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第八十七節  緊急集団序決訂申戦6  井谷 世良 VS ≪序決六位≫【協独歩(みんながいるからひとりでいられる)】

前回のあらすじ

今はそっとしておこうと思っていたキリルが戦い始めた。

それは姉貴の友達らしく、何かお願いされたよう。

訓練に参加していない姉貴でさえ何か考えているんだ。他の生徒に思惑があるのは、当然か?



 委員長は力を使いきったらしい。もう戦闘は不可能だった。



 他の五人も似たようなものだが、負けるまで戦闘は続けるらしい。



 そのなかで≪序決五位≫に抱き着いたふぇえちゃんはかなり委員長の攻撃の余波を受けていた。



 でも、彼女もまだまだ上を目指すと。すごいな、ほんとうに。



 俺は彼女達を送り出した後、先輩をドボンとプールに落とした。



 うん、スッキリ。恨まれると嫌なので誰がやったか分からないように鬼丸国綱おにまるくにつなのテレポートを使った。



 その様子を近くで見ていたらしい二年生はあらぬ疑いをかけられたらしいよ。どんまい?



 先生達よ、絶対に本当のことは言うんじゃないぞ!



 あれ、今先生が、『君達敵同士でしょ! 戦いなさいよ~』と言ったような。



「……」



「なんですか、先輩?」



 世良と緑のタンキニを着た二年生と思われる女子生徒、二人が飛び飛びの足場でできたプールでにらみ合っている。



「……‼」



「私と手合わせする、と」



「……?」



「あ、大丈夫です。先輩のその性格知っていますから。喋らない、寡黙な≪序決六位≫、【協独歩(みんながいるからひとりでいられる)】様ですよね。協力体制を維持した時、最大限自身の力が強くなるって聞きました」



「……、お願い」



「え?」



 喋りかけられたそのことに、世良は驚いていた。



 頭に手をやった彼女は髪留めを触った、二つに、分かれる?



 いや違う、それは普段、固められたリボンとして使われているが、小型のハサミとして取り出すことが出来るらしい。



 その髪留めが二つ、彼女の武器だと思う。


 来る!



「……、……」



 彼女が世良を一周して小型のハサミで空を切る、いったい、何を切ったんだ?



「う、くくぅ‼」



 苦しみだす世良、ダメージは受けていないはずなのに。



「ショテル!」



 世良を中心に回る剣が空気をかき混ぜる、それをしたことで世良は大きく息を吸い込むことができたようだ。



「……?」



「これでまだまだ序の口と言いたいのですね。酸素の供給を切り取ることは、珍しくないと」



「……!」



「望むところです、力比べなら受けて立ちます!」


 円の形をその一部に持っている武器が飛び回る。それを、みえない力を切断して無効化する≪序決六位≫。



「まだまだ、私が操れるのはこんなものじゃないです!」



「……」



「な、なに⁉ これ‼」



≪序決六位≫は乱雑にハサミで切る、



 すると横や斜めに引っ張られるように彼女が振り回され始めた⁉



「まさか、引力を!」



「!……}



「は、しまった!」



 彼女の振り回される先には滝をイメージした流水プール施設がある、触れたら最後、痒みで集中できなくなるだろう。



「く、方円ハマ!」



 陣地を形成して、その囲んだ中で正解あたりを押しつける。世良に十八番。


 周りに刺さったショテルは世良を中心に、なんとか引力を元に戻した。



 剣を手繰り寄せて、それを地面に刺すことで何とか空中からの反動も受け流す。



「……、………………?!」



 無音の歌を歌う、世良が着地する間に≪序決六位≫は目をつぶって意識を集中させる。



 地声の振動を伝えるものは切断している。



 音は彼女の周りでストックされ、ここから出せと暴れていた。



「‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼」



 二つ目、そのハサミは音の持つ何かをゼロにした。



 一つ目のハサミの効力を消した途端飛び出した、一つ一つの音が世良の近くで一瞬で壊れる、爆発したかのような威力だった。



 一枚上手だった、のは。


「……、――」



「――事前に訓練予想を聞いていてよかったです。こんなこともあろうかと、なんでも準備しましたから」



「な、ぜ?」



 世良の体、水着は破れて傷だらけだった。それもそうだろう、威力は超武戦で武衛大が使った武器と変わらないものだった。



 しかし世良の方が、切り札を使ったタイミングは絶妙だった。



 肉を切らせて骨を断つ、目を閉じていた間の隙を見逃さずショテルを捨て、トリガーが丸い無数の水鉄砲を敵に突き付けていた。




「そう思うのも分かります。なんで、そんなに準備しているのか(・・・・・・・・・・・・)ってことを言いたいのでしょう? 私は自分だけが守っているつもりでいる人を、守りたいだけです。そのためならちょっとくらい、お金が無くなっても、大事なものは失くさずにいたいんです」




「かなわ……な。わ……かれを」



 一斉に水鉄砲が発射された!



「……………」



 プールに落ちた。が、ゆっくりと、≪序決六位≫はあがってきた。



 ぱっぱっ、とほこりを払う動きをすると、頭をペコリと下げてすたすた先生達の待つシャワー室へと歩いて行った。



 世良ももちろん、深く頭を下げた。よかったと思う。先輩のイメージは守られたのだから。





 なにせ、性格とちぐはぐな感情を表に出した、ダッシュをしちゃったからな。






 さて、俺もそろそろ逃げてはいられないらしい。



 包囲網が敷かれていた、それはボス、【序決八位】のものだった。



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