第百十六節 超能力の真実
前回のあらすじ
何故か過去に来てしまった俺達。
そんな中出会ったのは、本能寺に向かう織田信長の一行だった。
一触即発の空気に俺は言ったこととは――。
本能寺に着いた。これから織田信長はいろいろと茶会の準備で忙しいらしい。
それを教えてくれたのは、成金趣味のような格好の足軽、ごほん、言いなおそう。小姓衆の一人だ。名前は教えてくれなかった。
まだ俺達を信じられないらしい。そのくせ丁寧な言葉を要求してくるからたちが悪い。
「いいか、信長様はああいってくれているが私達はお前達を仲間と認めない。私達に認めてほしかったらこれから武功を上げるんだな‼」
いや、べつにどーでもいい。命を助けられたとも思っていないから。そもそも何で人の前に出ただけで殺されそうになり、それを勝手に許した気になっている部下に感謝しないといけないんだ。
て、いうか。なにここ?
「どこの馬の骨と知らない奴らの寝床なんて、馬小屋で十分だ! しっかり馬の世話をできるなら少しは認めてやろう!」
そうふんぞり返って出ていく彼に、内の女子はブーイングをプレゼントしていたよ。
でもブーイングするわりには、内の生徒は優秀だった。俺がまじめにやろうと言ったら馬を管理する人さえ驚く丁寧な世話をしてやってのけたよ?
て、いうか。どこでいつのまに習ったんですかねぇ?
「丈、あんた邪魔! ちょっと外に出ていなさいよ‼」
尻を蹴られて外にほっぽり出される。はぁ。自分は何をしているんだろうな。
尻をさすって、月が見える位置の原っぱに腰を下ろす。もう外はいつの間にかとっぷりと暮れている。
考えることは沢山あった。
鎺は、どうしてこの時代に飛ばしてくれたのだろうか。しかも、
「本能寺って、信長。あいつはもうすぐ死ぬだろう。そんな奴と関わらせるなんて」
そう、今日は五月二十九日。このまま六月一日が来たら、信長は明智道秀のせいで自殺するんだ。
未来を変えろってことか。残念ながらそんなつまらないことに興味はない。
きっと、俺の生きている未来は信長が死んだことで、たどり着いた世界だと思うから。
「……剣神様」
少し緊張して声をかけてきたのは根本だ。どうやら大体終わったらしい。彼女の言いたいことは分かっていた、俺のことについて説明を求めているんだろう。
「ああ、今行く」
馬小屋では、美少女六人が藁で正座をして待っていたよ。
俺もちゃんと言おうと、したかったのだが、こうして見つめられるとこっぱずかしいな。
「信長と会話しているときにも言ったが、俺が、お前達が使っている超能力理論の開発者だ」
ざわっと変な空気が流れる。どうしても真智以外の女子は信じられないらしい。
真智は、俺が開発者だと知っているわけじゃない。でも政府との取引の事、彼女が開発したとされる年代を変えたこと、それを理解しているから辻妻が他の人よりあるんだ。
「ば、バカじゃないの! どうして生まれる前に出来た理論をアンタが、まさか‼ 真智!」
「ええ、その通りだ。私が歴史を変えた。私のことを信じるなら、彼の言っていることはあり得ない話じゃない。いや、むしろ開発者だったから男子という性別の中、超能力が使えたんだと今ならはっきりわかる」
「ふぇええ、でもぉお、そう思っているだけで実は長谷川先生の友人という方が本当は開発しているんじゃ」
「確かにそう思うのも仕方ない。じゃあ、久しぶりに講義としようか。超能力理論、別名超弦理論を応用した四次元フィールドという基本形は、人は九次元ということから成り立っている。これは知っているな」
「当たり前だよ、じょーくん。確か九次元を増やすことによって超常的な力を持つことが出来るんでしょ?」
「でも、それは少し違う」
「どういうことだい。待てよ、今思うと母様、君の正体知っていたね! だから方後くんにちょっかいを!」
いやいや、多分知らないぞ、そうだよな?
「人類が超弦理論で動き始めた時から、その力は一人で出せる力として定着していった。でも厳密には他人に次元を借りている力なんだ。さらに次元というものを能力で表現するという過程があるのなら、他人と一緒の次元じゃないと感じることも見ることも出来ない、つまり」
「どゆ、こと?」
「世良」
「な、なによ?」
「この世界、全ては『電波塔』という、超能力の威力からその特異性、次元の現実化まで。すべてを管理する人間を俺達は決めたんだ。その『電波塔』としての役割が世良。お前の超能力という強さの本質なんだよ」
「う、嘘だ。嘘だ! 私が努力した結果だから、この力が」
「ああ、その力自体はお前の努力の成果だ。でも潜在能力的には、俺達の時代の超能力者は誰も世良には勝てない。もちろん俺も一緒だ。俺は国の監視下の元、世良の『ストッパー』の役目を担っている。本当は『電波塔』というものは超能力は使えない。でも世良自身が超能力者になるために俺の次元を混ぜこんでいるからお前は使うことが出来る」
「な、なによなによ! だったら、私が世界を壊したいと思って全力を出せば滅ぼせるっていうの‼」
「そのために俺という『ストッパー』なんだが。しかしそうだ、もしお前が超能力者を暴走でもさせたら、世界は終わるだろうな」
「ちょ、ちょとちょとちょと。政府も絡んでいるんですかぁ!」
「つまり、次元を大きくすれば、別に男子でも超能力者になることができるってこと、ですよね。丈様!」
「え~でも少しよわいな~。長谷川先生から聞いただけかもしれないし~」
「なら、国が隠そうとした『超能力操作』を見せよう。世良、姉貴に心の底から全て渡したいと思ってみてくれ。前に言っていた、応援みたいなものだ」
「わ、わかったわ。う、うううんんんんん‼」
俺は、 ストッパーとしての役割、『超能力操作』で姉貴に力が移ることを確認した。
このまま、超能力は一人一つという概念を壊すつもりだった。
「よし、姉貴、空を飛ぶイメージをしてくれ。きっと飛べる」
「え、うん。む、む、くむむ???? ふぇあ!」
ぷかぷかと、姉貴が少し、浮かんだ。≪女神のハエ取り罠≫の力には決して見えないだろう。
「ど、そうなっているの」
「あはは。僕も特殊なちからをもったけど~、けんしんさまはそうぞ~いじょう」
俺が博士だということが、この六人に納得してもらえたようだ。少し、なぜだか嬉しかった。
「信じて貰えたか。実は、政府には口外するなと言われている、けど秘密を隠している余裕はもうこの時代にも未来にもないだろう。帰ったら、世間に全てを公開するつもりだ」




