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第百四節 世良の敗北

前回のあらすじ

餅煙秋もちえんあきというボーイッシュ少女が加わっての、

連携は意味をなさないようです⁉

そして根本さんが話すのは意外なことで、世良も参戦して。


「へいへ~いどうしたどうした~!」



「くそ、制限能力のような力と根本さんの超能力。ダブルスキルは慣れないと、キツい!」



「なによ! 負けてなんかやってあげないわ! きゃぁ!」



「距離を取れ、世良!」



 吹っ飛ばされた世良に上手く自分の体をクッションにして受け止める。世良の攻撃は基本的には円武器のオートとセミオート、手動の三つをその時その時で変えて使っている。


 それを根本さんのお母さんは円武器の挙動で把握して、手動の時は世良に至近距離で空手のような攻撃をぶつけて考えさせないようにしているんだ。



「藍乃ちゃんの能力がひとをあやつるだけだとおもっていたらお~間違いだぞ~。基本的に空間的起点能力と君も言っていたじゃないか~? 『無から有を生み出す』、それは感情でさえも何もない所からうみだすこととかわらないぜ~!」



 そういうことか。だから頭にもやがかかったかのように邪な考えが次から次へと湧いてきて、纏まらないのか。



 今の俺には、彼女を叩く方法が、思いつかない。頭をめぐっているのは、



「だからって、根本さんのいやらしい考えを俺の頭に植え付けないでくださいよ!」



「うふ~。もう君しかいない。うちの子の関係、銀河の果てまで進んでいきなさ~い!」



「うるさい、うるさ、い。何で私の頭にも根本さんが、いや、いやぁ! 私の一番は姉様なの!」



 その言葉を使った瞬間、根本のお母さんの動きが、ピタッと止まる。


 ジジジ、とまるで機械音を放つように、無機質な声と目で彼女は静かに言葉を紡いだ。



「特定時間の間に禁止ワード一回使用により、相手の攻撃を軽減します」



 そうなのだ。この超能力、おそらく根本のお母さん本来の力だと思われるが、これが愛乃の超能力で作ったスキを上手く利用している。



 今はまだ、世良の一撃が一番恐ろしいと理解しているのだろう。攻撃の威力軽減に力を使っているようだが、これが攻撃に変わった時、おそらく世良と俺は負けるだろう。



「世良さん、諦めな~。もうおやこうにんなんだよ彼は~! ほれ、だいすき(まんじ)がため~」



「ちょ、ちょっとやめてください。変に愛乃さんに誤解されたらどうするんだぁあああ!」



「すりすり~。いや~うちの家系は女の子しかいないから新鮮だな~。旦那は論外」



「た、助けてぁ‼‼」




 いろいろな所が当たって、最も、つつましやかな部分が多いが、スキンシップのつもりだよな? でも、愛乃の姿で抱き着かないでくれ。変に意識してしまうだろ!


 ああ、ちょっとどこ触ってき、ひやぁ!


「こ、殺す殺す、円武器、全て起動、乱れているアイツに天国への道を!」



 ズラララララララララララララララザザアザザアアアアアアアアアアアア‼‼‼‼‼



「へ~凄い凄い、こんなに円武器は準備できるのか~。それを私の思考遮断で超えて欲しい部分をぎりぎり超えて操作しているし、やっぱり」



 その景色は圧巻だった。


 この特殊空間の教室は広くなっていたはずなのに、その全ては外から飛んで入ってくる円武器で埋め尽くされていた。俺と根本のお母さん、その半径五メートルの部分以外には近づいてこないがまだまだ補充できるとばかりに教室の外で渋滞しているのが見えるぐらいだった。


 って⁉



「それ、大丈夫だよな、俺には被害はないよな、絶対だよな、なぁ!」



「アンタなんか、知らないもん!」



「あら、嫌われちゃったね~私も君も」



「母さん、天国で待っているから。バタッ」



 俺はもうあきらめた。しょうがないだろう、なんかもう五回くらい死ねそうだし、『圧切長谷部(へしきりはせべ)』も使った瞬間『どうでもいいことで』とそっぽを向く気もするし。



 刀の機嫌を取るのは濃姫を見て理解しているからな。



「あれ。そうなのよ! 今日は夜勤休みで、あ、はいはい。わかったよ~」



 誰と話しているのか、そうか。きっともう一人の人格としているのだろう。



 根本のお母さんが軽く光りに包まれた。すると、




 何処か安心する、最近会っていない人を彷彿とさせるようになり、優しく頭を撫でてくれた。



「じょうさん、よく頑張りました」



「しねぁあああああああああああああああああああああああああああ‼」



「使うの久しぶりなのですけど、八――、『波動』」



 ズブンンンンンンンンンンンンンンンンンンン、ピチャン‼‼



 パリパリパリパリパリパリンンンンンンンンンンンン‼



「嘘、でしょ? 私の円武器がすべて壊れた⁉」



 そう、嘘みたいだった。まるで力量が違う、この世界の力ではないかのような一撃によってすべての武器が粉々に砕ける。




 根本の別の人格はゆっくりと体を放してくれた。でも圧倒的の力を見せられても、俺は恐怖を感じなかった。



 そう、そもそも、この人は――、


 するとふっと意識が切り替わった。



「ごーかく! ここまで意思が強ければ大丈夫だよ~。私達メイドは世良さんを正式に候補者と認めますよ~。そして、いいこと思いついちゃった。メイドはこれから世良さんを主人として付いていくことにするね~。そしたらそしたら、いつも近くに居そうな主人以外との恋愛は自由だよね~‼ 頑張れ愛乃!」



「ええ?」



「はぁ?」



 決着は、世良の敗北によってきまったようだ。




 俺はなにもしていないけどいい方に転がった気がする、だよね?



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