第百五節 生徒会始動
前回のあらすじ
自分の娘の体で俺達を翻弄するメイド長。愛乃だけじゃなく他の人格の超能力も使えるらしい。
その中で一人つの人格の力は俺達を軽く凌駕できる力を持っていて――。
「むぅ~せっかく姉弟水入らずで学校運営しようと思ったのに~」
「姉貴は、突っ込まなかったけど今年で引退だったんだよ。本当に副会長になっていたらどうしていたんだよ?」
「真智さんにまた年を交換してもらうつもりだったよ? だって彼女がふーちゃんの後をついていく前にいきなり、『やっぱり、一年だけにしてもらっていい?』て聞いてきたこともあったし」
「一年間、か。でもそれって結局なれないんじゃないの?」
なにせ、真智が生徒会長だったから姉貴がなることになった。つまりそれが元に戻ればこんどは真智が副会長になって姉貴は卒業するだけ、だよな?
「も~また難しく考えて! じょーくんの悪い癖だよ? 『完全はこの世界にはいらない』んだよ? もし完全しかこの世界になくなったらどうなると思っているの?」
「いいことだろ完全は。それが出来れば争いはなくなるし」
「いいから周りを、見てみなさい! ドン! これがじょーくんの思い描く完全に存在するかな?」
そういってきた。あのさ、姉貴。俺はそれから現実逃避したくてたまらなかったんだけど、なんで現実に連れ戻すんだよ。
そう、周りには、
「お嬢様、なにかお飲み物はいかかですか?」
「お嬢様、熱くないでしょうか?」
目が座った状態の、『お嬢様』と言われている世良が生徒会室のソファでメイド達から宝物のように扱われている。
そして、
「白合さん、なにか私はかわってしまったようです」
「いいのいいの。そのまま進んできて委員長?」
白合と会計になったらしい委員長がお互いを見て、目を離さない場面が見える。ああ、幻だろう、そうだそうに違いない。
ああ、極めつけにここにはいないキーラは学校の先生達からお叱りを受けているらしい。
俺の、生徒会は。
会長、俺。
副会長、キーラと世良
会計は委員長と、できもしないだろうに勝倉。
これが今年の生徒会メンバーということになった。
「なんか、これから大変だっていうのに、とても疲れる組み合わせだと思う」
「今更ですわよ丈様? 舞さんと話していないでこの書類を確認してください」
「ありがとーう濃姫ちゃん! 愛しているぜ~!」
「ウザイですわ」
「ぎゃん‼‼」
あと、最近勝倉にべったりな濃姫もここにいる。
勝倉に会計は難しいだろうけど、勝倉のカバーを濃姫がしてくれているのなら別にいいか。
というか、濃姫が会計をやったらいいんじゃね?
俺は現実逃避から逃れられない事実にやりきれない思いを抱えながら、仕事だと開き直って濃姫が渡してきた資料に目を通す。
「なにこれ? 関係者説明会?」
「そうです。この戦闘は世間にこそ危険視されていませんが、関係者にとっては説明会の一つぐらいあってもらわなければ困るという事らしいですね。主な議題は『国に方後丈の超能力を禁止してもらう』という内容らしいです」
「……そうか」
それで解決するなら、俺は――、
「馬鹿なことをいうなよ丈、お前は何も悪くない。むしろ問題を大きくしているのは国を後ろ盾にして脅してくる武衛大の男子至高派なんだろう?」
ソファにどさっと腰を下ろし両手をそれに引っ掛ける勝倉。
そうよ! 剣神様の力は国の宝のはず! それを無関係問題で濡れ衣を着せられようとするなんて、見返してやるチャンスが出来たと喜ぶべきです。
大きな声を張り上げてくれるみんな。
チクリと刺す、俺の目標だった、超能力を作って変えたかったもの。
それは結局、俺には荷が重かったと感じるほどひどい世界になっているんじゃないか。
「丈」
「世良、どうした?」
「前にも言ったけど、間違っているなら私達が止める。あなたは信じて間違うか、信じないで間違うか。どっちがいい?」
その目は、とても真剣だった。
「……なんて、な! 俺は全然なにも思っていない。そんな心配するなよ。特に世良。お前、俺に優しくなったんじゃないか?」
「じょーくんとせーらちゃん。うんうん、やっと昔のように仲良くなってくれてお姉ちゃん嬉しいな!」
「あ、姉様! 違うんです‼ 私はなにも思っていなくて、姉様が一番で」
「そういえば、丈。さっきキーラちゃんが『じゃあ噂どおり、僕が会長になった方後君と二人きりに』っていっていたけど、何すんの?」
「絶対にダメぇええ!」
「お嬢様、私達が消しましょうか?」
おいおい~、柄にもなく強がった結果がこれかよ~。
騒がしいこの関係。
しかし、悪い意味での騒がしさは静かに、静かに近づいて来ていた。




