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第百二十一節 最終決戦

前回のあらすじ

三人の構成能力者がいた。

一人はこの世界に『空間』を作り出して、あやゆる器のように全てを包み込み、

一人はその『空間』を満たすように、モノや人をその『創造』で溢れさせた。

最後の『起点』、触れるものは覚悟せよ。その先にあるのは一か、またはゼロか――。

 


「ところで信長よ。どうして明日であるのか? 今すぐにあ奴らを殺せば、世界は簡単に我らのものぞ?」



「……、はたしてそうでしょうか?」



「ぬ、どう意味だ?」



 勝倉である信長、るうくんの体を乗っ取っている家康が数十人の武将に囲まれて話している。秀吉である≪武決アウトサイド一位≫、は聞き耳を立てるだけで会話に入る気はないらしい。



「刀が、私の心を乱してくる。何か、大事なことを伝えようとしてくる。実休光忠を渡したのはそれが理由です。敵として私の前に立ちふさがるなら、必ず――」





 背後を取った! 今なら、確実に倒せる!


 過去から戻ってきた、それは勝倉に全てを背負わせてしまったあの場面、武将に乗っ取られるのをただ見ることしかできなかった俺をしり目に、意気揚々と武将達が立ち去る、その時に俺達は彼等の後ろを取っていた。彼等目掛けて、全力の攻撃を加えてやるつもりだ!



信刀のぶとう』と名付けられた刀で、信長に戦闘不能の一撃を与えようとして!




 でも、


 ガキンンンンンンンンンンンンン‼

「使いこなせるだろう、でもそれがこいつたちの運のつきよ!」



方円ハマ‼」

「一の技、『アーサー』‼」

「魂泥人形、【人格操作(マリオネット)】‼ 土、水‼」



 黒と水の、今にも動き出しそうな小さい人形が出てくる。ゆらゆらとした不完全なエネルギー体のような人形が愛乃の目の前で融合する!


「心切り‼ 刀貸とうたい――」

「宝石『虹隻石にじせきいし』、解放‼」




「信長様‼」


 濃姫が悲痛の声をあげて。しかし、その端々に何処か安堵しているようにも。


 それぞれの技が光った。制限した場所に特大の武器総攻撃、エクスカリバーの必殺技、融合した人形は地面に揺れを与え、誘い込むように霜柱が出来ているズレた隙間に落とそうとする。


 夜東先輩も過去のプライベートビーチで見せた俺への一撃以上の攻撃。


 真智、彼女は、その攻撃の威力を、更に上げる!


 女子五人と俺は、これで決めるつもりだった。でもそれを、簡単に!


 三人に集中して与える攻撃を家康達はものともせず、よけたり、攻撃を受け止めたりしている。



「いい、いい練習相手ですね信長様‼」



「ほう、こうなることが読めて、さすが信長といった所か。こいつらをここまで変える何かがあるとは、いやはや興味深い」


 く、そ‼ どうして!  不意を突いたと思ったのに。そしてそのまま、家康と刀を受け取っていた信長秀吉二人が重い重圧を纏って切りかかってくる。


 でも、好都合だ‼



「姉貴ぃいいいいいい‼」



「≪女神の(ヴィナァシィズ)ハエ取り罠(フライトラップ)≫! じょ~くんの友達、彼を暴走させた反撃の反撃をさせてもらいます!」



 三人の攻撃を俺が受け止める!


 姉貴は敵を再設定した。敵はもちろん家康の陣営、味方は男子刀高校生を入れたようだ。つまり、


 勝倉の暴走はそのまま攻撃と設定した! 


 ブウンンンンンンンンンンンンンンンンンンン‼‼‼‼‼‼


「ぬう」

「いい、面白い!」

「各個撃破するつもりか……」



 三人、信長と秀吉、家康とその部下をそれぞれ包み込み俺達ごと『峰空高校』の隅に姉貴が飛ばす。真智とキーラと俺は信長の方に、世良、姉貴、愛乃は家康の方だ。そして、秀吉は夜東先輩一人だけ、でも、勘の良い武衛大の部隊が向かっているのが見える。



 ズウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼


 空高く上り、花火のように中心から飛び散って三つに分かれる。その瞬間、



「信長、まずはお前からだ‼ この世界を、好きにはさせない‼」


「ふん、面白い。お前の実力、試してやろうではないか。家康‼」


「分かっておる、受け取れぃ‼」



 刀を『武将統一(ワールドキネシス』で、直接投げて寄越してきた⁉ 姉貴の超能力で外壁のように中と外は行き来できないはずなのに‼ 同じく秀吉にも何本か渡したようだ。


 カチャ、と腰に差される数本の刀。



「さて、遊んでやろうか、なあ、幼子よ?」


 まるで、つまらない自分の子供を相手にするように見下した目をしている。


 いいぜ、絶対にお前を――。



「信長様、ここは私、山科勝成やましなかつなりにも武功を分けていただけないでしょうか?」



 一人の男子高校生がこの不安定な足場の中、肩ひざつけて頭を下げる、俺と信長の中を、横やりするかのように。



「信長様、私もそれが良いと思いますわ」


 濃姫がそう助言した、それが、信長の決め手になったらしい。



「いいだろう、勝手にせい」



「ありがとうございます。では――」



「うっくあ‼」


 ザギィンンンンンンンンンンンンンンン‼


 ぶった切られた? 姉貴の超能力を!


 でも、信長だけは乗ったまま。だけど、俺達は落ちて、いく!



「丈様、キーラ‼」


 ふわっと浮かぶ。どうやら、落ちるスピードを真智が軽減してくれたらしい。



「さて、それでは始めますか? 君の世界の、収束を」


 彼は、さっきとは打って変わってとてもだるそうに見えた。




 油断していたかもしれない。敵は、三人だけじゃない!



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