第七十一節 で、お前は?
前回のあらすじ
水着審査会は序決八位の優勝で幕を閉じた。
これで良かった。世良の水着姿を見世物にしたくなかった。
そして、序決三位を決める訓練が始まる。
最近跡をつけらている気がします。校外ならわかる部分もある。しかし校内が、特に感じる。
もう、戦う相手というものではなくなったはずなのに。
なぜなら勝倉が俺より強いとする噂が、根強く浸透してきたんだ。だから、もう俺と戦おうとする人自体がめっきり減った。
俺の峰空での成績はどちらかというと落ちこぼれと言われてと仕方ないとさえ感じる評価だ。
もう、剣神とかコーチとか言われている場合じゃないな。
でもな、あの水着審査会は開催されたんだよ。強いから、好きだった人が多かったんじゃないかと思っていたのだけど。
今は勝倉に意見を聞く人が大半、でも一部だけ、俺に意見を聞いてくるぐらい。
世間からの評価も、俺は一般人と同じ。どちらかというと勝倉の方が持ちあげられている。
もっとモテてもいいのに、と勝倉が落ち込んでいたのが記憶に新しいよ。
「そろそろ、正体を現してほしいんだけど、なあ?」
お前、隠れるの向いていないよ。ここ最近、デパートでも、水着審査会でも、校外だろうがお前の視線が痛いほど感じるんだ。
ビクッとしながらも、人気のない廊下の角から自分なりにカッコつけて出てくる女子生徒。
カツ、チュルリュル。
歩く音がカツ、カツとした音から遠い。心もとないな。
「おはようございます、剣神様。私は≪序決八位≫の」
ん? 序決八位って二人いるのか?
「その末端の末端の末端の、更に末端の!」
おいおい、どれだけ下なんだよ! もう何も言わない方が逆にカッコいんじゃない⁉
あれ、なんか見たことある気がする。
「お前、ぷりんせす? さまに撤退の指示をした取り巻きの一人じゃないか?」
パアァ、と明るくなった。すごい嬉しそう。茶色のアホ毛もにょきにょきと動く。
パッツンだからストレートに顔に出るな。
「ハイ、私は二年生の夜東 星々と言います。こんな私を覚えてくれるなんて、ありがとうございますありがとうございます!」
カッコつけたのか、どっちなんだ?
「やっぱり、従妹に聞いて正解でした。私は気にかけて貰っている。そうよ。私は二年生、そう先輩! それなのにビクビクする必要なんて」
「あの、すいません。俺に用があるんですよね?」
「そうです! これは先輩命令です。私を一緒に」
ごくん、と息を呑む間をはさんで一言。
「私を強くしてください! お願いします。もうプリンセス様の重荷になりたくないんです!」
「嫌です」
「ふぇえ! 即答! 何でですか⁉」
お前、全校朝会の件、寝ていただろう?
「理由は二つあります。まず、あなたの派閥が問題です。お前達つい先日俺達を襲撃しただろうが!」
「す、しゅいませんんんん!」
ふう、あれについては俺もムカついていたからつい厳しめに言ってしまった。
もっとスマートに断れ、そうだ、その通り。
「後、今日予定が告知された緊急序決訂申戦、あなた達、必ず敵になりますよね?」
「それは上の命令で私達は従うだけええええんんんんん!」
「どの口が言うんですか? これ、この口ですか?」
「引っ張らないでぇ、伸びる伸びる、うええんんん」
ぐすぐす、と泣き始めた。ちょっとやり過ぎたか?
「あの子、こんな怖ろしい人とワンツーマン訓練したの⁉ 優しいって聞いていたのに!」
そうか分かったぞ。あの『ふぇええ』て言っていた一年生の知り合いだな。
よし少し距離を置こう、敵に情報を流す可能性がある。
「せっかく剣神様に危険が迫っているって従妹に伝えてあげたのに。あんまりだぁ!」
……、もしかして、メイド長が動いたのはこの人のおかげだった?
「今の話、本当か?」
聞くだけ野暮だった。俺は手を横にやり空間をギザギザに破る。実休光忠を召喚した。
カタ。
「そう、か」
「グスン、グスン」
チャキン、俺は鞘ごと刀を腰に差すと泣いている彼女に手を差し出していた。
「仕方ないだろう? お前も同罪だ。だからもっと苦しむチャンスを与えてやる。死ぬ覚悟で、俺の刀を奪い取れ」
「ふ、ふぇ?」
彼女は手首で自分の顔を拭っている、その目は裏切ったはずのものではなく、嬉しくなるほど曇り一つなく透き通っていた
いつもお世話になっております。イイタチイリュウです。
びっくりしました。このような小説に身に余る高評価を付けていただいて
本当にありがとうございます。忘れられていないことが嬉しすぎて、三章から『そのあの』(今まで書いていた小説)が無かったらここまで続いていたという話を書こうかどうか悩んでいます。
ポイントが削除する前のポイントを超えたらしようかなぁ。日々迷っています。
ドンドンドシドシ、いいねなどお待ちしております。




