第六十五節 二章エピローグ
前回のあらすじ
まだまだ、日々大切なものを見つけに行こう。
キリルの父もきっとこんなやり方以外でやりがいをきっと見つけられる。
怪しい存在は俺の手で消滅させたのだから。
「それで、東都ジオリ事件はアンタ一人で全て解決というわけね」
「え、うん。そうだよ~」
本当は勝倉にも手伝って貰ったし、濃姫も最後俺達に協力してくれた。けっして、一人じゃなかった。でも、
「濃姫くんは今回やり過ぎな部分があります。これから少しの間、君達には詳しく事情を聴いていきますのでそれまでは話をまわりに合わせていてください、いいですね?」
怒気を込めて刷り込むように注意される。
「も~、これでも彼、優しく言っているんだぞ~。色々やらかしすぎ~」
話の全体像を把握した、長谷川博士とその後輩に怒られてしまったんだ。
ほんと、怖かった。
世良は大体の話、陰ながら協力している峰空の一年生に聞いたのだろう。
ちょっと会話がかみ合わないけど仕方ない。
「ええ、カッコよかったですわ。私を持ってゴーレムを討ち倒す姿、全てを預けたものとしてはもう軽く相思相愛を超えていました。その余りの興奮で体が熱くなってしまい、戦った後の夜、丈様はお疲れだったようなので、近くで慰めて」
スッと世良の目が細められる。
あ~これって誤解されていますよね~。見てない聞いてない~。
あん‼ ゴソ、ゴソ? うん、知らない。
「重度のロリコン、死ねぇ‼」
暴力のハピィィセットォ、頂きましたぁ!
屋上、俺は濃姫と背中合わせで意識を取り戻したようだ。
彼女は長谷川博士の後輩に事情を聴かれて身動きが取れなくなりそうになっても、内部調査をしていたといって俺の傍にいる権利を勝ち取ったらしい。
そのため、訓練の時間一緒にいることが出来ている。
もっとも、長谷川先生の後輩には聞かなくても想像できることしか話さないのに対し俺には包み隠さず伝えてくれていた。
曰く、完全に黒だと思ったキリルを秘かに調べたらしい、商店街の聞き込みとかで。
すると、怪しさ抜群のキリルの父親に行きついたそうだ。
それで後は、ダブルデートでこの町で暗躍する組織を排除するために動くことに決めた、という。
「丈様、今回の敵は強かったですか?」
「ん? そんなことを聞いてどうする?」
「いえ。私はまだまだ、敵は闇より暗い部分にいるとふんでいます。ゴキルが秘かに連絡を取っているそぶりがありましたし。聞き出そうとしたのですが教えてくれませんでした」
丈様を煩わせる前に、ひそかに潰そうと思ったのですが、そう、言葉をこぼす。
「今回も実験の一端だった、私はそう思えてなりません。あの父親に巣くっていた獣をご覧になりましたか?」
実は気になって調べていた、剣歯虎と言われる、肉食獣だったらしい。
「あれは、心の闇というものではありません。私達と、同じ力を感じました」
つまり、裏にいるのは超能力者という事か、厄介な。
いいさ。今は切磋琢磨しよう。よくわからない敵に足元をすくわれても嫌だしな。
風が会話を断ち切る、余りにぽかぽかした陽気に眠くなりそうだ。
「昔、昔、ある人は結婚する時に御父上から懐刀を渡されました。夫が馬鹿で自分の身に被害が及ぶようならこれで殺せと。でもその人は言いました。
『そうですね。でももしかしたら、これで御父上を殺してしまうかもしれません』
敵を討つ、身を守ることには使わないかもしれない。
そういったら笑われました。その父はもしかしたらと思ったのでしょう。
夫と結婚する時に懐刀を持たないといけないのに懐刀を持ちたくない。
こいつはもしかしたら懐刀で自分の身を守りたいわけではなく、懐刀として守りたいものを守りたいのではないか、と」
い、いきなりなんだ?
太陽のように眩しい、笑顔がそこにあった。
「遠い遠い、昔の話です。目は覚めましたか? そろそろ、行きませんと」
「ど、どこに?」
懐刀。それって、織田信長を人知れず守った懐刀としての過去――
ピンポンパンポーン。
『こらぁ、方後丈‼ 私のホームルームをすっぽかすな~』
あ、ヤバ。危険信号だ。
~*~
「ごほん、じゃあ、揃ったことだし放課後のホームルームを始めるよ~。その前に、転校生だぁ‼」
だから‼ もう――以下略、言いたいことは分かるだろ?
「喜べ、方後くん‼ 君にやっと出来る、正真正銘の男子高校生の友達だよ~」
ガラっと入ってきた、そいつは陰キャの癖になぜか陽キャの雰囲気を出している、
自ら告白して玉砕したことありそう、そんな男子だった。
なんか、いろいろと知り合いに似ているよう、な。
「初めまして‼ 勝倉 ハジメと言います! そこにいる丈の友達です‼ うぁあ、美少女ばっかり‼ く~、春が来たぁ‼」
「……」
うわぁ。ダルい、ダルい。
しん、と静まる教室内。俺は長谷川先生に発言を許可してもらう。
「長谷川先生、返品で」
『異議なし』
女子生徒達の気持ちと俺は、一つだった。
「どうしてだぁ~あああああ‼」
勝倉が吠える、うるさい。しかし周りの空気が賑やかになった。
「どうした、来いよ」
「え、ボク?」
「ああ」
その美少女は廊下からこちらを覗いている、男性服から女性の服装に変えたようだ。
遅い、手を引っ張って中に引き入れる。
「初めまして。俺は方後丈、お前の、可愛らしいお名前を聞かせていただけませんか?」
歓迎する、よろしくな。
赤い顔をして下を向きながら、もごもごと彼女は喋り始めた。
「ボ、ボクはヴァイマン。キーラ・ヴァイマンでしゅ‼」
あ、噛んだ。
まだまだ、お互いは知り合ったばかりだ。
これで二章は終わりです。
明日から三章 緊急集団序決訂申戦 を投稿していきます。
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