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第九十三節 暴走

前回のあらすじ

ついに手を出してしまったか、勝倉さん。

冗談はさておき、濃姫は何か大事なこと知っている様子。

詳しく聞かないといけない、そうだろう?



 これは、



 空から落ちてくる少女達、それを見てどうしても人間がしたものだと信じることが出来なかった。



「勝倉‼」



「よぉ、丈。楽しんだか。峰空の生徒一人占めとか、明日から宝くじ買わない方がいい、ぞぁ? てぇ?? あれ、丈が途切れ途切れに見える。しかも小さな文字が剝がされたように、落ちていく?」



「今はそれどころじゃない! あれはなんだ!」



「ああぁ? ええと俺もよく知らないが、山奥で育てられた少女達だと思う」



「私が詳しく説明しましょう」



 お久しぶりです。ペコリ、と濃姫が頭を下げる。山奥で、育てられただと?



「私達は修行中、極秘にある情報を入手しました。それは武衛大が山奥で意のままに操れる駒を作っているという情報です。彼女達を見てください」



 紹介されたのは、さっきから勝倉に抱き着いているポニーテル、ツインテール、三つ編み。四つ編み、ロングヘア、ショートヘアの金髪少女達だ。



「私達は施設を潰しました。で、一応の生き証人として連れて行きたのが彼女達です。もちろんリク様という方にはちゃんと説明はしていますわ。つまり、潰した施設と同じようなものはまだどこかに隠されていて、それをあの真智が超能力でここに出現させたということだと思われます」



「なんで、あいつらにとって、姉貴を倒すことはそこまでしなきゃいけない相手なのかよ?」



「ふふ、信じられないという顔をされています。しかしあの≪序決二位≫の言葉を聞いていらっしゃったのでしょう? これは全て、あなたを倒す前座です」


 俺の、せいで。姉貴を傷つけようとするのか。いつまで、こんなことが続く?





 こ、ろ、せ、よ。敵対する、全て。




「‼ 丈様、止めて、止めてください‼」



 更に倍、俺と三次元のズレが大きくなっていく。強い力を持ったんだ。俺の心には、欲が支配していた。完全に敵を叩き潰す。小さな痛みでさえ、俺には受け入れることは出来なかった。



『君はハマればいい。でもね。それは時として一つしか見えなくなることだということを知ってくれよ~』



 気付かせるように、長谷川先生の言葉が頭に響いた。遅いよ。俺の中の欲望はそう鼻で笑った。


 カチ、カチ、かチ、カチ、カチ、更に五つの次元を解放してしまう。


 ピンを抜く感じだった、抜いたのは俺だ。でも行動に移すのは俺であって俺ではないものだった。



「勝倉様、薬研藤四郎は解放したらダメです! 私を使って‼ 二つの刀で丈様を止めないと、ここ一帯の生き物が私達ごといなくなりますわ!」



「え、濃姫ちゃん。あれは俺がカッコよく映る場面で使うっていってくれたじゃん! まだ、丈にも説明してないぜ!」



「説明を聞いてくれる状態ではもう、ありませんわ‼」



 浮いていく俺の体、意識と体が完全に分離したのが分かった。今俺は、罪悪感がない、テレビを見ている気分だった。



 そしてブレていた俺という存在は、完全に三次元に定着した。



「こいつ、本当に丈かよ!」



「不味いです。これは、図書館で見たことがありますわ。神の姿をかたどることで、自分の表現しきれない力を表現したというとこでしょうか?」



 心の中で俺が見えている景色には背中から白い羽が六つ、更に一つだけ黒い羽が腰の下に伸びている、ギリシャ神話に出てくる服装をしていた神が、いた。



 手にふっと現れたのは、誰も持つことが出来ない大きさになっていると感じる激しく燃えた実休光忠だった。



 俺には分かる。それは敵味方関係なく殺すために、大上段に構えだす。



「な、なによこれ、助け!」



≪序決二位≫が恐怖している。真智と姉貴はどうにかして威力を殺そうとしている。



「ルシファーの真似事かよ丈、ずいぶん髪も長くなっちゃって!」



「勝倉様!」「分かっている! 来てくれ! 濃姫ちゃん!」



 お互い手を伸ばす、掴んだ刀を持って勝倉は叫んだ!



「心切り‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼」



 謎刀から数十本、光の筋が飛び出す。それは神と化した俺をぐるりと何週もして、最終的に謎刀にぶつかった。


 刀をぐるりと包み込んだ、繭から生まれた、一本の大太刀。


 飛び込む、片目を閉じた勝倉は明白刀で実休光忠に打ち付けた。



「ぐあぁああああ!」


 砂浜に吹き飛ばされた!


 死なないことが奇跡。なんとか薬研藤四郎が回復させたのだ。これで薬研藤四郎を解放していたら、死んでいたかもしれない。


 違うだろう、俺は冷静に分析していた。それでも無理だった。しかし、真智と姉貴の力があってこれで済んだ。



「お前は、自分を見失っている場合じゃないだろ、なあ! まだ誰も救っていないんだぜ! 丈」


 実休光忠が複数に分かれた。俺は空に昇らせて行って雨のように降らせるつもりだった。


 そこに、ぱっとあらわれた人影。



「‼ ガアアアアアアアアアアアアア‼‼‼‼‼‼‼‼」



 叫び声を挙げた俺の体を操っている何か。



「取りあえず一発‼ 私が相手してあげます。神様なら、私にも勝機があるんですよ!」


 夜東先輩の超能力を聞いたとき確かに強くないと思った。でも、それは敵がいないからだったのだ。


下剋幻(メルヘンスレイヤ)】。人間には効果が薄い。でも誤魔化す程度の、ふいうちからなら倒せる力はあった。



 それが、本領を発揮したら。



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