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第百十節 悪魔か、それとも

前回のあらすじ

真智と世良の命を賭けた力と力のぶつかり合い。

勝ったのは、ギリギリで世良だった。

でも、負けた真智の本当の狙いは――。

 時はさかのぼること、数分前、


 型も何もあったものじゃない。きっと、刀を使いこなすのに精いっぱいで統率を取ることを《武決一位»達は諦めたのだろう。



「お頼み申す、ここに《序決七位》! 『剣神』の異名を持つ方後丈生徒会長、若様がいると聞いているのだが‼」


 そこに現れたのは、現代によみがえった武士の格好をしている、ちょんまげの代わりにポニーテールにしていた男子高校生だった。


 腰にはもちろん、るうくん、弌鯨いちげい 流隆るりゅうが俺から奪った刀を持っている。



「生徒会長に会いたかったら、まず僕を倒してから行くんだね!」



「いたぁ! 侵入者め、わたしおめめを通り過ぎるとはい~どきょ~!」



「一斗から、こやつをおいだせと言われたのだが、余りにも戦力を集中させ過ぎているきがするのじゃが」



「何か策があるんだ‼ 仮にも教官補佐だった男。しかもさっき忍者のように入ってきた刀男子高校生を軽くひねってカッコイイ刀を」



「はいはい、分かりましたから。あなた、欲しかったのですね。いっそのこと、この方から奪っては?」


「……‼」



 生徒会室の入り口に集まるのは、『一桁ワンカラム』の四人と根本ねもと 愛乃あいのだ。


 さらに扉を守るキーラを加わってその侵入者と対峙する。


 それにしても今思い出したが、『一桁』には『白』もいるんだよな? 


 いったい誰だ。そもそも何しているんだ?



「吾輩は女を切る刀は持ち合わせていない。そこをどいて下さらぬか?」



『へえぇ』



 今はいいか、というか彼女達の心に火が付いたよ。あまりにも舐めた口を利くこいつに、逆に興味を持ったらしい。



「君、名前は?」



「名乗る名前はないでござる」



「そう。よし、ならお互い無駄な戦いで会話する時間はいらないね。一回の攻撃で決着を付ける! それで僕に勝ったらここを好きに通ればいい」



「前にも言ったように、吾輩に女に向ける刀は持ち合わせて――」



「呼べ、【宝剣召喚(レジェンドキネシス)】」



 腰のエクスカリバー。その気迫に俺はどうしてか、彼女にはもう簡単に抜けるだろうと思った。


 そして、それは本当のことになる。


 シャララアラララララララララランンンンンンンンンン‼


 神気を纏った、今までにないくらい力強い剣身が正しくキーラの力を認めているようで。


 それに、



「【重力】百パー」



「宝玉、『空気』×よん」



「……協力最大」



「さぁ、あなたの精気はどんなあじなのでしようね? 『纏う女夢魔(フルサキュバス)』」



「ぬおおおおおおおおおおおお」


 レッドとブラックの力で地面に叩きつけられていた、グリーンは切り取れないものはないと思われるハサミを向けていて、ピンクはその体を妖艶に変え手の指に軽くキスをする。そのキスをした指に触れたら不味いことが遠くにいる俺にでもわかった。


 このメンバー、いつもそれぞれ互いに競争しているが、このメンバーが手を組んだら誰も勝てないと言われている。


 その速さ、強さ、スキのなさに吾輩野郎は強さの違いに気づかされたらしい。


「これが、『一桁(ワンカラム)』の力。なるほどでござるな。しかし、吾輩は一点、弟子入りしたいと思っていた男から勝利したい。他はどうでもいいのでござる」



「よく鳴く男性ですわね。そこまでしてほしいのは何なのですか? この精気、名声、金、じゃないですわね。それは」



「吾輩は今まで女に守られていた、だから誰かを守る力が確認できれば、吾輩はすぐにここから消える。そして、好きなあの女性に告白させてもらう」



「……それだけのために、あの≪武決(アウトサイド)一位≫についたの?」



「吾輩はそれしかなかった。もう、時間がない」



『……』



 全員、力を抜いた。そして顔を見合わせる。



「なら、その覚悟を僕に示してもらうよ。僕に勝ったら、嫌でも方後くんと戦わせてあげる」



「……吾輩は」



「僕は、元男だった。それに言わせてらうけど、ここまで聞かないと戦えない時点でその女性はたぶん君には相応しくないよ。守るとは、自分の信念を曲げる、きっとそういうことなんじゃないかな」


 男は押し黙った。その目にはプライドが自分の思考を狭めていたと気づいたようだ。そして、その事実を女性に、しかも敵に言われる時点で、彼はとても弱いと思った。


 その言葉は俺自身にも返ってくる。どうしてか、親近感が湧いた。



「よろしくお願い申す」



 はっきりいって、キーラ一人でも問題なかった。俺も生徒会室にいる人全員、心配は全くしていなかった。



 そして、エクスカリバーはキーラを認めた初陣を勝利で飾ることになる。



「ぐす、くそ。どうしてなのかな。わたし、これでも起点リーダだからゆうしゅうだと思っていたのに。とてもいっぽめが、ううう、遅かった。もしかしてこれからも」



『なら、俺の力を使って構成能力転換コンバートしてみませんか? 根本さん』






 突然声をかけられたように、愛乃が誰もいない後ろを振り向いたのが、俺が見た最後だった。





 もっともその声は、俺には聞こえなかった。



すみません。二日サボってしまいました。イイタチイリュウです。

今まで毎日投稿してきたのですが、ここに来て穴が増えてきました。

少し、仕事のことが忙しく毎日投稿できない形です。

でも、梅雨にも負けず、投稿を頑張るので、高評価、ブックマーク、感想などよろしくお願いします!


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