↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
残春はさ迷える子羊達のコンチェルト  作者: Mr.M
第8楽章 フェア・ゲーム

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
84/114

第84話 車椅子探偵誕生

遊戯室の柱時計が

コツコツコツと時を刻んでいた。


千雪の発言に

僕は言葉を失っていた。

西岡は僕が新たに出した

ジンジャーエールの瓶を、

険しい表情でじっと見つめていた。


「恐らく。

 六条さんの支給品は

 【市民】を証明する

 『クラブの8』

 だったのではないでしょうか。

 そして。

 彼女が引いた実際のカードは

 【犯人】である『スペードの8』

 だったはずです」

「・・じゃ、じゃあ。

 六条さんが

 持っていたと証言している

 髑髏の小瓶は一体・・。

 あれは支給品ではなかったと?」

僕は少女に疑問をぶつけた。

「その髑髏の小瓶こそが

 郷田さんの支給品だったのです」

「・・あのおばさんが、

 郷田を殺して

 小瓶を奪ったと言いたいのか?」

西岡は険しい表情を浮かべたまま、

ジンジャーエールの瓶を

ゆっくりと口元に運んだ。

「・・それは違うと思います。

 菅野さんと平原さんが

 いつ現れるかもわからない状況で、

 そんな危険な橋を渡るとは

 考え難いです。

 六条さんが部屋に入った時。

 すでに郷田さんは殺されていた。

 そう考えるのが自然です。

 死体を発見した六条さんは、

 このゲームの主催者が、

 本気であることを

 悟ったのではないでしょうか。

 同時に。

 彼女の頭をよぎったのは、

 ”犯人は最低でも

 1人は殺さなければならない”

 というルールだったのでしょう。

 そんな彼女の目に、

 髑髏の小瓶が留まったのです」

「平原さんを殺したのは、

 やはり六条さんだと?」

僕の問いに千雪は小さく頷いた。

「直接手を下す必要のない

 毒殺という手段は、

 女性が選ぶことが多いと

 言われています。

 六条さんにとっても、

 髑髏の小瓶はある意味、

 救いだったのではないでしょうか」

そこまで話すと、

千雪はテーブルの上のグラスを

手に取って、

こくりと一口飲んだ。

それから。

僕の方を見て微笑んだ。

その笑顔を見た瞬間、

雷に打たれたような衝撃が

全身を駆け抜けた。

堕天した美しき天使は、

名探偵へとその姿を変えたのだ。

『安楽椅子探偵』ならぬ

『車椅子探偵』。

佐藤千雪。

今ここに誕生せり。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。