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第百八節  気持ちの弱さ

前回のあらすじ

自分たちの親を攫おうとする男子至高派。

しかし、すぐに突っ込もうとする俺はまだリーダーの自覚が足りなかった。

まだ、俺はサポートしてもらってばかり。でも、いつか――。





「方後くん!」


 生徒会室兼、総指令室となることになった部屋の入り口でキーラが待っていた。



「キーラ、何が起こっているか分かっているか!」



「大丈夫! 世良さんから君を守ってくれと言われたんだ。この生徒会室の入り口は僕が守る! 君は各所に指示を飛ばしてくれ! 中には教官補佐もいる!」



「頼む‼」



 俺はドアを蹴破るようにして飛び込んだ。



「方後‼」「丈様!」「丈、指示をくれ!」



 リクと濃姫、勝倉がそれぞれ声をかけてくる。



「状況は?」



「俺直属のチームによると、この学園の入り口前は刀を持った男子高校生が集中している」



「おかしいだろ⁉ こういうのっていきなり相手の牙城を落とそうとするものなのかよ⁉」



「うるさいですわ。静かにしてくれませんか勝倉様? 今情報を集めている最中なんです」



 どうやら、敵はこの戦争を終わらせるだけの戦力をいきなりぶつけて来たらしい。


 そこまで親を人質にされたくない、か。もしくは何か作戦がある、のか?


 てっきり、使い捨てと言っていた少女達で攻めてくると思っていたのに。



「入口前での相手のリーダーは分かるか?」



「御園生真智さんです。生徒会長」



 キリッとした目で伝えてくるのは学級委員長である。片手を耳に当てテレパシー能力者からの情報を纏めているようだ。



「どうする気かな本隊長? 俺は取りあえず保護者をサポートする方針にした方がいいと思うけど? 敵はまだ中に入って来ていない、時間的余裕はあると思うよ?」



 リクがそう真面目な顔で言ってくる。そう、今危険性があるのは明らかに何かしらの方法で侵入した教官達の方だ。人数は数十人くらいだろうが人を殺してもいいと思っている奴がいるのは確認しているし、もしかしたら侵入方法は鬼丸国綱かもしれないとも思っていた。


 でも、



「俺も勝倉の意見に賛成だ、少し不気味だと思う。一先ず様子見したいところだが刀を持っている人間は心が不安定になる、暴れるやつが出てきてもおかしくはない。町を守るためにも『一桁ワンカラム』から何人か」



『私も行くわ!』



 この声は、世良だ!



『あいつは私が止める。付き合いは短いし、転校して来たくせにムカつくやつだったけど。あいつは私のライバルに相応しい人だった、実力的にも、恋のライバルでもよ‼』



「オーケー教官補佐の俺が許可するよ。戦車隊が前線を切り開く。君はバックでその力を振るってくれ。通信科、機甲科に通達‼」



「分かりました!」



『ふん‼ 足を引っ張らないでね‼』



 世良は姉貴と一緒に保護者を助けてもらう気でいたのに、一人で突っ込まないでくれよ! 俺は、お前を。



「おい、勝手に決めるな! 俺はまだそれでいいとは」



「方後、決断が遅い。『先手は馬鹿でも勝つ』。まだちぐはぐな俺達にとって、せっかくのアドバンテージを失うぞ?」



「それは、どういうこと――」



 ドごオオオオオオオオオオオオオオオオおおおおんんンンンンンンン‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼



方円ハマ‼』



 振動がここまで響いてくる。かなりの威力の何かがこの指令室めがけて飛んできたようだ。




「確認しました! ミサイルが届く飛距離限界地点からの攻撃だと思われます‼ 世良さんの超能力よって防ぐことが出来ました!」



「先輩達のことだ。女性が前に出て来る時点でその功績を上回る力を見せつけると思っていた」


リクはそういって冷静に分析する。


「くそ‼ 俺だけを標的にするんじゃないのかよ‼」



「甘えたことを、いうな‼」



 ガチっとリクに襟元を掴まれてそのまま壁に叩きつけられた。



「ぐ、いてえ。なんだ、よ⁉」



「いいか? 戦場はここだ。もう誰も安全じゃない! おままごとじゃないんだ! 死ぬのが怖くてもいい、死なせるのが怖くてもいい。だが、仲間に助けてもらっているのに敵への文句しか言うことしかできないのなら俺がブタ箱にぶち込んでやる‼」



「リク様、そこまでです! 流石にやり過ぎです!」



 濃姫が壁に張り付いた俺とリクの間に割って入る。リクは睨んだ目で、悔しそうに唇を嚙むと、俺と世良を繋ぐテレパシー能力者と通信科にそれぞれ指示を飛ばし始めた。



「みんな。くれぐれも油断するな! 絶対に方後丈を守るんだ‼」

『はい‼』


(方後、俺達の学校に転校してこないか?)



 床にずり落ちた俺はその言葉の意味にやっと気づいた。




 あれは、俺というやつも精神的に弱いことに気づいていたんだ、と。



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