第七十七節 お化け
前回のあらすじ
キーラの母と世間話をした。
彼女が言うには、俺は旧友という事らしい。
あれ、根本がシークレットルームの中に入った?
ということは、彼女が?
ガタガタッ!
その音に俺は夜中、目を覚ました。
て、ええ?
「丈、あなたやっぱり男っていうやつなのねぇ。こんな体、今まで触らなかったなんて、んふうう」
「世良、起きろ! 俺の布団にいつの間に入ってきた⁉」
「ふうふふふ。じょ~、内緒よ、私、あなたが大、大す、むう」
俺のお腹付近に抱き着いて寝ぼけている。み、身動きが。しかし、世良の匂いはどこか安心するので、つい俺も、このまま起きろと自分に言い聞かせながら寝てしまいそうに。
「何しているのですか剣神様。私というものが、ありながら! 世良さん! あなた風紀委員でしょう? あなたが風紀を乱してどうするのですか?」
「な、あによ~? ああ」
むくっと起き上がった彼女は俺と委員長、そして自分の今いる場所を見た。
そしてまたバタっと倒れる。
「聞いていましたか⁉」
「うるさいわね。男子だからって別にいいじゃないこれぐらい。あなたも一緒に寝る、気持ちいいわよ? でも、絶対布団から落としてやる」
「やっぱり女の子同士は最高です! あれ? この感覚は何でしょう? そもそも女の子しかいないのでこれが普通? 普通なのに、これはマイノリティである? もういいや。取りあえず、委員長、きて?」
ころんと俺の横で一線を越えようとする、頭に白い二つのお団子がある二階図書館の住人。
俺が、せっかく広い部屋を借りられたのにもかかわらず、大きいベッドを同じ部屋だった彼女達に奪われてしまったので、ホテルマンに無理言って布団を借り寝ていた、のだが。
おいおい、静かにしろよ? うん、原因は俺!
「こら世良、そろそろ離れろ。わざわざこっちに。お前たち三人ベッドに寝ていただろう?」
「だって、だって、丈の鞄からガタガタ言っているのが聞こえたの。だから教えてあげようと思って、丈の布団に入ったの」
「そこは、起こしてください井谷さん! もう、許しませんよ!」
「許して。私はあなたが好きです。いいんちょう。うふ」
「あなたは黙ってください!」
ガタガタ、ガタガタ‼
「きゃあ幽霊、助けて丈!」
「止めなさい! どさくさに紛れて剣神様の上腕二頭筋を触ろうとしない!」
「委員長、ここ濡れているの。触って助けて?」
ちょ、流石に下を脱ごうとしているのは看破できないぞ。
「お前らうるさい! 電気をつける。動くんじゃないぞ!」
スイッチを押して明かりが部屋全体を照らし出す、はっきり見えた豪華仕様のベッドはもぬけの殻で、ぐちゃぐちゃになった布団で暴れていた三人組は浴衣がはだけていた。
特に、お団子頭は顕著に肩を見えていて。一番暴れていないのは彼女なんですけどね⁉
「は、早く身だしなみを整えてくれ。恥ずかしいだろ⁉」
「す、少しくらいなら見られてもいいです。このチャンスのため、キーラさんには交換条件を」
「女の子同士だし、別に気にしないわよ?」
「私は委員長一筋です~」
「ああ‼ 話がややこしくなるから一旦喋るな!」
明後日に触るぞ? わかっているのか?
「それで世良、確かなんだな? 俺の鞄から何か音がするのは?」
「そうよ。生き物みたいと思ったけど、なにか違う感じがするし。まさか」
「バ〇ブですね‼」
違うわ! お前と一緒にするな!
ガタガタ、ガタ!
お前も大人しくしろ‼ まったく。危険かもしれないから持ってきたが、
迷惑を考えろ!
「で、剣神様。何を持ってきたのですか?」
「ああ、しょうがないから、お前達にも見せる。一応、キーラには黙っておいてくれ。触るなよ? 危険かもしれないから」
俺はバックから震えているそれを取り出して、みんなに見せる。
不思議なもの、その、金色のベルトの留め具のようなものは。
「この古びたものは?」
見たことないのも当然だろう。それはヒモが括ってある、刀装具、鎺というものだった。




