第七十五節 一位対二位
前回のあらすじ
男子高校生は念願の女性だけの世界を手に入れた。
いや、つらたん。もういっそ、俺も女になるかな?
やっぱり、無理だな。
俺はすぐに世界が変わってしまったことを長谷川先生に説明した、その後の言葉だ。
国々と長谷川先生などは性別が一つに固定されたことに言われてから気づいたらしい。
流石に看過できないと、一部の焦った国は俺を襲撃しようと考えていた。
それほど、俺の力は危険だと実感したようだよ?
「待ってじょーくん、お姉ちゃんも参加するよ~」
「あ、姉貴!」
「≪序決一位≫、≪女神のハエ取り罠≫様‼」
「姉様! 私はいいですけど、他の子が恐れ多くて参加が」
おっとり姿の眼鏡さん。方後 舞が参加を表明した。
キーラと同じワンピースでありながらこちらは後ろに巻いた白いリボンがいいアクセントになっている、全体はベージュ色のワンピース水着姿だ。
少し背伸びしたのは生徒会長だからだろうか。
うん、違う。俺に選ばせたそのうちの一つです。
しかし手の届かない相手だと、一年生が中心であるこの鬼ごっこにしり込みする人が現れてしまう。
「え~⁉ 仲良くしましょう? そうだ‼ こうしてはどうかしら? 副会長!」
手を挙げて、遠くの≪序決八位≫よりも多い人数に囲まれている副会長を呼ぶ。
そのままかけていくと人が割れた、うんざりしたような顔の背が高い彼女を連れてくる。
「え、≪序決二位≫≪実質操作≫様も参加されるので」
「これで、副会長もいるね! 私に気を使う人じゃないよ~!」
残念ながら根本的な解決にはなっていませんよ姉貴。二人に気を使うことになっただけです。
「生徒会長、私は言いましたよね? もう私は後がありません。せめてあなたからその一位を奪うため、力の一端でさえ見せるわけには」
「いっつも難しいことばっかり考えているからだよ~? じょーくんを見習いなさい! 考えていそうで考えてないよ?」
「私には私のやり方があります。可能性も手に入れました。貴方の派閥を、この峰空ごと変えてやります」
シンプルなビキニを着ている彼女はイライラしている。その姿を見て、一年生は固唾をのんで見守ることしかできなかった。
俺はどうでもいいから静かにしている。
話している訓練には参加するが、順位とかは別にどうでもいいし。
どうせ世間では勝倉が俺の上に立つわけだし。
いいことを思いついた! い、今、ちょっと日焼けクリームを塗りに行きたいんですって言ってこの混乱に紛れて逃げ出せないだろうか?
そういって逃げ出す算段を考えていたら、≪序決二位≫の後ろに見たことがある姿が目に入る。
彼女は御園生真智、か? その後ろには『剣神をきちんと分け隊』の面々だと思われる生徒もいた。
真智は俺を見ようともしない、いてもいなくても関係ないと言われているようだ。
少し寂しいけど、自分は彼女を信じようと決めている。
あの、銭湯事件以降、俺の評価を意図的に下げているのは彼女だと知ってはいる。
聞いたのは濃姫から。絶対に関わらないで下さいと念を押されていた。
彼女にあなたはもう公に声をかけられる相手ではない。だから彼女のためを思うのなら私に任せて下さいと言われたよ。
赤い髪から色が映ったかのように同じ色で固めている水着でお尻はショートパンツ、胸は、う~ん?
胸は成長期ではあるから少し物足りないが、それは仕方ないだろう。
あれ、生徒が耳打ちしたら赤くなった。
少し、くらい。水着の感想を言うだけなら。
そう思って声をかけようと、彼女に近づこうとしたが、
「あらあら、仲がいいのですね。昔を思い出してしまうわ」
声のした方を振り向く、まだまだ若々しい、ドレスに身を包んでいる女性が日傘を差して俺達に声をかけていた。




