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第八十一節 『次元』の構成能力者

前回のあらすじ

一人の男子高校生。

四次元世界の人間。

世界の始まりと思われる九次元。

彼らと構成能力者とは、いったいどういう関係なのだろうか。




「う~んぐう、ああ、君か。久しぶりです。元気でした~?」



 ちゃぶ台の前で、横になっている。大きなあくびを一つしている、女性だと思われる『起点』構成能力者。やる気は、感じられない。



 どういうことだ? 俺は今回世良の力を使っていない、にもかかわらずここに来た。



 ああ、そうだったな。この人は、不可能を可能にする力を持っている。


 長谷川博士の話を信じるなら、無数の四次元以上がなくなったことにより、事実上世界の神になったはずの、嘘みたいな主柱的人物を。



「久しぶりというほど長く会わなかったわけではありませんが。お久しぶりです、構成能力者様」


「もう、そういう堅苦しいのは止めてくれないかしら。俺はもう気を使ってくる狸達にはうんざりなの!」


 ため息を吐いている。どうやら、神でさえも人付き合いはしないといけないらしい。


 誰かに奉られるだけじゃだめなのかな。



「はは、で。俺はなぜこのような所に来てしまったのですか?」



「うん? 暇人を呼んだだけですよ? だから、俺の話を聞いてくださいな?」



「喋るのがめんどうくさそうな人に言われたくないですよ」



「いいじゃない~! もう俺には君しかいないんだよ~。仲間はみんな独り立ちしていこうとするし~」


 仲間、か。ここに来たのは仲間をサポートする力が欲しかったからだったな。


 武衛大も襲ってくる、序決でいい成績を残したら、少しは牽制できるかもしれない。よし。


 ちょっと待って! と言って気だるげな体を急に起こし手で待ったをかける構成能力者、



「君、また同じ話をしようとしているでしょ? だから君にはダメって――」



「いいんじゃないか? 俺が許可するよ」



 だ、誰だ⁉



 身長の高い、声からして男だろうか。突然現れた⁉



「げえ、久しぶりだ! どういう風の吹き回しよ⁉ 『次元』、いえ、昔は『空間』と呼ばれていたっけ?」



「手が空いてな。お前にこっちを全て任せると問題を起こすのが目に見えている、今日は釘を刺しに来たところだ」



「はぁ? 君に心配されなくても俺は万事オーケーです!」



「嘘をつけ。無作為にこの場所を使うのはご法度だろう」



「いいんですぅ。俺が使っているんですぅ。もう居心地よくなっていますぅ」



『空間』って……、ついさっき聞いたよう、な。は‼ 全て始まった、一人の男子高校生! もしかして、この人が⁉ 『時空』の構成能力者‼



「紹介はもういいか? おい、俺にもお茶を出せ」



「はいはい、だるぅ」



『起点』は肩を落として冷蔵庫に向かっていく。一つの瓶を取り出すとガタン‼ と『次元』という彼の座ったテーブル前に栄養ドリンクを乱暴に置いた。



「お前、これ。また栄養ドリンク? 早死にしてもらっては困るんだが?」



「なんだよ⁉ 俺の出した飲み物が気に食わないですって?」

 


 なにか、口論が始まった。口出ししてはいけない雰囲気だったから知らんぷりしよう。


 ギャーとか何とか『起点』が言えば、はぁ? といい馬鹿にして言い返す。


 それが正味十分ぐらい繰り返されただろうか。


 すると今度は疲れたのだろう、五分ぐらいどちらも喋らない。


 本題に入りたい俺は置いてけぼりだった。



「で、本当にいいの? 君が決めたルールでしょう? あの力はまだ、この時代には早いんじゃない?」



「いや、もう全ては動き出している。これから、お前以外は忙しいのだよ」



「俺も忙しいわよ! まったく、政府を尻に敷くのも大変なんだから‼」



「あの、結局俺はどうなるんですか?」



「済まない。理解が難しいだろうな。君の力を解放してもいいと言ったんだ。天使の息子ならその有り余る力は人を傷つけてしまうと思っていたが、どうやら周りに恵まれたようだ」



 天使の息子って誰だ? 後ろを確認する、誰もいない。ちょくちょく意味が、



「ということは、俺は四次元、から力を借りられると? でも俺の体は、いえ、そもそも人間は四次元にいないのでは?」



「そう、四次元に人間はいない。しかし、お前だけは、行ったことはあるのだよ?」


 

 どういうことだろう。人間はいないのに行ったことがある?



「お前は、生まれる前の記憶というものを信じられるか? あの真っ暗な、ドクンドクンと自分の呼吸が大きく聞こえる場所だ」



 唐突に、遠い方を見ているのだろうか、見ながら呟くように言う。



「さて、無理やり連れてきてしまったようだ。お前は力に早く慣れるため時間が必要になる。くれぐれも、友達に無理をさせてはいけないよ?」



「一回くらいなら私の方で止めてあげるよぉ! 気をつけて!」



 手をぶんぶん振って、お別れの挨拶。



「ま、待ってください! それはどういうことですか⁉ 俺はまだ聞きたいことが沢山あり」



 プツン、とテレビを急に切られたように現実に引き戻される感覚が、俺を支配した。




 ~*~



「どうしたの急いで? あいつはまだ動き出していないんでしょう?」



「別次元にいる創造が死にかけている。長く生きたのだ、寿命だろう」



「だから? バランスが崩れるわね、君が支配するか? 俺が支配するか、ってとこ?」



「馬鹿をいうな。せっかく勝ち取った平和を俺達が壊してどうする? 弟子が、必要だろうな」



「俺、知っているわ! あなたも弟子を育てようとしているでしょ?」



「そうなると、お前が一番古株になるな。右も左も分からない奴だったのに。今では助言と言って彼を奪おうとしている画策している始末だ」



「知らないわ。上から目線は止めてくれないかしら。君の年齢と、俺の年齢。そう変わらないのよ!」





 静かすぎるこの場所。でもここは、何百年でも三人が集まることを、知っているようだった。



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