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第百節  候補者

前回のあらすじ

『心切り』で出てきた力。

実休光忠だと、元々の『裏切り』で力が強まる刀から『信頼』で力が強まる刀になった。

その規則性は対義語のようなもの、らしい?





 メイドチームに入った候補者に、俺はせわしなく呼ばれ始めることになった。


 勝倉と喋った、それが最初で最後の隙間時間だったよ。


 しかし、二階図書館の住人達は誰一人として候補者を認めるつもりはないらしく目的の本を手に入れた人はまだ出ていない、それだけじゃなかった。


 ついでとばかりに本を読ませることで候補者の思考を自分たちに染め上げようとしていた。


 それはある意味、精神力を削る攻撃でもあるようで、一人、また一人とギブアップを宣言する。



「こ、これは、ええ、女性同士でこんな……」


 委員長が、毒牙に呑まれようとしている! 図書館の奥で『もう、退けないところまで連れていってあげます‼』、と笑っている声が、きっと白合(びゃくあい)だろう。


「ここ、と。相手のここを。押しつけあう? 同じ性別だからお互いの気持ちいい所を知っている」


 ダメだ、委員長! 気にしだした。そこは触れてはいけない! せっかく純真無垢な委員長だったのに。



「ふん、つまらないね。男子と男子こそ正しい形だ。そう思わない? 剣神様?」


 毒牙をものともしない、どんどんかなりの本を読破していく大歴(おおいし)。でも、目的の本は見つけられない。



「え、とですね、大歴さん。目的の本ってそんなに見つけるのが難しいのですか?」



「『召喚されて大魔力を持っても、魔術師になることはできないって⁉』っていう短編が載っているライトノベル。タイトルは分からない。だからセオリー通りライトノベルの棚とか調べているけど出てこないんだ」



「本当にあるので? そのライトノベル?」



「蔵書にはタイトルが隠されて登録されている、でも、一つ気がかりなことがあってね」


 いったい、何が気がかりなんだ。別に普通のライトノベルだと思う、けど。



「すべての学校で、登録されているんだ。おかしいだろう? 絶対にどの学校の図書館にあるって。それで、ヒントを手に入れるため、一人の百合の生徒を私達の世界に染め上げてやったんだ」



 ひぃい! 敵はお前だ! すぐに倒さなければ、この学校が俺にとって大変住みにくくなってしまう気がする!



「学校の七不思議、『その本を見つけたものは世界を制す』と言われている本らしい。嘘みたいな伝説級の本みたいだね」



「その本を、どうやって見つけろと?」



「そのために剣神様を呼んだんだよ。どうにかして?」


 む、無理に決まっている。



「あれだよ、あれ、『余界=界余(カラビ・ヤウト)』だっけ? あのプールで見せたらしい力を使ってどうにかできない?」


 こいつは、俺の切り札級の力で本一冊を探せと?



「使えるか! その力は暴走したってお前も知っているだろ⁉」



「ちぇ、いい案だと思ったんだけどな~。じゃあ、剣神様のテレフォンはノーカンということで」



『ダメですよ。使用済みということにさせていただきます』



 テレパシーが響く。俺は、彼女が直ぐ諦めたのでほっとしていた。あの力を使いこなせる気がしなかったのだ。


 一次元だけでも嫌だ。ハッキリ言ってもう頼りたくない。


 しかしそれは、きっと甘えなのだろうな。勝倉達を傷つけようとした光景が目に浮かぶ。最近は夢にも出てくるようになった。


 早く、トラウマみたいなものから抜け出したいとは思っているけど。



 ドガガガガガガガガガガガガガ‼



「な、なんだ?」



『キーラさんが、キレました‼ 二階図書館の住人を全員相手取るつもりです‼』



「こんな試練、認められない。ボクはどうしても副会長になるんだ‼ あの噂が本当なら方後君とずっといることが出来るはず‼ ここの本を一つずつ燃やされたくなかったら、ボクを認めろぉ!」



「やっぱりそうなりますよね。予想通りです」



 なにか面倒事が始まった。はぁ、キーラはあれでいて大人しい方だと思っていたのだけど。





 こういうのを止めるのも生徒会長の務めに―――ないない。




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