第六十九節 水着審査会
前回のあらすじ
俺に水着を選んで貰いたい。
暗躍するデパートのお姉さん。それの罠にはまった世良達。
さて、俺の明日は?
俺は死んだ目をして即席のステージが良く見えた、品がある白い席に座っていた。
「エントリーナンバーツー! 自己主張を抑えたパレオを着こなす彼女は、超武戦で四次元フィールドを広げ武衛大の防諜をものともしなかった。それは服装にも表れて」
実況のデパートのお姉さん、ノリノリである。他人の不幸が蜜の味、と思われます。
今ステージにいる女子生徒は、次元隊のリーダーだ。表情は一切変えず少し赤くなっていて俺を見つめている。
チラッと、腰に巻いているスカートのようなものをひらひらとした?
『オォオオオオオオオオオオオオオオオオ‼」
男子のボルテージが上がっていくぅ。それにカチンとする次元隊リーダー。
まるでお前らに見せたかったわけじゃないと言っているようだ。
「超能力者になったら、この興奮が毎日!」
「俺明日から、方後ってやつの跡をつけようと思う」
「ふ、こんなもの。私は強さが欲しいだけ、決してこんなものには!」
ここに来ている時点でお察しです、最後の人。
もちろん、今この場にいる男子全員このデパートのカモでした。
え、なぜって? ゲスい話をしていいです?
このホテルはネット販売もしている、つまりそういうことだ。
「さて、彼女はどうですかぁ、方後くん。点数を発表してくださいぃ‼」
ダララララララランン! ダン!
「でったぁ! 点数は十点中七点だ‼」
ブーブー、外野の男子と女子までもがヤジを飛ばしている。評価に不服なようだ。
もういい。勝手にやってくれぇ!
席に代わりに座ってくれていいからさ!
「委員長見ていますか~。あなたの恋人はここです~」
目が覚めるような露出が多い水着に身を包む、二階にある図書館の住人。
「おお、どうやら今一つ伸びなかったようだ。十点中五点!」
「おい、ふざけんな! 彼女がどういう気持ちであれを着たのかわかっているんか!」
大きな声でずんずんと大男がこっちに向かっていく、ズサァと女子生徒達が立ちはだかる。
ボディーガードを頼んだわけじゃないのに、そんな突き刺すような目をむけなくていいんだよ。委員長、創造隊リーダー。
大男さん、そもそも彼女はスレチです。俺のために水着を着ているわけじゃないし、勘弁してくれよ。
「剣神様は布面積が少ないのは嫌いっと、いい、情報がボロボロと!」
「どうしよう、今からでももっとおとなしめにした方がいいかな」
「さぁ、よってらっしゃい見て行って~! クレーターを作ったと言われる隕石おにぎりだよ~」
それぞれ皆人知れず頑張っている。俺は巻き込まれているのか、巻き込んでいるのか。
「司会、ちょっといいですか」
「なになに、どうしましたか? 後がつかえているのでドンドン行っちゃいますよぉ!」
うそん、心臓が持たない。休ませてくれ。
「ちょっとここで、休憩入れませんか?」
「休憩ですか? いいけど」
二ィっと笑う、鬼が。
「さてぇ、休憩の申請があったのでここで男子達に朗報です! 今、ポイントカードをクレジットカードにするとぉ、抽選で今回一位になる水着を着た『自分の理想の彼女』の入ったオーダーメイド抱き枕は当たりますよ~!」
「すみません、ポイントカードをクレジットカードにしたいのですけど」
おい、その際どいの服のままデパートを移動するんじゃありません。誰に何を着せたいんだよ、男子限定のはずですよ?
『ヲォオオオオオオオオオオオオオオ!』
「押さないでください、押さないでください‼」
「あれ、ちょっとやり過ぎちゃったかな? 私も手伝ってくるから控室で休んでいて」
デパートのお姉さんはそう言って、戦場へと突っ込んでいく。
その様子は服を奪い合う主婦のように見えて俺は疲れが、ドッと来ました。ふらふらになりながら、控室にやっとたどり着く。
「はは、まだまだ、こんなに」
控室には、水着に着替えている最中である多くの女子生徒が、俺を見て赤くなっていく。
「どうしましたか、丈様?」
濃姫の、まったく背伸びを感じさせない和装のような水着が俺の目に飛び込んできた。
「俺は、どうやらここまでだ」
「何をおっしゃっているんです? はぁ、こんなことで倒れるなんて。移動しますよ」
濃姫に差し出されたのは目隠し用のアイマスク、それをつけられて奥に手を引っ張られ連れて行かれる。
真っ暗が心地よい、俺は今考えない。
放心していた。
「そのままでいいですから、聞いていてください」
まて、今自己修復しているから。ストレスは突かれ過ぎると戻らなくなるんですよ?
「丈様だけでなく、勝倉様まで信長様の刀を使いこなしました。それでこれからのことを見越したところ、せめて彼を丈様レベルまで引き上げようと思っています」
昼寝、しよう。決めた。
「それを、長谷川先生の後輩様に相談したところ、許可してもらいました。つまり、私と勝倉様はヴァイマン家のお誘いは受けず、少し山に籠ろうと思います」
……、え? えええええええ! お前それ、いつ聞いていつ決めた⁉
ガバっとアイマスクを取る、意識が瞬間的に覚醒した。
「それって‼ 俺は一匹オオカミで峰空生徒全員の訓練に参加するってことか‼」
「男なんて少ない方がいいじゃない。その方が集中できるわ」




