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第九十四節 刀貸

前回のあらすじ

持つことが出来た能力に俺の頭はついていっていなかった。

止めてくれたのは、「下剋幻」という特化型能力を使える夜東先輩。

俺を止めながら、≪序決二位≫と御園生真智が連れてきた少女達の相手が勝倉達に出来るだろうか。




「お前、誰だよ⁉」



「私のことは良いです! 早く生徒会長を助けてあげてください!」



「お、おう分かった‼」



 どうやら、夜東先輩が俺を止めてくれるようだ。あれ、止めてくれる? 俺は、いったい? 


 不味いな、どうやら夢ごごちでいたらしい。さっきの攻撃で意識を少し取り戻すことが出来たのだろう。



(俺が混乱させている。くそ! せめてコイツを内側から!)



 ガクンと神のようになった俺の力が弱まった。刀も一つに戻りシュルシュルと炎の勢いが弱まっている。



「開閉してくれ! 門白チョウ(もんしろちょう弔)‼」



 明白を司る門が出てきた、正しい、裏表のない入口。



 空間をこじ開けて現れ、左は黒、右は白の大仰な門がギュルギュルギュルと開いていく。



 操られていると濃姫が言っていた峰空の生徒を吸い込み始めた、正しい形に戻すのだろう。



『キャアアアアアアアアア‼」



 吸い込まれていく峰空の生徒。門をくぐった途端ばたりと倒れる。獣は灰になった。



「……」



 それを黙って見つめている真智。どうしてそんな顔をするのか、考えてしまう。



「そう、よ。そうよ?」



「分かっているぜ。お前達の仲間は吸い込まないでくれってことだろ?」



「嫌い、嫌い嫌い」



「ごめん、ちょっと俺も操作で手いっぱいでさ、少し手伝ってくれないか?」



「と言って丸」



 六人が動き出す。身体能力が、凄まじい! 人間にできる動きじゃない。彼女達は一人、また一人と気絶させていく。



 勝倉もうまい具合に門白チョウを操っている。憑依したと思われる少女達の獣だけ門白チョウで吸い取っていた。



「私の仲間達が敵の手に落ちている。なんてこと!」



「ありがとうございます! 夜東さん!」



 姉貴が夜東先輩に感謝を言う。でも、夜東先輩はかなり切羽詰まった戦いをしている、反応できない。



「ええ? 俺が助けたことになってない? どうしてだぁ!」



「転校生も、よく頑張った、かも?」



 ちめたい! 勝倉のライフはどんどんなくなっていきそうだな。



 姉貴が勝倉の近くに寄ってくる、背中合わせになった。



「それで、どのぐらいかかりそうですか?」



「……、ちょっと心を囚われている副会長の相手は無理です。生徒会長も、もう限界でしょう?」



「限界ではありません。私は後詰め。何か起こった時のストッパーが必要でしょう?」



 姉貴は最悪の可能性のため、もう序決二位の相手が出来ないようだ。勝倉も大勢の生徒を操っている獣の相手で精いっぱい。



 なら、俺がすることは。



「グガアアアアアアアアアアアアアアア! ……、夜、東先、輩」



 俺の体を操っている何かが頭を振って俺の意思をはねのけようとする、夜東先輩は俺にダメージを与えられなくて焦っていたが、俺の様子に気づきその手を止めた。



「なんですか⁉ 早く元に戻ってください! そして私と、ちゃんと戦ってください‼」



「薄、緑……生き方を問う刀。グアアアアアアアアアアアアアアア!」



 ヤバい、伝えたせいで抵抗力が! 今までとは比べ物にならない攻撃が、来る!



「……、薄緑。私が剣神様に渡したときに粉々になって、は!」



 お前が見つけろ。薄緑の試練の答えを!



「それは、私の試練でもあった?」



 俺の体は腕を後ろに引き実休光忠で夜東先輩に狙いを定める。直線状にあるもの全てを破壊するつもりだ!



 そんな中飛んで俺の体を触る夜東先輩。



「プリンセス様は剣神様が目標だった。そう、それが私の目標。いえ、私達の、目標!」



 俺は、目印だった?


 そういえば、『おめえを中心として、古い刀の力が漏れ出しているぜ?』って言われたことがあったな。


 俺の体にある、か。はは、結局俺は利用されていたのか。だよなあ。だって惹かれあっていたんだから。お前達は。


 そのうち、俺には何もなくなるんだろう。少し寂しく、思った。



『お願い、答えて。心――切り‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼」



 俺の体から、一つの刀が出てきた。そしてそれは変化する。



 そして俺、神というのは、完全なものなのだろう。それはつまり、



 少しでも自分の構成しているものが減ったり増えたりしたら形を保っていられないのだ。



 わざわざ三次元に、俺を操っている何かは体を表現したんだ。



 九次元の力を三次元に定着させたのが、運の尽きだったな。



 俺の刀だ。だから、主君として、兄弟として頼朝に力を貸したい。兄弟愛などを糧に力を増すものだとわかった。



 太刀の模造刀。決して主君と同じものを持つことがないように。



 名前は――刀貸とうたい



 ふっと、元に力を失った俺は、ゆらゆらと落ちながら姉貴に受け止められた。



「じょーくん!」



「ごめん、姉貴」



「喋らないで、大丈夫だから、ね」



「剣神の暴走はもう止めました、副会長! あとはあなたが反省する番です!」

 


 それと同時だった、今度は空中にとどまっている夜東先輩が≪序決二位≫、【実質操作】に腕を後ろに引き、刀貸で狙いを定める。



 シャラン、シャ。刀が一直線に投げられる、白い光をユラユラさせながら。



「あ、キャアアアアアアアアア!」



 キャラン‼



 防がれて、いる?



「お、前は!」




 三人、立っていた。二人は知らない、でもそのうちの一人は知っていた。



 親友だった。



申し訳ございません‼ 

この後二話目投稿します‼

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