚式の日

私は、人を愛した記憶がない


たぶん、母を愛していたと思うが

それを、覚えてはいない


父を愛していたのではないかと

問われるかもしれないが

愛していたと答えられる自信がない


父との間は

親子というより師弟であったように思う


その後のことは、

前に書いたような中で

愛する相手など見つかりはしなかった


私はすでに心が動かぬ「もの」となっていた

いや、父と過ごした間も、そうだったかもしれない


心が動かない「もの」が、愛することなどできはしないだろう


だから、私は一生このままだと思う


それは、ある意味楽な生き方ではないか

そう思う心の片隅に

小さく拒否する部分が残ってはいる


だが、それもやがて消え去るのではないか

そうなるとしても、それが私なのだろう



旦那様となる方を初めて見た

やはり、心は動かない


見合い結婚

政略結婚

それらは、ここからスタートするという


だが、私にとっては

始まりであり終わり


せめて、旦那様となる、この方には

気取られないように仮面をかぶろう

決して剥がれない仮面を


旦那様となるこの方のために

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