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第56話「二十一歳の父親候補――仕事と新居探し、どちらも手を抜きたくない」


第56話です。


今回は、銀行員としての創と、父親になるかもしれない創。


その二つの顔を描きます。


昼間は東央精密製作所の設備投資案件に向き合い、桐生や相沢から厳しい指導を受ける創。


昼休みには黒瀬・琴葉と食事をしているところへ、水城が声をかけてきます。


もちろん、頭取との関係は誰にも悟られないように。


そして夜。


創と璟瑶は新居の条件をさらに具体化。


三〜四階建て。


5LDK以上。


子ども部屋二室。


広い浴室。


防音。


書斎。


そして、読書やカラオケ、カードゲーム、花札を楽しめる創の趣味部屋まで。


少しずつ、“二人で暮らす家”が形になっていきます。



 日本、東京。


 青嶺中央銀行本店。


 午前七時四十一分。


「おはようございます」


 宮嶋創、二十一歳。


 今日も法人営業第一部へ、いつもどおり出勤する。


 昨日、黒瀬颯真と水無瀬琴葉に初めて明かした。


『恋人がいる』


 伝えたのは、それだけ。


 名前も年齢も職業も国籍も秘密。


 相手が青嶺中央銀行頭取、欧陽璟瑶であることなど、絶対に言えない。


 日本でも妊娠反応が陽性だったことは、なおさらだった。


「宮嶋」


「はい」


 指導担当の相沢拓也が声をかける。


「東央精密、十時から東条社長とオンライン面談。榎本さんと桐生さんも途中から入る」


「分かりました」


「昨日まとめた確認事項、もう一度見直して」


「はい」


 創は席に着き、資料を開いた。


 東央精密製作所。


 従業員八十六名、売上約二十四億円。導入予定設備は約一億八百万円で、借入希望額は一億円。


 当初は単純な設備更新案件に見えた。


 だが今は違う。


 老朽化、修繕費、品質、納期、取引先からの信用、若手採用、新設備への習熟。


 すべてがつながっている。


 三年前に七百八十万円だった修繕費は、前年には千二百四十万円。今年も途中ですでに八百万円を超えている。


 ただし、そのすべてが更新予定設備によるものとは限らない。


 創は確認項目を追記した。


『設備別修繕費の内訳』


『故障による生産停止時間』


『不良率の推移』


『新設備導入後の教育期間』


『更新しない場合の主要取引先への影響』


 そして最後に、もう一つ。


『東条社長が最も守りたいもの』


 数字だけでは見えない核心が、そこにある気がした。


◇◇◇


 午前八時三十分。


 朝のミーティングで、チームリーダーの桐生雅人が創を見る。


「中国から帰って、設備投資の見方は変わった?」


「少し変わったと思います。設備だけではなく、人や資金、教育、取引先へどんな影響が出るか考えるようになりました」


「言うだけなら誰でもできる」


「はい」


「今日の面談で、その視点を本当に使えるか見る」


「分かりました」


 厳しい。


 だが、それはいつもの桐生だった。


 面談前、相沢が確認する。


「『東条社長が最も守りたいもの』って、そのまま聞く?」


「いいえ。設備更新を検討する中で、今後も維持したいものと、改善したいものを伺います」


「それならいい。ただし、答えを誘導するなよ。銀行が設備を入れた方がいいと思い始めると、質問までそっちへ寄る」


「はい」


 創の胸に、その言葉が残った。


 妊娠反応が陽性だからといって、未来まで決めつけることはできない。


 仕事も私生活も同じだ。


 焦らず、一つずつ確かめる。


◇◇◇


 午前十時。


 オンライン面談が始まった。


 東央精密側は、東条信之社長、総務経理部長の小田切昌弘、製造部長の西沢隆平。


 青嶺側は相沢、創、榎本和也。桐生も途中から参加する。


「今回の設備更新について、今日は資金面だけでなく、現在の設備運用や今後の事業方針も含めて確認させてください」


 相沢の説明に、東条が頷いた。


 創は資料を見ながら質問する。


「過去三年間、修繕費が増えています。このうち、今回の更新対象設備に関係するものはどの程度でしょうか」


 小田切が答える。


「正確な分類は今日持っていませんが、おおよそ半分近いです」


「今年すでに八百万円を超えていますから、三百五十万から四百万円程度という認識ですか」


「そのくらいです」


「故障による完全停止は、直近一年で何回ありましたか」


 今度は西沢が答えた。


「四回です。短時間の停止を含めれば十回近く、累計で約五十四時間です」


「納期への影響は?」


「主要取引先に、一度だけ一日延ばしてもらいました」


 東条が補足する。


「表向きは問題ありませんでした。ただ、続けばまずいと思っています」


 創は一呼吸置いた。


「東条社長。今回の設備更新で、今後も特に守りたいものと、逆に変えたいものは何でしょうか」


 東条は少し考えたあと、静かに答えた。


「守りたいのは取引先からの信用です。うちは大企業じゃない。一度失えば、取り戻すのは大変ですから」


 そこで言葉を切り、続ける。


「それから社員ですね。古い設備は若い社員に使いづらい。その状況は変えたいと思っています」


 創と相沢の視線が重なった。


 昨日まで仮説だったものを、初めて本人の言葉で確認できた。


「ありがとうございます。更新しない場合に信用と社員へどんな影響があるのか。一方、更新した場合の借入負担や生産停止、教育コストはどの程度か。両方を整理して次回お持ちします」


「お願いします」


 五十分後、面談は終了した。


 桐生が創を見る。


「今日、自分で何点?」


「七十点です。聞きたいことは大半聞けました。ただ、回答をもう少し掘り下げられたと思います」


「六十五点くらいだな」


「下がった……」


 榎本が笑う。


「質問の準備はできてた。でも資料を見る回数が多い。相手が話している時は、もっと顔を見ろ」


「はい」


「それと、『信用』と『社員』が出た後、もう一段聞けた。社員は若手だけか。新設備でベテランの負担はどうなるか。信用とは主要取引先だけなのか。言葉一つを掘る癖をつけろ」


「分かりました」


 相沢が横から付け加える。


「前より良くなってるよ。七十点じゃなくて六十五点だけど」


「そこ、強調しなくていいです」


 会議室に小さな笑いが起きた。


「まだ二十一歳だから、伸びるよ」


 榎本の言葉に、創は頭を下げる。


「ありがとうございます」


 二十一歳。


 銀行では、まだ指導を受ける若手行員。


 けれど私生活では、父親になるかもしれない。


 仕事にも、家族にも手を抜きたくない。


 その両方に向き合うと、創は決めていた。


◇◇◇


 正午過ぎ。


 社員食堂。


「宮嶋、恋人告白二日目」


「何、その数え方」


 黒瀬はまだ昨日の告白を引きずっていた。


「だって、前職時代から恋人がいたんだぞ」


「普通でしょ」


「宮嶋には普通じゃない」


「失礼!」


 琴葉が呆れたように笑う。


 三人はそれぞれ昼食を選び、窓側の席に座った。


 しばらくして、黒瀬が尋ねる。


「恋人、料理上手い?」


「どうしてそこを聞くの?」


「昨日、夕飯を誰かに作ってもらうのか聞いたら止まった」


「私もちょっと気になった」


 琴葉まで加わる。


 創は諦めて答えた。


「作ってもらうこともあるし、俺が作ることもある」


「家を行き来してる?」


「それ以上聞くな」


「やっぱり!」


「声が大きい!」


 その時、背後から呼びかけられた。


「宮嶋さん」


 振り返ると、トレーを持った水城絢乃が立っていた。


「水城さん。お疲れさまです」


「中国出張に関して、一点だけ確認してもよろしいですか」


 同行した第二秘書が若手行員へ確認をする。それ自体は不自然ではない。


 創は水城とともに、人の少ない食堂の端へ移動した。


「頭取は今日、一人で頭取室にて昼食を取られています」


 水城は声を落とす。


「午前中、少し疲れが見えました。ただ、昨日より食事は取れています。おにぎりと卵焼き、味噌汁を少量ですが」


「ありがとうございます」


「頭取の体調について、私が追加で把握すべきことはありますか」


 妊娠という言葉は使わない。


 それでも、問いの意味は伝わった。


「今は、頭取本人から話せる範囲だけで大丈夫です。俺から勝手に伝えることではないと思います」


「分かりました。ただし、無理をされていたら止めます」


「お願いします」


「宮嶋さんも、勤務中に私的な連絡をしないように」


「それは一番気をつけています」


 水城はわずかに微笑んだ。


「昨日、頭取は会議を一件減らすことを受け入れました」


「聞きました。珍しいですよね」


「はい。非常に」


 二人は短く笑い、すぐに仕事の表情へ戻った。


 席に戻った創へ、黒瀬が尋ねる。


「何だった?」


「中国出張の確認」


「水城さん、同行してたもんな」


 それ以上、二人は疑わなかった。


 創は黙って食事を続ける。


 四十二階では、璟瑶が一人で昼食を取っている。


 気にはなる。


 けれど連絡はしない。


 今は勤務中だから。


 同じ頃、頭取室でも璟瑶は個人用のスマートフォンを机の引き出しへ入れていた。


「創も今は仕事中」


 小さく呟き、おにぎりを一口食べる。


 同じ銀行にいても、今は別々の仕事をする。


 二人が守ると決めた線だった。


◇◇◇


 午後。


 創は午前の面談内容を議事録へまとめた。


『本人発言:取引先からの信用と社員を守りたい』


『当行見立て:設備更新が納期安定や採用定着に寄与する可能性あり。要追加確認』


 相沢が画面を確認する。


「本人の発言と銀行側の見立てを分けたのはいい。推測と事実を混ぜない。基本だから忘れないで」


「はい」


 午後四時の案件レビューでは、返済期間、金利条件、設備の耐用年数まで確認した。


 まだ不足はある。


 それでも次に何を確認すべきかは、明確になった。


 レビューの最後、桐生が不意に尋ねる。


「宮嶋。私生活、何か忙しい?」


 創の心臓が一瞬跳ねた。


「どうしてですか?」


「最近、前より定時を意識してる。でも仕事が雑になったわけじゃない。むしろ逆だから、何かあるのかと思って」


 創は少し考えてから答えた。


「あります。ただ、私生活なので詳しくは言えません。仕事は崩さないようにしたいです」


「それでいい。無理に話さなくていい。ただ、業務に影響が出るなら早めに相談して」


「はい」


 相沢も続ける。


「仕事をきちんとすることと、私生活を全部後回しにすることは違う。必要なら普通に休暇や早退を使え。制度があるんだから」


「ありがとうございます」


 事情を知らなくても、支えてくれる上司と仕組みがある。


 それが創にはありがたかった。


◇◇◇


 午後六時十三分。


 創は必要な作業に区切りをつけ、ほぼ定時で退勤した。


 スマートフォンには璟瑶からメッセージが届いている。


『創、今日は何時?』


『今終わった』


『私も終わった。家で会う?』


『うん』


『今日は家の条件をちゃんと決めましょう』


『了解』


『お風呂は絶対に大きいもの』


『まだ言ってる』


『最重要条件です』


『どうして?』


『二人で入れるから』


『仕事が終わった直後に送る内容?』


『終わったからいいでしょう?』


 創の顔が少し赤くなる。


「本当に四十五歳……?」


◇◇◇


 午後七時五分。


「ただいま」


「おかえり」


 璟瑶は先に創の部屋へ来て、タブレットで住宅情報を見ていた。


 二人は匂いの強くない雑炊と温野菜、豆腐で簡単に夕食を済ませる。


「今日は食べられそう?」


「昨日よりかなりいい。眠気はまだあるけど」


「無理しない範囲で、家の話をしよう」


「うん」


 テーブルに、前回作った条件表を広げた。


 一軒家、広いLDK、書斎、子ども部屋、広い浴室、庭、駐車場、防犯性。


 本店まで三十分から四十分程度で、青嶺の行員に気づかれにくい地域。


「階数は?」


 創が尋ねる。


「三階建て。条件が良ければ四階建ても」


「四階だと階段が大変じゃない? もし本当に妊娠してるなら、なおさら」


「じゃあ、ホームエレベーター」


「一気に豪邸っぽくなった」


「子どもを抱いて何度も階段を上り下りするよりいいでしょう?」


「確かに」


 創は条件を追記する。


『三階建て中心。四階建ても検討』


『三階以上ならホームエレベーター』


「それから、子ども部屋は二つ欲しい」


「二つ?」


「前に、もし叶うなら子どもは一人、できれば二人って話したでしょう」


 璟瑶が目を見開く。


「覚えてたの?」


「覚えてる。でも二人を前提にするわけじゃない。一室は遊び部屋や客間にもできる。最初から二部屋あれば、使い方を変えられるから」


 璟瑶は柔らかく笑った。


「それ、いいね」


『将来の子ども部屋 二室』


 二人はまだ知らない。


 その二室が、考えているより早く必要になる可能性を。


 璟瑶の身体の中には、すでに二つの小さな命が育ち始めている。


「LDKは二十五畳くらい?」


「二十五から三十畳。両親が来ても八人くらい座れるダイニングが欲しい」


「両家が同時に来たら、すごいことになりそう」


「崇岳と和久さん、絶対に銀行の話を始めるね」


「怖い……」


 二人は顔を見合わせて笑った。


 キッチンは二人で並べる広さ。


 浴室は一・五坪から一・七五坪程度で、ワイド浴槽。


 そして、二人分の書斎。


「俺は資格の勉強ができる机だけでもいいよ」


「駄目。私だけ立派な書斎があって、創がリビングの端で勉強する方がおかしい」


「でも部屋数が増える」


「創の家でもあるんだから、必要な場所は作る」


 そこで璟瑶が尋ねた。


「創は、家で何をしたい?」


「読書。それから、カードゲームと花札」


「花札?」


「こいこい、結構好き」


「急に二十一歳から七十歳くらいになった」


「失礼!」


 笑いながら、創はさらに告白する。


「あと、カラオケも好き」


「初めて聞いた」


「防音の趣味部屋があれば、本棚とゲーム用のテーブルを置いて、簡単なカラオケもできる」


「いいじゃない。一部屋、創の趣味室にしましょう」


「本当に?」


「家族になるからって、創が創じゃなくなる必要はないでしょう。父親になるかもしれない。でも、読書もカラオケも花札も好き。それも全部、創だから」


 創はしばらく黙った。


「嬉しい」


「どうして?」


「新居のことを考える時、璟瑶や赤ちゃんのことばかりで、自分の趣味はなくてもいいと思ってた」


「駄目。残すの。それに、子どもが大きくなったら一緒に遊べるかもしれない」


 創の頭に、小さな子どもと花札を囲む光景が浮かぶ。


「それ、いいな」


「でしょう?」


 ノートに新しい条件が増えた。


『防音趣味室』


『本棚、カードゲーム・花札用テーブル』


『簡易カラオケ設備』


 防犯については、道路から室内が見えにくい設計、植栽、防犯カメラ、センサー、ホームセキュリティを希望した。


「頭取の家だと知られるのも困るけど、創が一緒に住んでると知られる方が、今はもっと困る」


「青嶺の行員が多い地域は避けよう。通勤は四十五分まで広げてもいい」


「私も毎日、自宅前まで秘書車に来てもらうのは避けたい。必要な日は駅近くの別の場所から乗る方法を考える」


「水城さんに話したら、俺たちより先まで全部考えそう」


「秘書だからね」


 さらに駐車場は二台、理想は来客用を含めて三台。


 小さくても子どもが遊べる庭。


 部屋同士の防音性も高くする。


 希望を並べた結果、必要なのは5LDKでは足りなくなった。


「主寝室、子ども部屋二つ、璟瑶の書斎、俺の書斎。これで五部屋。趣味室が入らない」


「5LDK+Sか、6LDKまで見ましょう」


「三、四階建てで6LDK。ホームエレベーター、防音室、庭、駐車場……本当に豪邸になってきた」


「嫌?」


「嫌じゃない。でも値段が怖い」


「費用は次に考えましょう」


 創は真剣な顔になる。


「俺もちゃんと出す」


「分かってる。でも完全折半にはしない。貯蓄を全部出したり、無理な住宅ローンを組んだりするのは禁止」


「自分の家だって言えるくらいは負担したい」


「なら二人で無理のない金額を計算する。共有名義にするなら、出資比率や税務、登記も専門家に確認しましょう」


「頭取でも、そこは専門家に頼るんだ」


「頭取だから何でも知ってるわけじゃない。それぞれ専門があるの」


「分からないことを、分からないままにしない」


「和久さんの言葉ね」


「うん」


 検索していると、一軒の物件が目に留まった。


 三階建て、6LDK。


 駅まで徒歩十二分、本店まで電車で三十五分。


 LDKは二十八畳で、防音室もある。


「かなり条件に近い」


 創が言うと、璟瑶は最初に浴室の写真を開いた。


「一・六坪。合格」


「やっぱり最初にそこを見るんだ」


「重要だから」


「防音室もある。カラオケできそう」


「花札は防音じゃなくてもできるけどね」


「札を出す音は、そんなに大きくないから」


「そこ、真面目に答えなくていい」


 二人はまた笑った。


 やがて、創が尋ねる。


「新居、楽しみ?」


「楽しみ。でも少し怖い」


「どうして?」


「本当に人生が変わってるから。少し前まで、頭取室で一人で働いて、一人で帰るのが普通だった。今は創がいて、もしかしたら赤ちゃんがいて、二人で家を探してる」


「嫌?」


「全然。すごく嬉しい」


 創は璟瑶の手を握った。


「俺も、二十一歳でこんな家を探すなんて思ってなかった。父親になるかもしれないなんて、もっと想像してなかった」


「怖い?」


「怖い。でも逃げたくない。仕事も、家も、璟瑶も、赤ちゃんも、全部ちゃんと向き合いたい」


「全部を一人で背負わないで」


「分かってる。二人でやる」


「うん」


 二人はまだ、赤ちゃんを一人だと思っている。


 けれど璟瑶の中で育ち始めている命は、一つではない。


 未来に男の子と女の子になる、二つの命。


 偶然決めた二つの子ども部屋は、想像より早く必要になるかもしれない。


 創が希望した趣味室の大きなテーブルも、いつか囲むのは二人でも三人でもなく、四人になる。


 創、二十一歳。


 銀行では指導を受けながら成長する若手行員。


 仕事が終われば、父親になるかもしれない一人の男性。


 どちらにも手を抜かない。


 けれど、どちらも一人では抱え込まない。


 その方法を、創は少しずつ学び始めていた。


 そして二人が探している家も、もう単なる物件ではない。


 創と璟瑶。


 そして、まだ誰にも見えていない二つの小さな命。


 いつか四人で暮らす未来を迎えるための、最初の居場所になろうとしていた。



最後までお読みいただき、ありがとうございました。


今回は、仕事と私生活の両方に向き合う創の一日でした。


東央精密製作所の案件では、ただ数字を見るだけではなく、社長が何を守りたいのかまで考えるようになった創。


一方で夜には、璟瑶と新居についてかなり具体的に話し合いました。


三〜四階建て。


広いLDK。


子ども部屋二室。


大きな浴室。


防音性。


そして創の趣味を楽しめる専用スペース。


「父親になるかもしれないから」と、自分の好きなことを全部捨てる必要はない。


璟瑶のその言葉で、創も少し肩の力を抜くことができました。


まだ二人は、子どもは一人かもしれないと思っています。


それでも偶然、子ども部屋は二室。


その理由を知る日は、もう少し先です。


次回、第57話。


ついに水城へ、もう一つの大切な秘密を伝えることになります。


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