第九十五節 圧切長谷部
前回のあらすじ
到着した夜東先輩、
俺は必至に内側で抵抗していた。
探していた、答えを
「大丈夫、マイハニー? いいデータは、とれたかな?」
「≪武決一位≫様!」
次に親友ではない、そのうちの一人、自分に酔っている、キザな白衣を着ているやつが声を出す。
≪武決一位≫と呼ぶ≪序決二位≫は、安心したのか少し潤んだ顔をしている。
「すげえ。はは、すげえよ。俺の作った人形をこうもあっさり止めるとはな。さすがに一番力を入れていた施設を襲われたのはまずかったか?」
『……』
ブルブルと震えて勝倉に隠れるロリっ子六人。それを見て、彼は舌なめずり。
「お前か。この子たちを、人間扱いしなかったのは!」
「人間扱い、ねえ。残念ながらそいつらは人間じゃないよ。きゃはは、そうだな。人間として生まれていないっていった方が正しいだろう」
「どういう意味だ!」
勝倉は手が白くなるほど明白刀を握りしめる。その刀自身である濃姫は、落ち着いてとシグナルを送る、しかし気付いていないようだった。
「きゃは! 教えてやろうか? そいつらは俺と今いるこの国が合同で開発した、女性の卵子を精子に変え、女性の卵子とくっつけて一人の人間を作った、存在自体がタブーの改造人間だよ‼」
「な、嘘、だ」
想像の枠を超えていた答えに、勝倉は信じられず、思考が止まってしまったみたいだ。
「人間を作ったら人間扱いしないといけない、それはそうだ! でも、科学で作られた、女性と女性の子供に人権なんてない。そいつらは生まれてくることさえなかった、でも、俺という神のおかげで『入れ物』という目的で生まれることが出来たんだ! きっとそいつらは俺に死んでもいいくらい感謝しているだろうぜ! まあ、死ぬんだけど、よ!」
ショテルが周りを囲んだ! その中心にいる三人に『方円』を浴びせようとするが、守るように黒いマントで体を覆っていた俺の親友だと思われる人間が、刀で簡単に周りのショテルを吹き飛ばす。
「ちぃ! やっぱり殺す勢いでやったほうが良かったわ!」
「世、良。どうしてここに?」
ふらふらになりながらも、立って俺は世良に話しかける。
この場に飛び込んできて背を向ける、世良はこれ以上後ろに攻撃は通さないと手を横に突き出して俺達を守る構えだ。
「先輩、『一桁』様達がプライベートビーチに行かず、超能力でホテルに帰ろうとしていたのを見たの。だから訳を聞いたら、≪序決二位≫様に姉様を倒す協力を頼まれたって!」
「クソどもが、喋るなと言っておいたのに。御園生! 彼女達を潰してきなさい!」
「分かりました。少し、『白のグループ』を借りていきますね」
「物分かりがいいねえぇ。お前は、協力するしかないものなあ!」
自分語りをしたくてたまらないようだ。そんな余裕はないはず。今の俺達の戦力は最高に近い、なにせ刀を自分の物にした勝倉と夜東先輩、二人がいる。世良も姉貴もいる!
俺というお荷物を除いても、くそ。
今は喋らせた方がいい、その方が政府に具体的に話せる。
「なにせ、そいつらの魂を食らっているのは、お前が散々因果律を捻じ曲げた末に生まれた『因果獣』。殺せばそれは、変えた世界が元に戻るというとになる、きゃは!」
それは、今の世の中をほとんど過去に戻す、超能力というものの衰退を指していた。
真智、もしかしてそれでお前は……。
彼女を引き留めようと歩き出す、スッと俺の目の前に立ちはだかる影があった。
「え? もしかして、るうくん?」
「るうくんって」「あ、あの交通事故で死んだって!」
世良、姉貴、勝倉が近くではっきり見たことで気づいた。突然の知り合いにびっくりして攻撃を躊躇してしまう。
「皆さん避けて!」
だが、夜東先輩は攻撃態勢に入っていた!
バティイイインン!
「また、防がれたの! なんで!」
「オレの、【武将統一】の力だ。そして、それは唯一【武将刀召喚】に反抗できる力でもある」
「ぐぁあああああああああああ!」
頭を触った、それは主導権を奪うものであり、
俺自身のまわりにはギザギザに割れた空間が無数に生まれる、そこから悲鳴を上げるかのように刀が飛び出した。
刀を‼ それは弱っているチャンスを最大限利用した、狙いすましていた強奪だった。
俺は走馬灯を見ていた、心が空間を超えてどこか知らない、でも触れたことがある場所に立っていて。
ここは、異空間、刀達がその力を封印されている場所。
津田遠江長光 鉋切長光 大般若長光 長篠一文字 岡田切 不動国行 鶴丸国永 鬼丸国綱 宗三左文字 不動行光。
目の前にきれいに並んだその刀達が俺に別れを告げるようにギザギザした空間を超えて俺から刀を奪う、親友のもとに行く。
それに付き従う無数の刀達、こんなに早く、何もなくなってしまう。
「?」
最後、実休光忠がなにかを伝えようとするように、止まった?
異空間の奥を見る、そこにあったのは、
ありがとう。お前達は、この刀を守るために、俺に握らせるために、わざと敵のもとに――。
刀が近づいてくる、俺は、その最強の刀を握った。
「――心切り――‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼」
圧切長谷部を、俺自身に染め上げた。
お待たせしました!




