第九十九節 規則性
前回のあらすじ
副会長、それは――、
俺の姉に続き次々と会長の座を降りる高学年たち。
て、ええケンカ勃発⁉
まず始まったのは二階の図書館と一階の図書館を使った、本探しである。二階図書館の住人の試練だった。
複雑なことではない、指定した本を持ってくる、ただそれだけである。
ただし、一階と二階の移動は二回だけにしたようだ。それ以上したら失格らしい。
「俺はどうしたらいいんだよ?」
「呼ばれるまで待機しろってさ。まあ、気長に待とうぜ!」
俺と勝倉は訓練場にいた。鍛練ついでに早速、勝倉に聞きたいことがあったのだ。
「勝倉、お前さ。前キーラと戦っていた時刀に規則性があるって言ってたよな」
「ん、ああ。言っていたな」
「どういう、規則性なんだ? 実は俺、分かってないんだよ」
俺にたいして刀が教えてくれないことを勝倉は聞いた。この違いはなんだろう。
実休光忠が心切り出来ないことと、圧切長谷部の潜在能力。はっきりしていないことがあるので知っておいた方が役に立つと思った。
「そんな難しくはないぞ。今までの『心切り』を考えてみれば一発だしな」
「そうなのか?」
「例えば、お前が始めて『心切り』出来た実休光忠な。そのまま引っ張ってきた、武将刀召喚で付与された力は裏切りを感知することによって力が増す刀だっただろ」
まさか、それは偶然じゃないってことかよ?
「そして、『心切り』、武将刀が本来の持ち主である武将を裏切ってお前自身のものになった一段階上の解放能力。実休光忠の刀の解放をテレビで見たけどさ。信頼を力に変える刀だった。つまり、刀に付与された力と『裏切り』はそれぞれ紐づけられているんだよ。裏切りの逆は信頼という感じでな」
言葉でいうと、対義語、連想語などの規則性になるってことだろうか。
言われてみて考える。夜東先輩に預けた薄緑は生き方を問う刀だった。それが彼女自身のものになった時、兄弟愛を力にする刀になった。関連していたと?
六月のプライベートビーチ戦、そういえばまだ疑問はあった。
「まだ聞きたいことはある、お前、濃姫を解放していたじゃないか。俺もお前もできるって、どういうことだよ? 濃姫は俺自身のものになったはずだ、俺とお前は兄弟か何かですか⁉」
しかも、『心切り』の能力でさえ一緒ってことは、ますます意味が。
「そこは俺にも分からないけどなぁ。濃姫ちゃんに聞いたほうがいいんじゃないか?」
勝倉は濃姫に振る。濃姫は“タントウ”でロリっ子六人組と戦っている。彼女達を戦力として組み込むつもりらしく、ロリっ子六人組を鍛えているらしい。そして、振られたので俺達に意識を向けると不思議そうに小首を傾げる。
「何故かはわかりませんわ。でも、本質的に織田信長の刀を使いこなせるのは勝倉様になるでしょうね」
「俺の能力なんだけど⁉ どうして俺より勝倉に適性があるんだよ?」
「私達は手伝っている、そう感じます。貴方様はマスターであって使い手ではない。どこと誰とも知らない刀にでも好かれているのはありませんか?」
「俺は武将じゃないんだぞ! 刀なんてこの高校に入学するまで実休光忠しか持ったことないんだからな!」
そもそも、刀は全部取られたんだ。圧切長谷部も実休光忠が庇ったから残っただけで慕っているとは言い難いし。
『剣神様! 応援要請がありました。至急二階に向かって下さい』
テレパシーで告げられる声。
「わかった。すぐに向かう」
遊んでいる場合じゃない、早く≪武決一位≫を止めないといけない。
でも、余りに急すぎると足元をすくわれる。国を取り込んだ男子至高派、これをこの峰空と武衛大が対応することになっているから地盤固めは大事だ。
この戦い、世間では白に近い戦争ということになっているらしくそこまで問題視している人はこの地区の人ぐらい。
俺は、誰も殺さないことに決めていた。それがどれだけ難しいか、相手は土壇場になったら生存権なんてクソくらえと思って誰かを殺すかもしれない、最悪の結末としてその可能性がある。
それだけ、人間は追い詰められたら、何をするか分からないから。
少しでも鍛えよう。圧切長谷部の力の底を出し切るために。




