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第八十六節 緊急集団序決訂申戦5 キーラ 対 ボーイッシュな一年生

前回のあらすじ

リゾートで行われている訂申戦。

狙われる俺達はどんどん固まっていく。

‼‼ 助けに行くか?



 俺は、絶対に鉢合わせしてはいけない人がいた。



「これで何人目か、な?」



 キーラは頭を抱えている。


 理由は分からない、しかし、俺に気づいてもらいたいのかさっきから結構ド派手な技をバンバン使っていた。



「弱い部分を見せるのって苦労するなぁ。えっと、母様からのメモ、メモと」



 胸元から一枚のメモを取り出した。それは食事会の時、キーラの母さんから貰ったらしい。


 キーラには申し訳ないが、そのメモにはこう書かれていた。





 1、想い人には弱く見えるように!

 2、さり気なく、待つ!

 3、ライバルは蹴落とすこと!




「待つって、さり気なくは無理だよ! だってボクの能力は目立つし、それでライバルは倒していかないといけないから弱いところも見せられない」



 あ、でも。人が減れば方後君とのエンカウント率も上がるし、ボクと彼しか残らななければ二人きりになれるかもしれないのか。とごにょごにょいっている、気がする。


 残念、その前にこれは訓練です。出会う=戦うですよ?


 お、恐ろしい。それで彼女にプールに叩き落された生徒は数知れず。


 俺自身を男として割り切っている、薄緑の影響はそれほど受けてはいないようだ。


 でも、鎺のことがあって後ろめたいし、スキンシップも他の一年生より強いものになるかもしれない。


 だから、少しの間ほったらかしにしようと思う、もともと、俺と同じくらい強いし構わないだろう。



「キーラさん。今いいかな?」



「誰だ!」



 クォデネンツを声のした方に向ける。そこにいたのは、ショートで男の子みたいな女性だった。



「突然ごめん。僕は――」



「先手必勝!」



 キーラはクォデネンツをボーイッシュな女性に振りかざした。避けることはできたがかすって彼女の水着の紐が切れる。



「ちょ、ちょっと待って! 名前を言うだけだよ⁉」



「もう君は絶対に倒す! ボクと同じ一人称を使っているからね。これじゃあ、ボクが霞んでしまうのは自明の理だよ!」



「結構難しい言葉使うんだ⁉ 待って、ってどうせ戦うのは一緒だ。このまま、始めよう!」



 彼女は肩の紐を抑えるのを止める。そして、浮かんでくるのは淡く弾けては消えていく泡。





「‼」



 キーラは踏み込もうとした足を止める、危機感が支配したらしい。



「へえ、来ないの?」



水操作(ハイドロキネシス)の応用だろう。だが、それだけでキーラが足を止める理由にはならないはずだ。



「君は、妙だな。強い気がする」



「へへ、だって君の知り合いのお姉さんに鍛えて貰っているからな。他の人よりも少し腕には自信があるよ」



「お姉さん。もしかして、方後生徒会長のこと⁉」



「そう、僕だけには彼女が知っている色々なことを話してくれたよ。君よりも剣神様のことは詳しいかもしれないね」



 そう、勝ち誇ったよう胸を張っていた。



「どうやら、本気を出さないといけないらしい」



「奇遇だね。僕も舞から君を試してほしいって頼まれていたんだ。≪序決一位≫から鍛えられたその力、見せてやるよ!」



 彼女はパーティーの時に姉貴が話していた、一緒にいて欲しいといっている女性だろう。



 姉貴が信頼している一年生。どうやら、真智と年齢を交換したことを話したようだな。



 真智、そうだ。結構動き回っているが、彼女には遭遇することはなかった。



 映像で確認すると、もう失格になっているようだ。少し、引っかかりを覚える。最初すぐ、俺に勝負を挑んでくると思っていたのだけど。



 しかし、今回は少し不思議なことが起きている気がしてならない。



 真面目に訓練に参加している生徒は知らないだろうが、一部。いや、ほとんど半分の生徒達が開始五分も経たずにちょっとした油断で一定の数、シャワー室に駆け込んでいるんだ。



 それは先生達も違和感を覚えない程に少しずつ減っていっていることを意味していて。



 俺はまだこのとき、さほど重く考えていなかった。




 しかし、裏に潜んでいる思惑は静かに牙をむいていた。



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