第七十二節 武衛大に押しつけられていた
前回のあらすじ
つけられている、敵だった。
でも、どこか頼りなくて――、
まあ、ついて来いよ?
俺の考えはこうだ。つまり彼女に実験台になってもらおうと思ったのだ。
俺の刀が、俺以外にも答えてくれることが分かった。それが男子だけなのか、それとも両方とも大丈夫なのか。
刀を使いこなすためにも、あらゆる実験をするべきだと思った。
「で、長谷川先生の後輩の後輩っていうのは、お前か。リク」
「ああ、久しぶり。方後」
待ち合わせの喫茶店にいたのは超武戦からぱったり合わなくなった。先行隊陸士長、通称リクという武衛大の生徒だった。
オレンジの髪を短く切って目は油断ならない。彼は、友達になれそうもないほどに人付き合いが上手そうに見えた。
「聞いたぞ。お前、国宝毀損事件の話に一枚噛んでいたそうじゃないか」
「はは、キーラも口が軽い。俺は喋らせるだけで大変だったのに」
「今日は刀を預ける実験をしていいか聞こうと思っていたがついでに聞く。お前、どうしてキーラを止めなかった?」
「俺に止められるわけがないよ。政府でも予想できない事件だったものだよ?」
またお得意の主人公にしか解決できない、とでもいうつもりじゃないだろうな。
「嘘をつくな。お前は簡単に止められた。それを政府に気づかれてあの博士の後輩にしっぽを振っているんだろう?」
「さて、どうだろう。俺は君の存在を信じていただけなんだけど」
ひょうひょうと掴んでは逃げていくようだ。笑って誤魔化せるレベルの話じゃないはずなのに。
「超武戦で最後まで助けようとしてくれたのは感謝している。だが、適当なことばっかりしているといつかお前が人を殺すことになるぞ」
「覚悟の上さ」
彼は優雅にコーヒーを飲み始めた。それは今この瞬間を大事にしているように感じる。
コイツは信用できる情報は持っているのだろうが、半分嘘と思ったほうがいいな。
信じ切った時の最悪の上振れが激しいことになる。
「ああ、超武戦の後の武衛大のことについて話しておこう。武衛大は国の根幹をなす学校だった。でも、公にはしていないが内部抗争が始まってしまってね。男こそが至高と考える層と女性も強くなっているから重要なポストをという層の考え方の相違だね」
「だから何だよ? 俺には武衛大の自業自得としか思えないな」
なにせ、女性を差別する考え方がとても根強くあったし。一斗は反省したように思えるが真智に手をかけようとした奴はまた同じことをやりそうだ。
「君にとっても大変だよ? なにせ武衛大はこれ以上爪痕が酷くなるなら君に全てを解決させようとしているからね。君が勝てば女性を、負ければ男子を立てる。それを聞いた武衛大の男子至高派は武衛大の名前を使わない代わりに君の襲撃を公にならなければ許可された」
「は?」
「ああ、一応話しておくけど、男子至高派は君達と同じ『一桁』という≪武決≫上位陣がほとんど参戦しているから気を付けてくれ」
ええ、襲撃って? 元々この学校に行けば安全だからって話じゃないのか⁉
「上司から訓練を真面目にする覚悟を持ったと聞いたから別にいいだろう? つまり、君はもっと仲間を増やさないといけない。なら今回の貸与は許可することに何の疑問もない」
「ま、待ってくれ。俺を助けてくれることに関して政府の見解は?」
「さっき話しただろう? 君は強くなりたいって言っていた。なら政府は様子見だね」
「そんな‼ 俺はまだまだ学園生活を幸せに過ごしたいんだ。その中で少しずつ強くなるつもりで――」
「君に時間はない。頑張ってくれ」




